お歳暮企画 | アンテナとつくる2019年の5曲 Part.2
土龍(Live House nano)
「モグラ」と読みます。
2020年3月で16周年を迎える、京都は二条城の近くlivehouse nanoの店長。
ブッキングやPA、照明など全ての業務における音楽的なアプローチに定評あり。オフィシャルサイト内スケジュールのそれぞれのイベントへのコメントが名物。
毎年10月にはロックフェスティバル「ボロフェスタ」を仲間と主宰。自身もアルトサックスプレイヤーである。
Webサイト:http://livehouse-nano.com/
Twitter:https://twitter.com/mogura_nano
“Down the valley” NOT WONK
“CAN YOU??” BiSH
“草木” 長谷川白紙
“シャッフル” アフターアワーズ
“No Memories” bacho
Down the valley / NOT WONK
「かっこいい音楽とは」ということを考えるときに最近は「JAZZこそ至高」という論理に行きつく。人間の演奏するものとしてフィーチャーされるのはマインドよりもフィジカル、それを突き詰めた末やっと現れる無限の宇宙。JAZZは余計な感情を排除した人間が偉大なる音楽と戦っているような現象に思えるのだ。そんなJAZZの文脈で演奏するバンドはいるか?と考えて真っ先に思いついたのがこのバンドだった。今のNOT WONKは戦う相手を音楽そのものに向けている気がする。「俺には何を許してくれる?何をさせてくれる?お前の力を貸してくれよ。でも調子乗るんじゃないぞ、俺が音楽になってやる。」そんなことを音楽に語り掛けてる気すらしたな。
CAN YOU?? / BiSH
今年で5年連続でボロフェスタに出演してもらってる彼女たちの魅力は今年のアルバムでもやはり曲。彼女たちはとても可愛らしいし、一生懸命な姿はとてもかっこいいし、でも何より曲。曲がいいというより「好きなやつ」なんだよな。かつアイナ・ジ・エンドの歌唱力がハンパないことは僕を彼女のファンにするのに全く時間を要さなかったし、そんなアイナも作詞に関わっているこの曲は、イントロからのブラストビートはメロディックパンクの美に首ったけの僕をぶち上げ、大サビ前のアイナのソロパートに「今年も呼んでよかった…!」とここで開くステンドグラスを想像したのでした(セトリに入ってなかった泣)。
草木 / 長谷川白紙
なんなん。現役の音大生だというが、なんなん、この詰め込み方も譜面に落とせるわけ?なんなん。脳ミソ何個あるん。ってか何人いるん、ホントに一人?なんなん。ビート、音色、フレーズ、メロディ、言葉、全部全部思いついたアイデアを詰め込んで形に成しえちゃうイノセントさに恐ろしさを憶えました。この年齢じゃなきゃ作れない曲だし、簡単に世界へ発信できる世の中だからこそ人の目に止まった時代の寵児だよな。なんなん。こわっ。
シャッフル / アフターアワーズ
nano賞というか、うちに頻繁に出てるアーティストからはこの曲。大阪のベッドタウンの風景が思い浮かぶ(住んだことないけど)ショー・ウエムラのソングライティングはホントに涙を誘う。彼らの青春時代を過ごした姿まで、学ラン姿の彼らまで簡単に想像できる。印象に残る景色をバックに突然意図せずにシャッフルで流れ出す音楽には感じたことのない新しい発見があるものだ。音楽の聴こえ方の変化による自分自身の成長を描いた名作エッセイのような曲です。
No Memories / bacho
LOSTAGEとのスプリットの1曲目。ガーン!と食らった。ライブハウスの現場を仕切るものにとって何より大切なのは共有だと思っていた。一つのステージに向けてフロアが一体になって同じように感動を覚えてこそ、それでこそ生まれる大きなヴァイブスだと思っていた。が、そんな共有なんて現象はどうでもよく偶然そうなればそこに問題はないが、大事なのは音楽がプライべート体験でしかないこと。フロアで人が隣でどうしてるかなんてどうでもいい。自分が個として受け取れたならそれでいい。それぞれが心を動かされればいい。大きなヴァイブスは予定調和でなく突然の粉塵爆発で生まれるのだ。こんなことを僕に思わせてくれたこの曲は今年で1番の出会いかもしれないな。
