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終わらない孤独な旅で見つけた、彼女の”光”とは?Laura Gibson ジャパンツアー@UrBANGUID 2017.01.29

MUSIC 2017.02.08 Written By 堤 大樹

実に8年ぶりとなるLaura Gibsonの来日ツアーは、8日間で5公演を行う少々ハードなスケジュールだった。それにも関わらず、京都公演では彼女はツアーの疲れを感じさせない極上の時間を僕たちに提供してくれた。

 

今回のツアーはニュー・アルバム『エンパイア・ビルダー』のリリースツアーとなっており、どの会場もソロでの出演となる。ポートランドからニューヨークに拠点を移して制作された今作では私生活で多くの困難に遭遇しており、骨折や新居の爆発 (書き溜めた曲や楽器等も全て紛失したらしい) など話題性にはことかかない。しかし、そんなことがどうでもよくなるくらい彼女のステージは素晴らしかった。

 

ライブの第一印象は、音源で聴いていたものとまた少し違った印象を受けた。歌と楽器ひとつで聴く彼女のライブは、優しくもどこか憂いを帯びた歌声が際立ち、ハッとさせられる瞬間が何度もある。彼女のアーティストとしての最大の魅力を再確認できた。

Laura Gibsonの声を聴いていると、育ってきた環境や、文化的背景など全く違うはずなのに、どこか懐かしいのは何故だろうか?それは彼女の歌には”人生をかけて行われる、自己を確立するための旅”という、普遍的なテーマが根底に流れているからだと感じた。それは彼女がルーツとするカントリーミュージックからの影響も大きいだろう。

 

タイトルソング”エンパイア・ビルダー”の歌詞で繰り返し歌われる”I”という言葉。ニューヨークへ拠点を移し、アイデンティティが大きく揺らぐこともあったはずだ。いくつになっても人生は、自己の確立と喪失の繰り返しだ。その孤独感に終わりはなく、誰もがそれに悩む瞬間がある。そのことに向き合っているからこそLaura Gibsonの歌は文化を超え、多くの人の心を掴んで離さない。それはライブが終わったあとの鳴り止まない拍手が証明していた。

 

『エンパイア・ビルダー』の制作メンバーには、Death Cab For CutieのDave Depper、Peter Broderick、Neko Case BandのドラマーであるDan Hunt、the DecemberistsのNate Query、シンガー・ソングライターの、Alela Dianeと豪華なメンバーが名を連ねている。

 

Laura Gibsonのソロとはまた違った魅力が詰まっているので、気になった方はぜひアルバムも聴いてみて欲しい。

ローラ・ギブソン (Laura Gibson)

 

 

米オレゴン州にある人口5,000人ほどの小さな町コキーユに生まれたシンガー・ソングライター / チェロ奏者。可憐な佇まいと憂いに満ちた歌声でポートランドのSSWシーンで頭角を現わす。アルバム・デビューはハッシュ・レコーズからの『If You Come to Greet Me』(2006年)。スモール・セイルズのメンバーとしても知られるサウンド・アーティスト、イーサン・ローズとの共作アルバム『Bridge Carols』含め、これまでに計5枚のアルバムを発表した(うち3枚はHEADZにライセンスされ国内盤化)。日本にも2009年に来日し、リキッドルーム(東京)で開催されたフェスティバル「De La FANTASIA」出演を含めた5公演を大好評のうちに成功させている。

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