COLUMN

【2024年3月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」

「かっこいいバンドはいるの?」

 

「今」の京都の音楽シーンを追う、この連載!今月も今聴いておきたい注目のアーティストを紹介していただきます。

 

紹介者は以下の方々です。(五十音順)

  • 京都GROWLY 店長:安齋智輝
  • livehouse nano 店長:土龍

京都GROWLY 店長:安齋智輝の注目アーティスト

about a ROOM

GROWLYの創成期から福岡より支え続けてくれている4人組のロックバンド、about a ROOM。出会いは10年ほど前、遠征で出演してくれた際に前情報無しで見たと思います。

 

「うおー!SUPER BUTTER DOGみたいで超かっこいいやんけー!」
「僕らそのコピバンからスタートしてるんすー!」的な会話で意気投合。

 

とりとめもない小さいきっかけから、その後GROWLYにはかけがえのないバンドとして今に至る。ファンキーでポップで躍動感あって、いなたいオルタナ指向の僕もハッとする音楽もすばらしいのですが、うちに泊まりに来てジョンフルシアンテの映像見て夜を明かしたり、バーベキューをしたり、特に意味のない長電話をしたり、遠い福岡から日帰りで何度もライブに駆けつけてくれたりと、もはや友人か。それもこれもabout a ROOMの音楽性はもちろん、人を大事にする心に惹かれてるのだろうなと思います。

 

そんな彼ら、GROWLYの周年でここに来て初の自主企画をヤッテくれます!地元でもそんなにやってないのに京都で!この10年を一瞬のものにする縁と、新しい出会いをうまくマッチした最高のラインナップで。お互い経たねぇと思いつつ、ここからまた次の10年に向けて。これがバンドの中のバンド、about a ROOMです。

【MV】about a ROOM「ふーふー」

X(旧Twitter)

@aboutaROOM_info

Webサイト

https://www.tunecore.co.jp/artists/aboutaroom?lang=ja

about a ROOM 関連イベント:【GROWLY 12th Anniversary!!】about a ROOM presents 『我愛你京都成長拾弐周年大感謝祭』

日時

2024年4月14日 (日)

open 16:30 / start 17:00

会場

京都GROWLY

出演

about a ROOM / モケーレムベンベ / ミスタニスタ / 171 / 
sukida dramas

料金

¥2,400(共に+1drink)
※高校生以下無料(1drink代のみ)

安齋智輝

京都GROWLYの店長です。

元和菓子職人です。

お菓子も音楽も手間暇と愛が必要、がモットーです。

livehouse nano 店長:土龍の注目アーティスト

楽しんでいこうや西岡

大阪のソロシンガー、楽しんでいこうや西岡と狂ったチワワズのフロントマン、コロコロボンボンズのドラムボーカル、そして三国ヶ丘FUZZの店長などなど様々な顔を持つミュージシャン。nanoにはソロ及びチワワズでの出演が多い。チワワズドラムの紹介で始まり、そのギターによりAmsterdamnednの存在を知り、なにかと広がりのきっかけになっている人物。さすがライブハウスの店長といったところか。

 

西岡のソングライティングには、トラッドなフォークやロックンロールイズムが基本にある。あたたかい季節に昼寝から起きる手前の夢うつつの中で見える霞がかった景色のような描写はとてもロマンチックで、それが西岡のアンニュイで無邪気な声で唄われるとまるで絵本を読んでいるような、例えばティムバートンの映画を見ているような気にさえなり、音楽を聴くこととはまた別の体験を与えてくれる。そんな歌を唄うロックシンガーだ。
と、思っていた。

 

西岡の本懐は「いかに純粋であるか」にある。フォークやロックンロールという概念は彼にとって一つの方法論に過ぎず、時にはその形を壊すことも厭わない。音的に、パフォーマンス的に「ノイジー」であったり、空間系のエフェクトを極端なやり方で使用し輪郭をぎりぎりのところまでぼやかしたり、で、所謂「サイケ」な仕上がりを見せてくれ、パッと聴き形を成してないように思えるが、その音の発信地である西岡本人の存在というか「この音を鳴らしているのは僕だ」という意志は確実に捉えることができる。サイケデリックの定義なんてわからない。でも、ジミヘンだってビートルズだって、自分自身が音楽のこと何も知らなかった頃に聴いても衝撃を食らったじゃないか。ライブハウスの店長だから知っている、フロアにいる人たちの音楽ユーザーとしての幅の広さ。何も知らなかった人をさらにこの場所に引き込むためには、自分も音楽に対して無邪気でピュアでなくてはならない。

 

自己満足の実験的な音楽ではなく、飽くまでフロアに届けたい、音楽によって輪を広げたい気持ちを大切にした結果のアティチュード。

 

なんとも優しい男じゃないか、西岡は。

X(旧Twitter)

@nishiokatakuma

楽しんでいこうや西岡 関連イベント:モグラとこっけの『URARA of HARU』 at 京都livehohuse nano

日時

2024年4月22日 (月)

open 18:00 / start 18:45

会場

livehouse nano

出演

こっけ / 木村太郎(東京パピーズ) / カーミタカアキ(ULTRA CUB,加速するラブズ))/ egw(ゆ~すほすてる)/ 楽しんでいこうや西岡

料金

前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000(+1drink¥500)

土龍

1976年京都府生まれ。
二条城の東側にある全国でも稀に見る小ささのライブハウス、livehouse nanoの店長兼音響兼照明兼制作兼雑用。毎年秋には仲間と共にロックフェスティバル「ボロフェスタ」を主催。派手好きの単純思考のパリピの一種。

livehouse nanoではドネーショングッズをオンラインストアにて販売中。新グッズも日々入荷中!

https://livehouse.thebase.in/

Youtubeチャンネルでは無観客ライブも日々開催しています。ぜひチャンネル登録を!

https://www.youtube.com/channel/UCV904VJscUg3jr9guSXf_-w

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