安井 卓也(寺田町 Fireloop)
大阪環状線寺田町駅、徒歩2分の距離にあるライブハウス、寺田町Fireloopのブッキングマネージャーです。ソウルフードというバンドのベーシストでもあり、寺田町ローカルに火を灯すべく、今夜も酒を片手にミッドナイトをクルーズしています。
Webサイト:http://fireloop.net/
“みずいろ” FATE BOX
“レイトショー” マイアミパーティ
“メリーバッドエンド” World’s End Super Nova
“向日葵” blondy
“Hate” Hue’s
寺田町Fireloop安井です、今年もお世話になりました。この記事を書いているときはまだ12月半ば、飛ぶように過ぎていく日々の真っただ中でこの一年を振り返りながら5曲、選ばせていただきました。
今年は夏にギュッと思い出が詰まっているのですが、その中で出会ったのがFATE BOXというバンドでした。
「青春時代に聴きたかった」と思わずにはいられない、退屈と不安に押しつぶされそうだった10代を越えるために必要な言葉と音が全部詰まっているのがこの“みずいろ”という曲です。
そんなFATE BOXと9月にツーマンライブを組んでくれたのが、blondyだったんですよね。向日葵が入っているアルバムもその日にリリースでした。来年は彼らのことを知らずにはいられない年になるので、今からしっかり聴きこんでおくことをお勧めします。
知らずにはいられない、と言えば、今年のHue’sなんかは正にそうだったのではないでしょうか。去年のSUMEER SONICから勢いを殺すことなく、今年は東京の各種サーキットで入場規制なんかも掛かったりしていたみたいです。良いじゃん良いじゃん、もっとやれ!という気持ちです。
マイアミパーティは上記のバンドに出会ってほしいバンド、という立ち位置にいますね。青春を経て大人になって、そこからの生活のことがしっかり歌われています。レイトショーのエンドロールに人生を掛けるなんて、ずるくないですか?初見でしっかり涙腺持っていかれました。
World’s End Super Novaというバンドは、ここまでの話とは少し趣が違うというか、また別ベクトルで僕がこの1年何度もリピートしてきたバンドです。関西でこんなに言葉が残るバンド、そういませんよ?という気持ち半分、自分だけの宝物でいてほしい気持ち半分、こういう奴が「売れる前から知ってたし!」とか言うんでしょうね。知らんわ!という気持ちです(笑)「あの日のバッドエンドがあったから今があるとか、」という前置きから綴られる、今この瞬間の幸せは自分で選んでいくんだよ、という曲です。だからメリーバッドエンド。
長くなりましたが、正直まだまだこの1年を振り返って話をしたいバンドは沢山います。それだけ出会って来ましたし、それだけたくさんの言葉を受け取ってきました。僕はどうしても日本人が日本語で歌うロックバンドが好きなので、結局は歌詞の話になるんですよね。勝手に受け取って、勝手に人生の足しにしてもらえたらそれで良いと思います。
来年もまた沢山の言葉と音楽に振り回されて、楽しく過ごしましょうね。それでは皆様、お体に気をつけて!良いお年を!
山中ジョンジョン尚之(ダイバーキリン)
大阪のバンド、ダイバーキリンでギターを弾き、歌い、歌詞をつくり、曲を練っています。
大阪の阪急淡路駅前、cafe, bar & musicアトリの店長もしています。
Twitter : https://twitter.com/ymnkno
ダイバーキリン Webサイト : https://diverkirin.com
“ふん” モテギスミス
“Pearl Cadillac” Gary Clark Jr.
“Beware of the Dogs” / Stella Donnelly
“雀ノ欠伸” Saucy dog
“Drive” ORANGE FANG FANG BOYS
2018〜2019年の出会いで大きかったモテギスミス、ショートな楽曲で投げ捨てるような歌い回しとギター。
今年のフジロック、YouTubeでの中継を観ていた中でも目に耳に飛び込んできたGary Clark Jr.、ハコもののギターであんな下品に(最大級の敬意を込めてます)歪ませていいんや!
