書評企画『365日の書架』4月のテーマ:はなればなれになって
『365日の書架』は、関西の書店がテーマに沿っておすすめの書籍を紹介する連載企画。誰かに勧められないと手に取る機会のない分野やジャンルの本もたくさんあるはず。ぜひ新しい本との出会いに。4月のテーマは「はなればなれになって」。
4月のテーマ:はなればなれになって
出会いと別れ、それぞれが人生につきものですが「はなればなれ」になるからこそ持っていたものの価値に気がつくことがあります。そして「はなればなれ」になるからこそ、新しい出会いを迎えることができるはず。
今月はそんな春という季節に想いを巡らせる一冊の紹介。
企画趣旨
皆さんは、自分の人生を変えた本に出会ったことはありますか?生き方の羅針盤になったり、毎日をちょっと素敵にしてくれたり、新しい価値観を教えてくれる力が書籍にはあります。そんな出会いを与えてくれる場所の一つが、個人の書店です。店主が独自の目利きで選書した書籍は、そのお店でしか出会えないものばかり。他では触れられない、様々な出会いに触れることができるでしょう。『365日の書架』は、関西の書店がおすすめする書籍を紹介する連載企画。参加店舗はON THE BOOKS、只本屋、マヤルカ古書店の3店舗です。ちょっとニッチな世界を紹介する本や、自分自身の人生を考えさせられる本まで、唯一無二のセンスを持つ店主おすすめの書籍を、テーマに添って紹介していきます。
ON THE BOOKSが選ぶ今月の1冊
星守る犬/続・星守る犬
出版社:双葉社
発行年:2009年/2011年
出会いがあれば別れがあり、いつかの再会もあるけれど、そもそも別れられない事だってあるじゃない。たった2冊の本の中に、これらの全てが詰まっています。犬と人間との喜怒哀楽を描いた短編がいくつか収録されており、やがてそれぞれの物語が繋がっていきます。小説にもなっています。映画(DVD)にもなっています。お好きな媒体でどうぞ。個人的には原作であるこの漫画がおススメです。マジ泣けます!何回読んでも同じページで泣いています!そして最後は笑顔になります!!思わず熱くなってしまったのは、僕の好きな漫画ベスト3に入る超大好きな本だからです。是非。
ON THE BOOKS
アートブックやサブカルチャーなどの古本/古書、アジア買い付けのキッチュな雑貨、ここでしか買えない作家グッズなど、ドキドキワクワクがいっぱいつまったお店です。旧大阪府庁舎を改修した大阪府立江之子島文化芸術創造センターにて営業中。
住所 | 〒550-0006 大阪府大阪市西区江之子島2-1-34大阪府立江之子島文化芸術創造センター B1 |
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営業時間 | 11時~20時(月曜定休) |
Webサイト | |
オンラインストア |
只本屋が選ぶ今月の1冊
FOOD COURT
新型コロナウイルスの影響で、人と人とが面と向かって話ができない状況が続いている。ずっとマスクをつけているので、本当はどんな顔かわからなかったり、オンラインでしか会ったことのない状況がずっと続いている。
一方で、オンラインでのやり取りの中からいろいろなカルチャーが生まれていることも確かで、フリーペーパーの世界にもネットプリントを利用したものも多数存在している。欲しい人がコンビニで自分でプリントするのである。
そんなネットプリントのフリーペーパー『FOOD COURT』は、二人のイラストレーターと一人の料理人によって発行されているフリーペーパーだ。そして東京と豊島という場所の離れたところから内容を持ち寄って発行している。直接会わなくてもいいのだ。そして印刷所がなくても、近所のコンビニが印刷所となるのである。内容は、たべものにまつわるあれやこれや、書いたり描いたり喋ったり、作ったり見せたり食べさせたり。いろいろやります。ゆるり続きます。っていう感じで、こういう緊張感のある時代にこう言ったゆるい読み物はすごくいいように思います。
公式Webサイト:https://info69355.wixsite.com/tabiijyo
佐久間茜:@a_skm
高木花文:@kafumitakagi
山口奈々子:@nnk0107
只本屋
只本屋は、毎月末の土日だけ清水寺のお膝元・東山五条にあらわれるフリーペーパー専門店です。全国各地の魅力溢れるフリーペーパーを取り揃えています。また、本屋としての機能だけでなく、クリエイティブに関心を持つ人々と交流できるなど、カルチャースペースとしても注目されています。
住所 | 〒605-0871 |
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営業時間 | 毎月末の土・日 |
Webサイト | |
オンラインストア |
マヤルカ古書店が選ぶ今月の1冊
何か大切なものをなくしてそして そして立ち上がった頃の人へ【特装版】
著者:安達茉莉子/MARIOBOOKS
制作協力:株式会社ビーナイス
発行:2019年4月
君はいなくなった。
君がここにいた間ずっとそこにあった
いろんな「良いもの」もまた、なくなってしまった。
AからZまで、英語と日本語で綴られた26の詩とイラストで大切な人との思い出、別れ、そして別れのあとの傷ついた心に静かに、そして自然に寄り添ってくれるような一冊。この本を手の取ったときに心に浮かぶのは、大切な人、離れてしまった人、または長い時間を一緒に過した家族同様のペットなど、人それぞれだと思います。思い出も悲しみも、そしてその悲しみが癒えるまでの時間も、きっとそれぞれ違うはず。だけどそんな、誰かを思う時間それすらも大事な、大切な人が残してくれた時間なのだと思わせてくれるような、あたたかさにあふれています。
購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。
マヤルカ古書店
2013年オープン、三年前に西陣から一乗寺に移転しました。 古書の取り扱いジャンルは、文学、文化、アート、絵本、食と暮らし、自然、民藝。 毎日のささやかなシーンにすっとよりそい、手のひらでそっと包みたくなるような本を。店舗2階では、新刊の販売とさまざまな催しをしています。
住所 | 〒606-8187 京都市左京区一乗寺大原田町23-12 |
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営業時間 | 11~18時(火曜・金曜定休) |
Webサイト | |
オンラインストア |
WRITER
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26歳で自我が芽生え、とうとう10歳に。「関西にこんなメディアがあればいいのに」でANTENNAをスタート。2021年からはPORTLA/OUT OF SIGHT!!!の編集長を務める。最近ようやく自分が持てる荷物の量を自覚した。自身のバンドAmia CalvaではGt/Voを担当。
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