寛解の連続
ラッパー、小林勝行を追ったドキュメンタリー映画『寛解の連続』が、7月17日(土)より〈出町座〉で上映される。2011年にリリースした1stアルバム『神戸薔薇尻』で、突如としてシーンに登場した小林勝行。日本の地方都市に生きるアウトローの半生を生々しく描いたハードかつ叙情的な関西弁のラップで、一部批評家やリスナーから熱狂的な支持を集めた。しかし自身の抱える躁うつ病の症状が、医者から「一生完治することがない」と言われるほど悪化し、活動休止を余儀なくされたのだ。
本作は、活動を休止した彼が隔離病棟で生活した後、ようやく日常に復帰するまでを追いかけている。自室にこもり真剣に自らと向き合いリリックを書く姿、介護の仕事をする日常、幼い頃から信仰する宗教の話..….。監督自身が神戸に住まい、生活を共にし、6年の歳月をかけて制作されたからこそ、小林勝行という一人のラッパーの記憶と感情が溢れ出ているのだろう。
タイトルにある「寛解」とは、病気の症状や徴候が一時的に軽快した状態、あるいは見かけ上、消滅して正常な機能に戻った状態を指す。つまり完治ではないが、再発もしていないという不安定な状態なのだ。タイトルのとおり、寛解を続けながら生きていく小林勝行の姿は、絶望も希望もひっくるめて、鏡のように観る者を映し出す。
7月18日(日)18:45の回上映後には、主演の小林勝行と光永惇監督の舞台挨拶も予定されているので、足を運びたい。
寛解の連続
『寛解の連続』公式サイトより
2019年 / 日本 / 112分
配給:ブライトホース・フィルム
監督・プロデューサー・撮影・編集:光永惇
音響:小林宏信
出演:小林勝行、市和浩
公式サイト:http://kankai-movie.com/index.html
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