先日の来日公演大阪、ソロでのBeware of the Dogs、ひっくり返りそうになるような透き通る声、瑞々しいギターのStella Donnelly。
テレビでたまたま観てびっくり、今後(もう?)3ピースバンドの光になってくれそうなSaucy dog。それ以上も以下もないアンサンブルとメロディ。
最後は今年、佐賀で共演した韓国のORANGE FANG FANG BOYS、どの曲も自分のライブより叫んでしまう、笑ってしまう。。。スーパーナイスガイ。
今年影響を受けた方々です。
吉岡哲志(Sawa Angstrom)
京都在住音楽作家、レコーディングエンジニア。“LLama”のメンバーとして Rallye Label や wonderground music から作品をリリース。レコーディングスタジオ“STUDIO INO”を運営し、エンジニアリングをはじめとし多くのアーティストの制作に携わる。2018年から浜田淳、児玉真吏奈とのエレクトロニックユニット・Sawa Angstrom をスタート。
“Deeper” Muta
“Isometry (Hundreds Remix)” Odd Beholder
“The Universe Sent Me” The Chemical Brothers
“For How Long (feat. Saint Sinner)” Tycho
“Anasickmodular” Floating Points
“Deeper” Muta、ローファイかつインテリジェンスなトラックが好き。“Isometry (Hundreds Remix)” Odd Beholder、乾いたサウンドとグッドメロディー、原曲を超えるリミックス。“The Universe Sent Me” The Chemical Brothers、エモさと肩透かし感のバランスというかこういうセンス。“For How Long (feat. Saint Sinner)” Tycho、フジのYoutube配信でみてました、生で見てたひと羨ましい。“Anasickmodular” Floating Points、始まった瞬間の「コレコレ」感がすごいなと思った。
吉田紗柚季(アンテナ:ライター)
“やみよのさくせい” Hei Tanaka
“p.u.n.k” 家主
“火の玉ロック” 台風クラブ
“よるべ” のろしレコード
“トワイライト” スカート
今年は個人的に身辺がかなり大変だった年で、何年経っても思い返すことになるだろうなと思っています。実はベスト選出作業というのがかなり苦手なたちなんですが、いっそのこと徹底的にそんな暗い胸の内に舵を切ってやろうと考えながら選びました。
どうしてもアルバムって、出てからだんだんと聴く頻度が減っていってしまうものですが、一番そのペースが衰えずよく聴いていたのがHei Tanakaでした。Hei Tanakaと片想いは今のカクバリズムのマインド面での屋台骨なのではないかと思っています。どこから切っても最高な家主の新譜からは、大変悩みましたが、2分31秒というサイズとギターソロ後のドライヴ感が涙が出るほど美しいこの曲で。ギリギリ今年リリースの“火の玉ロック”と『トワイライト』の仄暗さには大変助けられました。今年は折坂さんのライブをよく見たのですが、一番頻繁にステージでお見かけしたのは、5曲のうちHei Tanakaとのろしレコードに参加しているあだち麗三郎氏だと思います。
神戸に5年ほど住みまして、結局一度もイノシシを見ないまま年明けからは京都府民です。在京の皆さま、またそうでない皆さまにおかれましても、来年よろしくお願い申し上げます。良いお年を。
吉田ゴルゴス(チャンポンタウン)
アート集団「溺れたエビの検死報告書」などでギタリストとして活動後、2018年「チャンポンタウン」を結成、歌とギターと作詞作曲担当。細野晴臣やBO GUMBOSなどの日本のエキゾチックソウルから影響を受けたサウンドは敵も味方につける圧倒的ポップネス!!
