REVIEW
The Velvet Rope
Janet Jackson

ミュージックビデオから感じるスーパースター性

先日のスーパーボウルでは、プリンスとの共演で話題沸騰のジャスティン・ティンバーレイク。この日のパフォーマンスは『Filthy』からはじまり『Sexy Back』が披露され、14年前のジャネット・ジャクソンとのあの事件を思い出した人も多いのではなかろうか。

 

さて、そんなジャスティンと縁のある彼女の『Got’til it’s Gone』のMVは、『Filthy』でも監督を務めたマーク・ロマネクが手がけたものだ。音楽の持つ潜在性を引き出し、新たなアングルを見せてくれるのがMVの魅力でもあるが、2作ともにアーティストと音楽が持つセクシャルな輝きが、彼らのステージに魅了される聴衆からも伝わってくるロマネク監督らしい作品。『Filthy』ではジョブズ風のジャスティンが2028年のマレーシアを舞台にAIのパフォーマンスを行なっているのに対し、『Got’til it’s Gone』ではジャネットが1960~70年代の南アフリカでラウンジ歌手に扮している。注目はラストのワンシーン。前者は歓声とAIを残して消える、操者と思われた人間(ジャスティン)、後者は「白人専用」の文字に投げつけられるワインボトル。歌では2人称と思われた世界が、MVでは社会的な色味を帯びる。ロマネク監督のMVは数あるが、それぞれ時代を象徴するスーパースターの二人だからこそ、MVにもこのようなつながりが生じたのではと思えてならない。

第一回 :Man Of The Woods - Justin Timberlake

選定者:ki-ft

The Velvet Rope「Got 'til It's Gone」 - Janet Jackson
Purple Rain - Prince
24K Magic - Bruno Mars
Musical Massage - Leon Ware
Man Of The Woods - Justin Timberlake
Down To Earth Soundtrack (SNOOP DOGG「Gin and juice」) - Various
Traveller - Chris Stapleton
Hidden Figures Soundtrack - Various
Wanderlust - Little Big Town

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