NEWS

大阪発3ピースバンド「百回中百回」が初フルアルバム『一生中学生』を配信リリース。CDゲリラ配布も?

MUSIC 2025.09.29 Written By 阿部 仁知

大阪発の3ピースバンド百回中百回が、初となるフルアルバム『一生中学生』を10月1日(水)にリリース。各種サブスクリプションサービスにて配信されるほか、CDはグッズ購入者への配布、協力店舗への設置、Xでゲリラ告知をしメンバー自ら渡すなど、無料で手に入るさまざまな仕掛けを考えているようだ。

 

百回中百回は、ギャーギャーズの蛭田マサヤ(Gt / Vo)とピッサン(Dr / Cho)、元ロック大臣ズのガツオ(Ba / Cho)の3人により、2021年に結成されたロックバンド。地元大阪を中心にライブハウスで日々過ごしてきたキャリアに裏打ちされる、馬鹿馬鹿しくも感涙を誘うライブパフォーマンスには定評がある。そんな彼らのこれまでの集大成となるのが本作『一生中学生』だ。

 

メンバーと同世代の30代40代になった大人たちへ、過去を懐かしむだけではなく、“現在”も“あの日”から続く“今”なのだから、胸を張ってあの日のように今も思い切り楽しもうぜ、楽しめるぜ、というメッセージが本作には込められている。ぶっきらぼうな歌い回しや突拍子もないコーラスワーク、スタジオのラフな肌触りをキャプチャーしたサウンドはいい意味で男子中学生の悪ノリ全開だが、そんなピュアな熱情を、大阪のそこらにある小汚い居酒屋で管を巻くおっさんのようなトーンで描いているのがなんとも味わい深い。リリースに先立って公開された“暮らしの映画”のMVで、実に「ええ顔」で歌いならす3人の姿からもそれは伝わってくるだろう。

CDのリリース方法もとてもユニークで、グッズ購入者への無料配布や、協力店舗にCDを預ける形で設置する仕掛け、さらにゲリラ的にXのバンド公式アカウントから告知される場所にてメンバー自ら配布するなど、あの手この手で僕らに届ける方法を考えているようだ。このような一風変わったリリースはRadioheadなんかも想起させる。だがワールドワイドな問題提起も意図しているようなそれと違って、どちらかというと「こうやってみんなに届けるのがおもろいんとちゃう?」みたいな、彼らの生活と活動に根ざした泥臭さと、「ゼニやあらへん」心意気を感じさせる。実際にどう配布されるのかはよくわからないが、期待しながらXを追いかけるのもまた一興であろう。

 

レコ発企画も続々決定。10月29日(水)の〈下北沢 Daisy Bar〉での自主企画のほか、彼らのホームともいえる〈堺ファンダンゴ〉では初のワンマンも。どう考えてもライブで輝く楽曲が揃った本作なので、サブスクで聴いたりしながらライブで泣き笑い、CDもぜひいただきたい。なにやら「おもろい」ことが目白押しの百回中百回の今に注目していこうではないか。

 

一生中学生

 

アーティスト名:百回中百回
発売:2025年10月1日(水)
フォーマット:配信 / CD
配信リンク:https://linkco.re/1RCA0EYD

 

収録曲
01. YOLO
02. フラッシュバック
03. 暮らしの映画
04. あたしは龍
05. 幽体離脱と近鉄電車
06. やさしくなる
07. ダイアログウィズザユニバース
08. 男の人生
09. ニゲラ
10. ラストガッツダンス
11. 2020-2025
12. 昇龍拳
13. つかんでやる
14. 正しくない正しい

関東自主企画『発端』

日時

2025年10月29日(水)open 18:45 / start 19:15

会場

下北沢 Daisy Bar

出演

百回中百回 / BAZRA / 弱虫倶楽部 / 茶封筒

料金

前売り ¥3,000 / 当日 3,500

初の関西単独公演『一念発起』

日時

2025年11月23日(日)open 17:30 / start 18:00

会場

堺ファンダンゴ

出演

百回中百回

料金

百回御守り奉納者 無料 / 当日 ¥3,000

百回中百回

 

百回中百回は、ギャーギャーズの蛭田マサヤ(Gt / Vo)とピッサン(Dr / Cho)、元ロック大臣ズのガツオ(Ba / Cho)の3人により2020年に結成されたロックバンド。 大阪出身、独特な歌詞と踊りやすい曲を日本中のオトナ達へ届けるために活動中。

 