“Playground” Steve Lacy
“屋久の日月節” 水曜日のカンパネラ&オオルタイチ
“SSW” ASAYAKE01
“Grandeza” Sessa
“El Diablo Me Va A Llevar” Nicola Cruz
Steve Lacy 〜カリフォルニア〜
最近LAに行った友達が言っていましたが、朝起きてカーテンを開けると西海岸のカラッとした空気と青空が広がり、小さな悩みとかほんとにどうでもよくなって一日が始まるそうです。イメージ通りの情報で嬉しいです。そんな感じで聴いてました。アメリカ行ってみたい。
水曜日のカンパネラ&オオルタイチ 〜屋久島〜
過去に屋久島へは2度訪れたことがあります。美しい苔に水滴、まるで一粒一粒に神さまが宿っているようでした。また行きたいです。
ASAYAKE01 〜大阪〜
再始動本当に嬉しかったです。アサヤケさんとは家がとても近所だそうですが、この町に住んでおよそ10年、一度も会ったことがありません。おそらく5回くらいはすれ違ってるかもしれませんが、お互い前しか見てないのでしょう。
Sessa 〜ブラジル〜
この人のアルバムは家でも車でもめっちゃ聴いてました。歌とガットギター、パーカッション、コーラスというシンプルなアンサンブルで作られるグルーヴに体の芯からブラジリます。
Nicola Cruz 〜エクアドル〜
ドミューンで見たドイツのアーティストMartha Van Straatenきっかけで最近のヨーロッパ界隈のミニマルテクノやダウンテンポにハマって知りました。真夜中の森の深く未知なる世界との狭間のような妖しい匂いに惹かれます。あと音楽じゃないけど、今年万博公園の民族学博物館でやってた「驚異と怪異」展も合わせて、最近ライブでやってるチャンポンタウンの新曲はこの手の世界感にとても影響されてます。
2019年も音楽のおかげで色んなところへ行けたな〜脳内で。聴覚を通じて感じる匂いや風景は創造力の源です。来年もぶっ飛ぶような音楽作りますのでよろしくお願いします!よいお年を!!
“Playground” Steve Lacy
“屋久の日月節” 水曜日のカンパネラ&オオルタイチ
“SSW” ASAYAKE01
“Grandeza” Sessa
“El Diablo Me Va A Llevar” Nicola Cruz
yoshinao miyamoto(YMB)
YMBのギター・ボーカル担当
YMB
宅録でソロ活動をしていたyoshinao miyamotoが中心となって2016年に結成された4人組バンド。新しくもどこか懐かしいポップミュージックを日本語で歌う。2018年に正式メンバーとなる山口博生と今井涼平を迎え、2019年1月には最新アルバム『CITY』をリリース。大阪を中心に活動中。
yoshinao miyamoto(Vo / Gt)
いとうまゆ(Vo / Ba)
今井涼平(Gt)
ヤマグチヒロキ(Vo)
“Who Wants To Be a Millionere” Chinatown Slalom
“Blue Moon” WONK
“Hello Anxiety” Phum Viphurit
“友達” さとうもか
“すこやかさ” 柴田聡子
“Who Wants To Be a Millionere” Chinatown Slalom
訳のわからない音が沢山鳴っていて気持ちいいです。逃避願望のあるぼくにはピッタリの、聴いた瞬間に持っていかれる曲です。新婚旅行で行ったモルディブの海に浮かびながら聴いてました。
“Blue Moon” WONK
こちらも音が気持ち良く、聴いた瞬間別世界に連れてかれます。曲を作るとき音色などにわりと無頓着だったぼくが、もっと音を追求しようと思えたきっかけの曲です。
“Hello Anxiety” Phum Viphurit
全てスタイリッシュでかっこいい。生まれ変わったらこんなミュージシャンになりたいです。
“友達” さとうもか
今年2回ライブでご一緒しましたが、いつも圧倒されます。この曲はもかちゃんの人柄が曲調と歌詞に一番ダイレクトに出ている気がして好きです。
“すこやかさ” 柴田聡子
歌詞とメロディーがすごく馴染んでいて、頭で理解せずともすっと体に入ってきます。独特ながら突き抜けたポップソングを作り続けられていて、とても尊敬します。
リクオ
京都出身。’90年メジャーデビュー。
’92年、忌野清志郎との共作シングル“胸が痛いよ”を忌野清志郎プロデュースでリリース。 ツアーで鍛えられたライブパフォーマンスと 幅広いソングライティングが支持を集め、いつしかローリング・ピアノマンと呼ばれるように。
’19年6月アルバム『グラデーション・ワールド』全国発売。収録曲“オマージュ – ブルーハーツが聴こえる”が話題に。
’20年1月11日、16曲入りライブ・アルバム『Gradation World Live』を、ストリーミング配信及びダウンロード販売のみでリリース予定。
“Pop Virus” 星野源
“彗星” 小沢健二
“Here Comes The Sun (feat. dodie)” Jacob Collier
