ランナウェイ
京都を拠点に活動する演劇ユニット・壁ノ花団の『ランナウェイ』が、9月9日(木)から4日間〈THEATRE E9 KYOTO〉にて上演される。これは、昨年リーディング公演として冒頭部分を発表し好評を得た作品の続編となる。
劇作家であり演出家、俳優、そして大学教授という肩書きをもつ水沼健が2004年に結成した壁ノ花団。第12回OMS戯曲賞大賞を受賞した初公演を皮切りに、これまで数々の賞を獲得してきた。
第15回公演となる本作は、ある男の逃亡劇。木村耕太郎のイラストと、吉川なの葉のデザインが組み合わさったフライヤーはどこかへ突き進む男と、断片的な言葉が描かれており、これから始まるであろうドラマを予感させる。演じるのは金替康博、内田淳子、F.ジャパン、松原由希子と、壁ノ花団のいつものメンバーが揃っているので期待して待ち望みたい。
ランナウェイ
作・演出|水沼 健
出演|金替康博 内田淳子 F.ジャパン 松原由希子
逃げている、逃げて逃げて逃げていま、この空き家にいる。いろいろな名前を使ってここまで逃げてきて結局いまおれは何と名乗っている男なのかすっかりわからなくなってしまったし、そもそもなにから逃げていたのかも忘れてしまったけれど、この空き家にじっとしていればもう思い出さなくてもよい。マジックで書いた髭だってもう消していいのだ。庭先にとうもろこしが一本だけ育っているのを見つけた。貴重な水をそいつと分け合って生きている。おれがまず水を飲み、おれから出る水をそいつにかけてやるのだ、いつかすっかり育ったそいつを食べるために。「サンマルチノ」と誰かが声をかけてくる。そんな名前だったかなと、いう気もする。
このような話を一年ほど前にぽつぽつと書き始めていたところ、なんだかわからない状況にあっという間に飲み込まれ戸惑っているうちに、話の方がうんともすんとも動かなくなってしまい、しかたがないので動かなくなる前までに書いていたところを使って朗読公演をしたところ、これが意外にもたいへん反応がよく、すっかり気をよくしてしまって、今年その続きをつくることにした、という作品になります。あれから一年ほどたったので、もうそろそろ動いてもらえるかなとは思っています。いまだにあの戸惑いの中にいるようにも思うけど。
(水沼 健)
壁ノ花団
「壁ノ花団」は水沼健が2004年に立ち上げた演劇ユニット。作・演出を水沼が担当する。京都を拠点に活動を行い、これまでに10作品を上演。第一回公演『壁ノ花団』で第12回OMS戯曲賞大賞を受賞。第四回公演『アルカリ』で十三夜会奨励賞受賞、第六回公演『ヤングフォーエバー』で佐藤佐吉賞・最優秀照明賞(吉本有輝子)、最優秀舞台美術賞(西田聖)、優秀演出賞などを受賞。第七回公演『ニューヘアスタイルイズグッド』では第57回岸田國士戯曲賞の最終候補に選出された。
http://kabenohanadan.com
INFORMATION
日時 | 2021年9月9日(木)19:00〜 |
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会場 | THEATRE E9 KYOTO |
料金 | [自由席 / 日時指定 / 税込] |
クレジット | 作・演出|水沼 健
舞台監督|浜村修司 照明|葛西健一 音響|堂岡俊弘 衣裳|大野知英
提携|THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)
助成|芸術文化振興基金
京都芸術センター制作支援事業 |
イベントページ | |
お問い合わせ | キューカンバー |
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