COLUMN

書評企画『365日の書架』4月のテーマ:はなればなれになって

『365日の書架』は、関西の書店がテーマに沿っておすすめの書籍を紹介する連載企画。誰かに勧められないと手に取る機会のない分野やジャンルの本もたくさんあるはず。ぜひ新しい本との出会いに。4月のテーマは「はなればなれになって」。

BOOKS 2021.04.28 Written By 堤 大樹

4月のテーマ:はなればなれになって

出会いと別れ、それぞれが人生につきものですが「はなればなれ」になるからこそ持っていたものの価値に気がつくことがあります。そして「はなればなれ」になるからこそ、新しい出会いを迎えることができるはず。

 

今月はそんな春という季節に想いを巡らせる一冊の紹介。

企画趣旨

皆さんは、自分の人生を変えた本に出会ったことはありますか?生き方の羅針盤になったり、毎日をちょっと素敵にしてくれたり、新しい価値観を教えてくれる力が書籍にはあります。そんな出会いを与えてくれる場所の一つが、個人の書店です。店主が独自の目利きで選書した書籍は、そのお店でしか出会えないものばかり。他では触れられない、様々な出会いに触れることができるでしょう。『365日の書架』は、関西の書店がおすすめする書籍を紹介する連載企画。参加店舗はON THE BOOKS、只本屋、マヤルカ古書店の3店舗です。ちょっとニッチな世界を紹介する本や、自分自身の人生を考えさせられる本まで、唯一無二のセンスを持つ店主おすすめの書籍を、テーマに添って紹介していきます。

ON THE BOOKSが選ぶ今月の1冊

星守る犬/続・星守る犬

出版社:双葉社
発行年:2009年/2011年

 

出会いがあれば別れがあり、いつかの再会もあるけれど、そもそも別れられない事だってあるじゃない。たった2冊の本の中に、これらの全てが詰まっています。犬と人間との喜怒哀楽を描いた短編がいくつか収録されており、やがてそれぞれの物語が繋がっていきます。小説にもなっています。映画(DVD)にもなっています。お好きな媒体でどうぞ。個人的には原作であるこの漫画がおススメです。マジ泣けます!何回読んでも同じページで泣いています!そして最後は笑顔になります!!思わず熱くなってしまったのは、僕の好きな漫画ベスト3に入る超大好きな本だからです。是非。

ON THE BOOKS

アートブックやサブカルチャーなどの古本/古書、アジア買い付けのキッチュな雑貨、ここでしか買えない作家グッズなど、ドキドキワクワクがいっぱいつまったお店です。旧大阪府庁舎を改修した大阪府立江之子島文化芸術創造センターにて営業中。

住所

〒550-0006 大阪府大阪市西区江之子島2-1-34大阪府立江之子島文化芸術創造センター B1

営業時間

11時~20時(月曜定休)

Webサイト

https://on-the-books.info/wp/

オンラインストア

https://on-the-books.info/wp/

只本屋が選ぶ今月の1冊

FOOD COURT

新型コロナウイルスの影響で、人と人とが面と向かって話ができない状況が続いている。ずっとマスクをつけているので、本当はどんな顔かわからなかったり、オンラインでしか会ったことのない状況がずっと続いている。

 

一方で、オンラインでのやり取りの中からいろいろなカルチャーが生まれていることも確かで、フリーペーパーの世界にもネットプリントを利用したものも多数存在している。欲しい人がコンビニで自分でプリントするのである。

 

そんなネットプリントのフリーペーパー『FOOD COURT』は、二人のイラストレーターと一人の料理人によって発行されているフリーペーパーだ。そして東京と豊島という場所の離れたところから内容を持ち寄って発行している。直接会わなくてもいいのだ。そして印刷所がなくても、近所のコンビニが印刷所となるのである。内容は、たべものにまつわるあれやこれや、書いたり描いたり喋ったり、作ったり見せたり食べさせたり。いろいろやります。ゆるり続きます。っていう感じで、こういう緊張感のある時代にこう言ったゆるい読み物はすごくいいように思います。

 

公式Webサイト:https://info69355.wixsite.com/tabiijyo

 

