鑑賞ナビゲーターキャンプ2021
「アートってどうみたらいいの?と思ったことがある人へ」の様子(2020年)
撮影:谷康弘
8月7日(土)、8日(日)の2日間〈山口情報芸術センター[YCAM]〉にて、「対話型鑑賞」のスキルを学ぶ「鑑賞ナビゲーターキャンプ2021」が開催される。
「対話型鑑賞」とは、1つの作品についてグループで話し合い、そこででた疑問・意見・感想・解釈などを深めながら芸術作品を鑑賞する手法だ。1990年頃からニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発され、近年では学校教育や医療、ビジネスの現場においても注目を集めている。芸術作品になじみがないと感じる人でも作品鑑賞を楽しみ、観察力や思考力、コミュニケーションスキルなど、作品鑑賞以外の能力向上につながるのだ。
YCAMは2003年の開館以来、「つくること」だけでなく「みること」にも重点をおき、鑑賞者が作品について考え、その意味や価値をともに付け加えていく機会を作りつづけてきた。展覧会や公演に際して実施するギャラリーツアーやバックステージツアーは、その代表的な例だろう。これらのプログラムは、日常的には接する機会の少ない作品の制作プロセスを紹介するとともに、参加者同士の意見交換を軸に多面的な作品理解を促すものとなっている。こうした取り組みを踏まえ、今回のイベントでは「作品鑑賞」という行為をより俯瞰的・総合的に捉える視点を持ち、作品鑑賞を通じた共通理解や合意の形成をおこなうファシリテーター/ナビゲーターを育成するプログラムとなっている。
講師には、鑑賞教育の専門家として京都芸術大学の伊達隆洋氏を迎え、様々な解釈が可能な作品の鑑賞と、そのファシリテーション技術のレクチャーを実施。対話型鑑賞の基本から実践まで本格的に学んでいく。美術館の教育普及プログラムに携わる人はもちろん、特に双方向的な授業の設計を目指す教師の人や、企業内での人材育成や研修などチームビルディングに携わる人も参加できるプログラムとなっている。
正解か不正解かといった二元論ではない、問題の解決方法や異なる価値観を持つ他者とのコミュニケーションのあり方について考えを深める機会として、さまざまな人に参加してほしい。
関連イベント
■私もアートがわからない
2021年10月9日(土)、2022年2月5日(土)
芸術作品をより楽しみ、理解を深めるためのイベント。作品鑑賞の際に生まれる「わからない」という感覚を出発点に、作品鑑賞をより楽しむ「コツ」を、ワークショップや作品の鑑賞会などを交えながら伝えていく。
■キキミミチャンネル
2021年10月16日(土)~2022年1月29日(土)
芸術作品の鑑賞を通じて「未知なるものを面白がる力」を育むための、対話型のイベント。スタッフとともに、YCAMで開催中の上映や展覧会などを鑑賞したうえで、参加者がじっくり考えたり、互いに感想を交換したりしながら、対話を重ねていく。
INFORMATION
日時 | 2021年8月7日(土)、8日(日)10:30〜17:00 |
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会場 | 山口情報芸術センター[YCAM] スタジオA |
講師 | 伊達隆洋(研究者/京都芸術大学准教授) |
定員 | 40人 |
対象 | 18歳以上 |
料金 | ¥8,000 ※要申込、抽選 |
申込方法 | YCAMのウェブサイトに用意された申込フォームに必要事項を記入のうえ、お申し込みください。 |
申込期間 | 5月1日(土)~7月3日(土) |
イベントページ | https://www.ycam.jp/events/2021/art-appreciation-navigator-camp/ |
主催 | 山口市、公益財団法人山口市文化振興財団 |
助成 | 令和3年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業 |
後援 | 山口市教育委員会 |
技術協力 | YCAM InterLab |
企画制作 | 山口情報芸術センター[YCAM] |
お問い合わせ | 山口情報芸術センター[YCAM] |
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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