アニメーションの神様、その美しき世界 Vol.2&3 川本喜八郎、岡本忠成監督特集上映
日本のアニメーション発展に大きく貢献した二人の映像作家・川本喜八郎と岡本忠成の特集上映会が、大阪の〈シネ・ヌーヴォ〉にて8月20日(金)まで開催中だ。ストップモーション撮影による立体アニメーション分野で世界的巨匠といわれる両名の作品を堪能できる貴重な機会となる。
没後10年を迎える川本と、没後30年を迎える岡本はストップモーション撮影による立体アニメーションの分野で類なき功績を残した。同じ映像作家として、友人として、交流を重ねた2人だが、歩んできた道は対照的だ。川本はストップモーションアニメの中でも、とりわけ人形映画に生涯を捧げた。チェコの巨匠イジー・トルンカに学んだ後、国際的に評価される数々の傑作を残したほか、TVの歴史人形劇や海外との合作でも知られている。端正なキャラクターを生み出し、命を吹き込むことを追求し続けていたのだ。一方岡本は、同じ人形を使いながらも、あえて人形の質感を消し、手書きアニメのようにも見える作品を作った。木・皮・布・毛糸・紙・粘土など多様な素材も使い、平面と立体を行き交いながら作られた映像によって独特の深みを生み出し、主に子ども向け作品の分野で斬新な表現を求道しつづけた。川本は能・文楽などの、人の心の闇を幽玄の美の極地から描く作風であるのに対し、岡本は民話・民芸品・唄・方言などを組み合わせ、温もりを感じさせる作風なのも対照的といえるだろう。それぞれ日本文化の典型性と民俗性を表現した稀有なアニメーションであり、それゆえに国宝的作品なのだ。
今回上映するのは、それぞれの代表作5本ずつ合計10本・2プログラムで、全ての作品が日本の最新技術による4Kデジタル修復版となる。日本が世界に誇る国宝的作品を、ぜひ映画館で楽しみたい。
INFORMATION
日時 | 2021年7月24日(土) 〜2021年8月20日(金) |
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会場 | シネ・ヌーヴォ(7/24〜8/6) |
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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