佐久間茜:@a_skm
高木花文:@kafumitakagi
山口奈々子:@nnk0107

只本屋

只本屋は、毎月末の土日だけ清水寺のお膝元・東山五条にあらわれるフリーペーパー専門店です。全国各地の魅力溢れるフリーペーパーを取り揃えています。また、本屋としての機能だけでなく、クリエイティブに関心を持つ人々と交流できるなど、カルチャースペースとしても注目されています。

住所

〒605-0871
京都府京都市東山区慈法院庵町594−1

営業時間

毎月末の土・日
※時間帯は月によって変わります。 詳しくは只本屋公式ツイッターをご確認ください。

Webサイト

https://tadahon-ya.com/about/

オンラインストア

https://tadahonya.thebase.in/

マヤルカ古書店が選ぶ今月の1冊

何か大切なものをなくしてそして そして立ち上がった頃の人へ【特装版】

著者:安達茉莉子/MARIOBOOKS

制作協力:株式会社ビーナイス

発行:2019年4月

 

君はいなくなった。

君がここにいた間ずっとそこにあった
いろんな「良いもの」もまた、なくなってしまった。

 

AからZまで、英語と日本語で綴られた26の詩とイラストで大切な人との思い出、別れ、そして別れのあとの傷ついた心に静かに、そして自然に寄り添ってくれるような一冊。この本を手の取ったときに心に浮かぶのは、大切な人、離れてしまった人、または長い時間を一緒に過した家族同様のペットなど、人それぞれだと思います。思い出も悲しみも、そしてその悲しみが癒えるまでの時間も、きっとそれぞれ違うはず。だけどそんな、誰かを思う時間それすらも大事な、大切な人が残してくれた時間なのだと思わせてくれるような、あたたかさにあふれています。

 

購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。

マヤルカ古書店

2013年オープン、三年前に西陣から一乗寺に移転しました。 古書の取り扱いジャンルは、文学、文化、アート、絵本、食と暮らし、自然、民藝。 毎日のささやかなシーンにすっとよりそい、手のひらでそっと包みたくなるような本を。店舗2階では、新刊の販売とさまざまな催しをしています。

住所

〒606-8187 京都市左京区一乗寺大原田町23-12

営業時間

11~18時(火曜・金曜定休)

