坂本龍一+高谷史郎+YCAM『ART–ENVIRONMENT–LIFE 2021』
坂本龍一+高谷史郎《water state 1》(2013年)
撮影:丸尾隆一(YCAM)
〈山口情報芸術センター[YCAM]〉で、音楽家・坂本龍一とアーティスト・高谷史郎の展覧会『ART–ENVIRONMENT–LIFE 2021』が2022年1月30日(日)まで開催される。本展は山口市など7つの市町をつなぎ、アートや食など多様なイベントを開催する「山口ゆめ回廊博覧会」の一環として開催されるものだ。
YCAM開館以来、坂本と高谷はインスタレーション作品などを多数制作、発表しており共作も手がけてきた。2013年のYCAM開館10周年イベントでは、全体を統括するアーティスティックディレクターを坂本が担い「アートと環境の未来」と題して、「環境」の概念をアートによって再定義するさまざまな試みを行った。この時の3作品が一部改訂され、今回再度展示されるのだ。
「アート」「環境」「ライフ」を中心的なコンセプトとして作られた作品は、いずれも自然と人間社会の境界で長い時間をかけて発展してきた「庭」という文化の形式に、多くのインスピレーションを受けている。霧に投影される映像とそれに融合するサウンドが環境への感覚を開く『LIFE ― fluid, invisible,inaudible…』、世界各地の樹木の生体データからサウンドを生成する『Forest Symphony』。水が見せる複雑な変化を抽出することで新たな空間を創出する『water state 1』。水滴と波紋、樹々の生命活動の痕跡がもたらす揺らぎ、霧と移ろう映像、そしてそれらを包み込むサウンド。不定形で、刻々と変化する作品たちは、社会や日常生活の外にある自然や環境のリズムや諧調へと、鑑賞者が同期していくことを促していく。
会場もYCAMだけに留まらない。YCAMの分館に当たるサテライトA、そして雪舟庭で知られる常栄寺。景観とともに作品を鑑賞することで、大きな時間の流れをより深く感じることができるだろう。
関連イベント
ギャラリーツアー
■2021年
10月10日(日)、16日(土)、17日(日)、23日(土)、24日(日)、30日(土)
11月6日(土)、13日(土)、20日(土)
12月4日(土)、11日(土)、18日(土)、25日(土)
■2022年
1月8日(土)、15日(土)、22日(土)、29日(土)
常栄寺:12:30~13:00 / サテライトA:14:15~14:45 / スタジオA:15:30~16:00
定員:5名(申込不要)
展示作品をスタッフとともに鑑賞するツアー形式のイベントです。
展覧会の背景にある社会的テーマや技術的動向についての解説のほか、参加者同士で作品について議論し、意見を共有する機会も積極的に設けていきます。
関連ワークショップ
■2021年11月~2022年1月
展示作品にまつわるワークショップです。「やまぐちアートコミュニケータープログラム」の一環として期間中複数のワークショップを実施します。
※詳細は10月以降にYCAMのウェブサイトをご確認ください。
坂本龍一(さかもと・りゅういち)
音楽家。1952年東京生まれ。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年『YELLOW MAGIC ORCHESTRA (YMO)』に参加。散開後も多方面で活躍。また、数々の映画音楽を手がけ、作曲家として米アカデミー賞を受賞するなど 世界的な評価を得つつ、常に革新的なサウンドを追求している。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」の創設、「stop rokkasho」、「NO NUKES」などの活動で脱原発支持を表明、また「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動も継続して行っている。
高谷史郎(たかたに・しろう)
1963年生まれ。1984年からアーティストグループ「ダムタイプ」の活動に参加。様々なメ
ディアを用いたパフォーマンスやインスタレーション作品の制作に携わり、世界各地の劇場や美術館等で公演/展示を行う。1998年からダムタイプの活動と並行して個人の制作活動を開始。マルセイユ・フェスティバル、國家兩廳院(台湾)での公演や、ZKM(ドイツ)、パリ科学産業会館、シャルジャ・ビエンナーレ(UAE)などでの作品展示、また、中谷芙二子、野村萬斎、樂吉左衞門らとのコラボレーション作品も多数。今年6月オランダ・フェスティバルで坂本龍一との新作公演「TIME」を世界初演。2022年ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展でダムタイプが日本代表作家として日本館で展示予定。
INFORMATION
日時 | 2021年10月8日(金)〜2022年1月30日(日) |
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会場と開演時間 | ①坂本龍一+高谷史郎《LIFE ―fluid, invisible, inaudible… 》 ②:坂本龍一+高谷史郎《water state 1》 ③:坂本龍一+YCAM InterLab《Forest Symphony》 |
料金 | 入場無料 |
イベントページ | |
クレジット | 主催: 山口市、公益財団法人山口市文化振興財団
山口ゆめ回廊博覧会関連事業 |
お問い合わせ | 山口情報芸術センター[YCAM] |
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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