X:@hyakuinhyaku
Instagram:@hyaku_in_hyaku
YouTube:https://www.youtube.com/@百回中百回

WRITER

RECENT POST

REVIEW
くだらない1日『どいつもこいつも』 – 新章を告げる、高値ダイスケの詩情とバンドの確かな…
REVIEW
downt『Underlight & Aftertime』- 紆余の中、やりきれない閉塞か…
REPORT
駆け抜けた一年の果てにとがると見た光 – 12カ月連続企画『GUITAR』Vol.12 ライブレポー…
REVIEW
とがる『この愛が終わったら、さようなら。』 -別れと向き合いながら、それでも共に生きていこうとする
REPORT
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.7 BRITISH PAVILION OSAKA
REPORT
余暇の別府を満喫する、ユニバーサル観光×クリエイティブ -『おんせん都市型音楽祭 いい湯だな!』イベ…
INTERVIEW
建物を設計・デザインするように曲を作れたら – aldo van eyckインタビュー
INTERVIEW
この苦難の先にGREENJAMがたどり着いた「表現のプラットフォーム」10年目の現在地
INTERVIEW
新フェスティバル『ARIFUJI WEEKENDERS』が描く、自然に囲まれた気軽な週末体験
INTERVIEW
お互いをリスペクトし合いながら切磋琢磨する〈ungulates〉の在り方とは?オーナーKou Nak…
COLUMN
〈ungulates〉作品ガイド
REVIEW
くだらない1日『rebound』 – くだらない日々を迷い翔けるヒーローの肖像
REPORT
ボロフェスタ2022 Day2(11/4 KBS+METRO)- 変わらず全力が似合う21年目の第一…
REVIEW
downt『SAKANA e.p.』 – 今しかできないことを凝縮した鋭利なバンドサウン…
INTERVIEW
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.6 Gift
REVIEW
G’ndL『Crocodiles』 – 憂いも迷いも喜びもみんな夢の中
INTERVIEW
今のドイツを国外や他の世代に。『RISIKO』が描くカルチャーの肌触り
INTERVIEW
デモ音源にみる隠せないこだわり アーティストの原点に迫る試聴座談会 with HOLIDAY! RE…
REPORT
阿部仁知が見たボロフェスタ2021 Day6 – 2021.11.7
REPORT
阿部仁知が見たボロフェスタ2021 Day1 – 2021.10.29
INTERVIEW
Radioheadのファミリーに憧れて。OAS / Radiohead Nightが描くファンベース…
REPORT
Radiohead Night @ESAKA MUSE イベントレポート
REPORT
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.5 SUNNY SUNDAY SMILE
REVIEW
NEHANN – New Metropolis
REVIEW
Deep Sea Diving Club – SUNSET CHEEKS feat. M…
INTERVIEW
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.4:SCHOOL IN LONDON
REVIEW
black midi – Cavalcade
REVIEW
nape’s – embrace foolish love
COLUMN
歌い継がれるエヴァーグリーン|テーマで読み解く現代の歌詞
REPORT
阿部仁知が見たナノボロフェスタ 2020
REVIEW
VANILLA.6 – VANILLA.6
SPOT
Irish pub Shamrock ‘N’ Roll Star
REPORT
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.3:Potluck Lab.
INTERVIEW
FLAKE RECORDS
COLUMN
【Dig!Dug!Asia!】Vol.3 空中泥棒
INTERVIEW
メールインタビュー〜世界は今どうなっているんだろう?〜
INTERVIEW
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.2:mogran’BAR
INTERVIEW
Alffo Records
INTERVIEW
もっと広がりたい 再び歩み始めたSSWの現在地 ASAYAKE 01インタビュー
INTERVIEW
【もっと身近なクラブカルチャー】vol.1:GROOVER
COLUMN
お歳暮企画 | アンテナとつくる2019年の5曲 Part.2
COLUMN
お歳暮企画 | アンテナとつくる2019年の5曲 Part.1
REPORT
阿部仁知が見たボロフェスタ2019 3日目
REPORT
阿部仁知が見たボロフェスタ2019 2日目
REPORT
阿部仁知が見たボロフェスタ2019 1日目
REPORT
black midi live in japan @CLUB METRO ライブレポート
REPORT
【阿部仁知の見たボロフェスタ2018 / Day3】河内REDS / トクマルシューゴ / 本日休演…
REPORT
【阿部仁知の見たボロフェスタ2018 / vol.夜露死苦】And Summer Club / キイ…
REPORT
【阿部仁知の見たボロフェスタ2018 / Day2】ギャーギャーズ / 2 / 踊ってばかりの国 /…
REPORT
【阿部仁知の見たボロフェスタ2018 / Day1】眉村ちあき / fox capture plan…

LATEST POSTS

INTERVIEW
黒沼英之がEP『Lonely together』で描いた、寂しさの本質。旧友・小橋陽介のアトリエにて

10年間の音楽活動休止を経て、復帰後初のEP『Lonely together』を11月26日(水)に…

REVIEW
曖昧さを受け入れながら考え続けることのすゝめ – 櫻木勇人『余白』

曖昧さを受け入れながら考え続けることのすゝめ 曖…

COLUMN
【2025年11月】今、西日本のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「各地域のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」このコラムでは、西日本エリ…

REPORT
ボロフェスタ2025 Day3(11/3) – 街の底に流れるドン・キホーテの精神

「私たちがいつでも帰れる居場所」。昨年の『ボロフェスタ2024』のライブレポートでそう書いた。これは…

REPORT
ボロフェスタ2025 Day2(11/2) – 音楽と生きていく。孤独が解けたこの場所で

2025年11月1日(土)から3日間にわたり『ボロフェスタ2025』が開催された。今年は、『ナノボロ…