COLUMN

【2023年6月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

MUSIC 2023.06.22 Written By 乾 和代

「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」

「かっこいいバンドはいるの?」

 

「今」の京都の音楽シーンを追う、この連載!今月も今聴いておきたい注目のアーティストを紹介していただきます。

 

紹介者は以下の方々です。(五十音順)

  • 京都GROWLY 店長:安齋智輝
  • livehouse nano 店長:土龍

京都GROWLY 店長:安齋智輝の注目アーティスト

the loquisea

近年結成されたばかりの4ピースバンド。いろんな前身バンドを経て、もしくは兼ねてのメンバーから成ります。「ロクイーシー」と読みます。造語とのことです。

 

まだライブも少なく露出してないが、もう青と煌めきが最適するセンスあふれるサウンド。シューゲイザー・ドリームポップを屋台骨に、ツインボーカルとドローンなギターの応酬でシステマティックな構成でありつつも、水面からひょっこり顔を出すその独特なキャッチーさとPOPさにハッとする。シューはではなく空をゲイズしてるような。コーネリアスの“Star Fruits Surf Rider”をカヴァーするなど、ルーツもナード且つハイセンスなことが読み取れる佇まいもあり。シーンとシンクロしながらもふわふわと多方面に漂っていきそうな、捕まえられない浮遊感そのものという印象です。

 

まだ作品や映像といった情報が少ない!現在聴ける音源はこちら。ときどき出現するそのライブ、ぜひ見ておいてください!

Twitter

@the_loquisea

the loquisea 出演イベント:『You have to find MoritaSaki.』

日時

2023年7月2日 (日)

open 18:00 / start 18:30

会場

京都GROWLY

出演

Blue tea / Moon In June / MoritaSaki in the pool / Summer Whales / the loquisea

料金

前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000(共に+1drink)

安齋智輝

京都GROWLYの店長です。

元和菓子職人です。

お菓子も音楽も手間暇と愛が必要、がモットーです。

livehouse nano 店長:土龍の注目アーティスト

Don Matsuo

言わずと知れたロックスター。ここで敢えて紹介するのもおこがましいくらいのパイセン。僕にとっては「マスター」と呼ぶレベルでリスペクトしているミュージシャン。とはいえ、今ライブハウスに集う若いキッズたちにとっては「知らない人」なのかもしれない。いや、酷な話で「そこは知っとこや、ロックが好きなら」とか思うけど、実際に共演すると「え。すごない。なんなん。」と驚いているのが流石で気持ちいい。ほら見たことかって(笑)。地元のキッズの中には僕のことは知っている人も多いので、その僕がそこまで言う人なんだってこれを機会に知ってほしい。出会ってほしい。このモンスタークラスの音楽家に。

 

ズボンズ、The9O$のフロントマンとしてエレキギターを弾き、唄い、今もなお活躍しながら、ソロで全国行脚も続けているパワフルさを誇る。今回はソロをフィーチャーして話そう。ソロで登場されるときは弾き語りのパターンも勿論あるが、ほぼバンドセットでの演奏になる。しかもご当地のメンバーと共にその日のリハで合わせてそのまま本番というリアルタイムジャムのスタイル。基本的にMatuso氏のバッキングギターのリズムに沿って演奏は進む。そのロックともバックビートとも取れない独特のタイム感によるグルーヴにステージ上のメンバーたちは翻弄されつつもいつしか溶け込んで一つの大きな塊と化していく。が、それが完成形ではなく、そこからさらに例えばMatsuo氏のギターソロで輪郭を歪め、その後にまた始まる再構築。一本のライブの中で何度も形を変えていくさまは音楽の進化の歴史を凝縮したスペクタクルとも取れる。しかし最終的にはフロア全員が手を上げるキャッチ―なヴァイブスで満たされる。ロックやバンドによる表現の未来がそこにはある。

 

バンドは「形」である。表現したいことが先にある。それを表現するために必要なフィジカルを具体的に鳴らすことが大切。その方法論がバンドであったりするだけ。バンドという形にこだわるあまり自分で自分の殻を破り切れていない若いミュージシャンはまだまだ多い。ライブ中にまで「スクラップ&ビルド」を繰り返し表現を突き詰めようとするその飽くなき挑戦を、この先輩がまだ続けている。負けてちゃいけないよ、君たちには未来しかないんだ。

 

一度僕の「マスター」に会いにおいでよ。心の中でいらない何かがはじけ飛んで、本当に必要な何かが芽生えるから。

2021.11.14難波mele Don Matsuo Group/On The Street(THE BLACK DOLPHINS+井上((The)SEGAREKIDS)

Twitter

@DON_Matsuo

Don Matsuo 出演イベント:『BE HONEST』

日時

2023年7月1日(土)

open 19:00 / start 19:30

会場

livehouse nano

出演

Don Matsuo with BEETHOVEN FRIEZE / BEETHOVEN FRIEZE
 / 水平線 / halo

料金

前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000(共に+1drink¥500)

土龍

1976年京都府生まれ。
二条城の東側にある全国でも稀に見る小ささのライブハウス、livehouse nanoの店長兼音響兼照明兼制作兼雑用。毎年秋には仲間と共にロックフェスティバル「ボロフェスタ」を主催。派手好きの単純思考のパリピの一種。

livehouse nanoではドネーショングッズをオンラインストアにて販売中。新グッズも日々入荷中!

