シリアの現状をリアルに描いたドキュメンタリーの最前線「シリア・モナムール」がみなみ会館にて公開
7月30日から京都九条、東寺のすぐ近くにある老舗のミニシアター(http://kyotominamikaikan.jp/)でドキュメンタリー映画が「シリア・モナムール」公開されます。
昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では「銀の水」というタイトル でインターナショナルコンペティション優秀賞を受賞。本作はパリに亡命したシリア人の映画監督と、SNSを通じて彼と繋がったシリア在住で映画監督志望のクルド人女性、2人の交換映像日誌とYouTube上に日々アップされていくシリアの無数の惨状の映像を組み合わさて構成したドキュメンタリー映画です。テレビでは決して映されない悲惨すぎる現状の中で暮らす・ 暮らしていた人々の日常と交流に焦点が当てられたこの作品。中東の政治に疎い人にも見てもらいたい1本です。
気が滅入る内容の連続なのですが、これが僕たちが生きている世界なんだと再認識できるはず。 21世紀、ドキュメンタリーの最前線 を知る上でも重要な「シリア・モナムール」。楽しい夏、浮かれる前にたまには気を引き締める意味も込めて、ぜひ劇場でご覧ください。
シリア・モナムール
人は誰もが“愛”も“戦禍”も免れることはできないということを突き付ける、
今世紀最も重要な衝撃作の誕生
山形国際ドキュメンタリー映画祭2015インターナショナル・コンペティション部門優秀賞受賞作品(映画祭上映時タイトル「銀の水 シリア・セルフポートレート」)
現地の人々がとらえたシリア内戦初動時の生々しい映像の数々を用いて製作されたドキュメンタリー作品。シリアの人々によって携帯電話やハンディカメラなどで撮影され、YouTubeやFacebookなどに次々とアップロードされた映像を再構成した。アラブ諸国で始まった民主化運動が2011年春以降シリアにも飛び火。42年続くアサド独裁政権への不満と自由を求める市民による大規模なデモとそれを弾圧する政府軍の衝突は、やがて内戦へと発展した。パリに亡命し、祖国の惨状を映像でひたすら集めることしかできなかった男性監督のオサーマのもとに、包囲攻撃を受ける街で暮らすクルド人女性のシマブからメッセージが届く。シマブはパリにいるオサーマの耳や目となり、シリアの現実をカメラに記録していく。
監督:オサーマ・モハンメド ウィアーム・シマブ・ベデルカーン
音楽:ノマ・オルマン
写真:ウィアーム・シマブ・ベデルカーン オサーマ・モハンメド
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ゲストトーク開催決定
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日時:7/30(土)15:25~上映後
ご登壇者:岡真理さん
(現代アラブ文学研究者、京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
岡真理
1960年東京生まれ。現代アラブ文学研究者。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。東京外国語大学でアラビア語を学ぶ。在学時代に、パレスチナ人作家ガッサーン・カナファーニーの小説を読み、パレスチナ問題、アラブ文学と出会う。以来、現代世界に生きる人間の普遍的思想課題としてパレスチナ問題に取り組む。
著書に、『彼女の「正しい」名前とは何か』(青土社、2000年)、『記憶/物語』(岩波書店、2000年)、『棗椰子の木陰で 第三世界フェミニズムと文学の力』(青土社、2006年)、『アラブ、祈りとしての文学』(みすず書房、2008年)ほか。訳書にサイード・アブデルワーヘド『ガザ通信』(青土社、2009年)、ライラ・アフメド『イスラームにおける女性とジェンダー』(法政大学出版、2000年)ほか
WRITER
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26歳で自我が芽生え、とうとう10歳に。「関西にこんなメディアがあればいいのに」でANTENNAをスタート。2021年からはPORTLA/OUT OF SIGHT!!!の編集長を務める。最近ようやく自分が持てる荷物の量を自覚した。自身のバンドAmia CalvaではGt/Voを担当。
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