Webサイト

http://mayaruka.com/

オンラインストア

https://mayaruka.stores.jp/

WRITER

RECENT POST

REPORT
【SXSW2024】再起や復活とは距離をおく、中堅バンドと継続のすごみ
REPORT
【SXSW2023】移りゆくアジアの重心と、裏庭に集う名もなき音楽ラバーたち
REPORT
【SXSW2022】地元に根付いたバカ騒ぎの種火たち、3年ぶりのオースティン探訪
INTERVIEW
あの頃、部室で – 夜音車・頓宮敦がDo It Togetherにつくりあげた果実と、その界隈
INTERVIEW
25万人集まる海外フェスも、30人規模の地元のハコもやることは同じ 手探りで進み続ける、おとぼけビ~…
INTERVIEW
失われた「ジャンク」を求めて – WHOOPEE’Sというハコと、GATTACA / GROWLYの…
INTERVIEW
土龍さん、この10年どうやった? 最小で最愛な私たちのライブハウス、nanoの旅路
COLUMN
未来は僕らの手の中(か?)|テーマで読み解く現代の歌詞
INTERVIEW
“エゴ”だけじゃ形にならない。『フリースタイルな僧侶たち』初代・三代目の編集…
COLUMN
書評企画『365日の書架』3月のテーマ:ここじゃない場所に生まれて
COLUMN
書評企画『365日の書架』1月のテーマ:時間が経つのも忘れて
INTERVIEW
バランスのいい選択肢が無い!!多様な価値観の都市で育った〈汽水空港〉店主・モリテツヤさんが人生の選択…
COLUMN
書評企画『365日の書架』12月のテーマ:もっと読むのが好きになる
COLUMN
【東日本編】ライブハウス・クラブでの思い出のエピソード
COLUMN
【西日本編】ライブハウス・クラブでの思い出のエピソード
COLUMN
【Dig! Dug! Asia!】Vol.1:Stars and Rabbit
INTERVIEW
自分たちで責任を取り続けられる企業であるために。FREITAGの創業者Markus Freitag来…
INTERVIEW
台湾インディーシーンの最前線を走り続けるSKIP SKIP BEN BENこと林以樂、初の本名名義と…
COLUMN
【2019年10月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年09月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年08月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
制作もライブも自然体で。京都のシンガーソングライターいちやなぎインタビュー
COLUMN
【2019年07月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年06月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年05月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年04月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年03月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年02月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年01月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年12月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年11月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年10月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年9月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
Homecomings – Songbirds
INTERVIEW
ボロフェスタ主催のひとり飯田仁一郎に聞く、ナノボロフェスタでトークイベントを行う理由
INTERVIEW
出町座
INTERVIEW
【モーモールルギャバン / ゲイリー・ビッチェ】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!…
INTERVIEW
【くるり / ファンファン】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!3rd mini a…
COLUMN
【2018年7月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年6月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
Siamese Dream – The Smashing Pumpkins
REVIEW
MISS YOU – ナードマグネット
COLUMN
【2018年5月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
「自分たちが面白いことが一番面白い」この二年間の活動の変化を、踊る!ディスコ室町Vo.ミキクワカドに…
COLUMN
【2018年4月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
【SXSW2018】国別に見る、良かったアーティストまとめ
REPORT
【SXSW2018】世界のミュージックフリークスに聞いた、今年のおすすめ出演者
REPORT
【SXSW2018】日本のミュージシャンの世界への接近と、各国のショーケース
COLUMN
ki-ft×アンテナ共同ディスクレビュー企画『3×3 DISCS』
REVIEW
Man Of The Woods – Justin Timberlake
COLUMN
【2018年3月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年2月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
ライブハウス店長・ブッカーが振り返る、2017年ベストアクト
COLUMN
HOLIDAY! RECORDS / 植野秀章が選ぶ、2017年ベストディスク10
COLUMN
【2017年12月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【月一更新・まとめ】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
映画『MOTHER FUCKER』京都みなみ会館 特別先行上映レポート
COLUMN
【2017年10月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ③広島東洋カープ編-
INTERVIEW
【特別企画】ミュージシャン、好きな映画を語る – バレーボウイズ・本日休演・踊る!ディス…
REPORT
【SXSW2017】vol.0 まとめ
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ②音楽編-
REPORT
終わらない孤独な旅で見つけた、彼女の”光”とは?Laura Gibson ジ…
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ①初めてのひとり旅編-
REPORT
the coopeez 『キネマBANPAKU』 @ みなみ会館 2016.05.21
SPOT
朧八瑞雲堂
SPOT
吉靴房
SPOT
BOLTS HARDWARE STORE
REPORT
ナードマグネット – 怒りのデス・ワンマン@天王寺Fireloop 2015.12.20
INTERVIEW
CARD×椎木彩子の関係について:後編
INTERVIEW
CARD×椎木彩子の関係について【前編】
INTERVIEW
鈴木実貴子ズは何故ライブバー&鑪ら場を始めたのか?
REPORT
斑斑(skip skip ben ben) “台湾から来た二人” @公○食堂 2014.11.01
REPORT
スキマ産業vol.39 @ 木屋町UrBANGUILD ライブレポート
REPORT
the coopeez newbalance tour @京都MOJO ライブレポート

LATEST POSTS

INTERVIEW
あの頃、下北沢Zemでリトル・ウォルターを聴いていた ー武田信輝、永田純、岡地曙裕が語る、1975年のブルース

吾妻光良& The Swinging BoppersをはじめブレイクダウンやBO GUMBOS、ペン…

COLUMN
【2024年11月】今、東京のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「東京のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」京都、大阪の音楽シーンを追っ…

REPORT
これまでの軌跡をつなぎ、次なる序曲へ – 『京都音楽博覧会2024』Day2ライブレポート

晴天の霹靂とはこのことだろう。オープニングのアナウンスで『京都音博』の司会を務めるFM COCOLO…

REPORT
壁も境目もない音楽の旅へ‐『京都音楽博覧会2024』Day1ライブレポート

10月12日(土)13日(日)、晴れわたる青空が広がる〈梅小路公園〉にて、昨年に引き続き2日間にわた…

REPORT
自由のために、自由に踊れ!日常を生きるために生まれた祭り – 京都学生狂奏祭2024

寮生の想いから生まれたイベント『京都学生狂奏祭』 …