https://livehouse.thebase.in/

Youtubeチャンネルでは無観客ライブも日々開催しています。ぜひチャンネル登録を!

https://www.youtube.com/channel/UCV904VJscUg3jr9guSXf_-w

WRITER

RECENT POST

COLUMN
【2024年4月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2024年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2024年3月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
Homecomingsのターニングポイントで実現した、くるりとの特別な一日
COLUMN
【2024年2月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2024年1月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
Summer Whales “Burden” – 新しい兆しを感じる、スローバラード
COLUMN
【2023年12月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
HOT UP MUSIC 2023 ニューカマーPICK UP
REPORT
2日目の『京都音博』に感じた“らしさ”の理由 -『京都音楽博覧会2023』ライブレポートDay2
REPORT
邂逅の先に芽吹いた、 新しい景色-『京都音楽博覧会2023』ライブレポートDay1
REPORT
ボロフェスタ2023 Day3(11/5)- 違う景色を“DO IT YOURSELF”で描く。それ…
COLUMN
【2023年11月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2023年10月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
この先もCHAINSとしてバンドを続ける決意の1枚 ー『decades on』インタビュー&全曲解説
COLUMN
【2023年9月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
ナノボロ2023 Day1(8/26)‐ 4年振りに体感した熱量、これが『ナノボロ』
INTERVIEW
“捨てる”は、あの場所にかえる動機になる? 集う人と『森、道、市場』をつなぐ…
COLUMN
【2023年8月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
ターニングポイントは『るろうに剣心』。映画のまち京都で、時代劇のつくり手と奮闘する映画祭のはなし
COLUMN
【2023年7月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
自由な即興と枠組みの楽曲。三者三様の即興アーティストが矛盾を昇華させるバンドkottをはじめた理由と…
COLUMN
【2023年5月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2023年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
くるりの原点に戻れる場所〈拾得〉でみせたバンドとしての最新型
COLUMN
【2023年3月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2023年2月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
3年越し、初の磔磔のワンマンでCuBerryが開いた未来への扉
COLUMN
【2023年1月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年12月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年11月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
ボロフェスタ2022 Day1(11/3)-帰ってきた、ライブハウスと地続きの“日常”
REPORT
京都音楽博覧会2022 in 梅小路公園 ライブレポート
COLUMN
【2022年10月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
人と人をつなぎ価値を創る。『京都音楽博覧会』を起点に拡がる、足立毅が目指すまちづくりとは
COLUMN
【2022年9月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
乾和代の見たナノボロ2022 day1
COLUMN
【2022年8月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年7月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年6月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年5月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2022年3月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
「くるりの25回転」のライブ感を配信でも届けたい!~エンジニア谷川充博の音づくりの舞台裏~
COLUMN
【2022年2月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
カタチを変えて巡り合う、CuBerryと音楽のルーツたち
INTERVIEW
よそ者がつなげた京都のシーン ‐ 折坂悠太と重奏 –
REPORT
乾和代が見たボロフェスタ2021 Day5– 2021.11.6
REPORT
京都音楽博覧会2021 at 立命館大学 オンラインライブレポート
REVIEW
くるり – 天才の愛
INTERVIEW
街並みを守っているのは誰?今知りたい、景観のはなし
INTERVIEW
Vol.2 民族楽器 ねじれが生んだ、今“ポップ”なサムピアノとは
REPORT
京都音楽博覧会 2020 in 拾得 オンライン ‟配心”ライブレポート
REVIEW
くるり – thaw
INTERVIEW
『?』から『Hotokeno』へ。オオルタイチ20周年の軌跡
REPORT
京都音楽博覧会 2019 in 梅小路公園 ライブレポート
INTERVIEW
【実は知らないお仕事図鑑 P6:『ギア -GEAR-』プロデューサー】小原啓渡
ART
REPORT
くるり『列島ウォ~リャ~Z』ツアーファイナル @磔磔 ライブレポート
INTERVIEW
私たちがアンテナをやる理由。【副編集長・フォトグラファー岡安編】
INTERVIEW
【実は知らないお仕事図鑑 P5:音響ケーブル職人】タケウチコウボウ / 竹内良太
INTERVIEW
『下鴨ボーイズドントクライ』篠田知典監督インタビュー 彼の作品に映し出される”リアル”を形づくるもの…
REPORT
『音楽ライター講座』特別トーク・イベントレポート レコーディング・エンジニア谷川充博が教えてくれた、…
COLUMN
【くるりメジャーデビュー20周年 特別企画】君は12枚を選べるか?くるりファン3人による くるりアル…
REPORT
京都音楽博覧会2018 in 梅小路公園 ライヴレポート
REVIEW
Laura Gibson – Empire Builder
REVIEW
The Velvet Rope – Janet Jackson

LATEST POSTS

COLUMN
【2024年4月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「大阪のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シーンを追…

REVIEW
aieum『sangatsu』―絶えず姿形を変え動き続ける、その音の正体は果たして

沖縄出身の4人組バンド、aieumが初となるEP『sangatsu』を2024年3月20日にリリース…

INTERVIEW
新たな名曲がベランダを繋ぎとめた。 新作『Spirit』に至る6年間の紆余曲折を辿る

京都で結成されたバンド、ベランダが3rdアルバム『Spirit』を2024年4月17日にリリースした…

COLUMN
【2024年4月】今、東京のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「東京のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」京都、大阪の音楽シーンを追っ…

COLUMN
【2024年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シー…