“Bad(covers Michael Jackson)” Billie Eilish
“オマージュ – ブルーハーツが聴こえる” リクオ
※順位はなし
星野源は、PUNPEEとコラボした“さらしもの”もよかった。彼の今いる場所からのリアリティーがちゃんと伝わって、嫉妬しました。オザケンの“彗星”を最初に聴いた時はまず、言葉の乗せ方、歌唱への違和感が先に立ちました。けれど、曲を繰り返し聴く内に、むしろその「違和感」の部分に「肝」があると感じるようになりました。音楽性は随分と違うけれど、友部正人さんや早川義夫さんを初めて聴いた時と共通する感覚を思い出しました。星野源と小沢健二、この2人の新作を聴きながら、自分が今できること、やるべきことを確認していた気がします。
Billie EilishとJacob Collierの才能には、打ちのめされそうになりました。2人のカヴァー曲を聴くと、よりその才能の破格さが伝わる気がして、この2曲を選びました。スタジオ録音の音源も素晴らしいけれど、YouTubeに上がってるライブ音源が両者ともに素晴らし過ぎます。特に、Tiny Desk ConcertでのJacob Collierのパフォーマンスには震えました。今年は、自分にとってはサブスク元年。YouTubeもよく観た年だったので、それらの傾向が、選曲にも反映されました。
アルバム『グラデーション・ワールド』と、アルバム収録曲“オマージュ – ブルーハーツが聴こえる”のリリースは、自分にとっての今年最大の出来事でした。さらに、届くべき人に届くことを願って選曲させてもらいました。
- 今また初期衝動に戻ってきた – リクオ『Gradation World』リリースインタビュー–
- リクオ『Gradation World』スペシャル・ライヴat 代々木・Zher the ZOO レポート
- 峯大貴が見たボロフェスタ2019 1日目
林以樂(リンイーラー / SKIP SKIP BEN BEN)
バンド ・雀斑(freckles)や、ソロプロジェクトSKIP SKIP BEN BENで活躍し、台湾はもとより日本でも多くの支持を集める音楽家(多くの人は彼女をbenbenという愛称で呼んでいる)。2019年からスタートさせた、本名名義での新しいプロジェクトで新作音源『L.O.T』をリリース。
“迷途” Angel Baby
“Paradiso” Erlend Øye & La Comitiva
“同じ夜を鳴らす” 思い出野郎Aチーム
“You Drive Me Crazy” VIDEOTAPEMUSIC feat.周穆(Murky Ghost)
“我来了” シャムキャッツ
小さい頃から私の父はジャケットのデザインに惹かれて、面白いレコードをよく買って帰ってきた。
家族全員が気に入って手放せない、ノルウェーのバンドKings of Convenienceのアルバムもその中の一枚。ボーカルのErlend Øyeはフォーク・シンガーのアーティストとして知られたが、2003年にドイツに移住したのち、初のソロ・エレクトロニック・アルバム『unrest』をリリースし、また新しい一面を見せた。
そして彼はThe Whitest Boy Aliveをドイツで結成し、人々をまた驚かせた。さらにバンドが活動休止してから数年後には、私が大好きなErlend Øye & La Comitiva名義での活動をイタリアで始めた。これはなんと、歌詞までイタリア語で書かれている。
人間として、自分の出身を選ぶことはできないけれど、努力をすれば自由に多言語を話すことができる。寒い北国に住んでいる人でも、南米音楽の情熱的なリズムを上手に操える。思い出野郎Aチームの新作『share the light』も同じく、慎ましい国民性を超え、黒人由来のソウルミュージックの情熱と狂気を表現している。シャイボーイなシャムキャッツも、何十億人もの華人が毎日口にしている挨拶である“我來了!”を、何らはばかることなく歌うことができる。
2019年に私が音楽に関して最も関心を寄せていることは、人は本来誰でも色々な衝撃と障害を克服するための能力を持っているということ、そもそも国と国、長所と短所という壁など存在しないということ、そして、唯一宇宙万物を通わす言葉は音楽だということ。その上で、アートと呼ばれるものは、流行りに流されない誠実な行動と言葉だ。
思いを馳せるのは、アフガニスタン人民の平和な生活を実現させるため、献身的に身を投じられた中村哲先生のこと。
皆様良いお年を、世界が平和でありますように。
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はろーべいべーあべです。フェスティバルとクラブカルチャーとウイスキーで日々をやり過ごしてます。fujirockers.orgでも活動中。興味本位でふらふらしてるんでどっかで乾杯しましょ。hitoshiabe329@gmail.com
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