ANTENNA 2024 年始のごあいさつとお知らせ
メディアの活動11周年を迎えて
フリーペーパー『アンテナ』としての活動をはじめたのが2013年。その後すぐにWebマガジンを立ち上げたが、最も古い記事をたどると『LIVE KILAUEA 2014』のライブレポートが最初の一本だった。Webだけに限って言っても、今年で私たちの活動は10周年となるらしい。
そのあいだにカルチャーメディアや、オウンドマガジンは星の数ほど生まれたし、そして消えていった。時代や、社会の状況によって新陳代謝が起こることはネガティブにはとらえていない。とはいえ、国内でいえば『She is』や『雛形』は本当に閉鎖が残念なものの一つだったし、カルチャー誌『VICE』や『i-D』の発行元であるVice Media Groupの売却も大きな衝撃だった。こうした流れはWebだけでなく出版に話を移しても同じで、長らくANTENNAが拠点とする京都のリージョナル誌である『Leaf』も昨年12月の一冊をもって不定期発行になるという。
いつだって物事を立ち止まらせるものは「ひと・もの・かね」のリソース不足であり、私たちも常にそこに悩まされながらも(先日公開されたAMeeTのインタビュー記事で語ったように)、なんとか10年生き延びたというのが正直なところだろう。
「ここ4,5年」に関しては、ANTENNAを本当に事業化すべきかどうか、またどのように事業化するかということに頭を悩ませてきた。「大人のサークル的な活動」が第三者的に良くも悪くもどのような見え方をするのかわかっていないわけではない。さらに、どんどんと変わるメンバーのライフステージのことに思いを馳せれば、長い目で考えれば考えるほど「収益・利益をもっと得るべきではないか」という考えがむくむくと頭をもたげる。ただ、一方で世の状況を鑑みればみるほど、そうした状況からメディアという媒体は遠ざかっているようにも感じる。
加えて僕自身、メディアというものの価値に関しては非常に悩むところがある。(最大限配慮したいとは思ってやってはきているが)人や作品をコンテンツ化してしまうことにも大きな疑問がつきまとう。コンテンツというものはそこにある人の生や、葛藤などをパッケージにしてしまうことにほかならないのではないか、そうまでしないと読んでもらえないものとはなんだろうか、そしてその先でも「消費」されてしまうだけなのではないか。こうした疑問にまだ答えはない。
ただ、その一方で日々営まれる小さな出来事を、ジャーナリスティックに残していくことには大きな意義を見いだしはじめたことも確かだ。そして情報の価値は今その瞬間にのみ決まるものではないし、またそれは「残してみないとわからない」ものではないかと思う。機能として「発信」ばかりが偏重されるようになってしまったが、本来は「アーカイブ」することにも同じくらいの価値があるはずなのだ。そう思えばこそ、たった10年でANTENNAを放り出すことはできそうにもない。
私たちはインディペンデントな組織である。
そのやり方や、稼ぐための方法は手探りしていくつもりだが、「ひと・もの・かね」のリソースに関してもどこかに依存し、支給されているわけではない。つまり、ハンドルはいつでも私たちの手の中にある。瞬間的な爆発力では他のメディアに劣るかもしれないが、だからこそ確実に10年後もこの場所を残し続けることだけは今後の約束としたい。
ANTENNA 編集長・堤大樹
2024年に向けたANTENNAからのお知らせ
- 再度、ANTENNA 編集長を堤大樹が担当します
- 新メンバーを募集します(京都の編集部を強化します)
- 記事の制作依頼に関する販売枠を設けます
- ライティング・編集のスクールを開講します(追って、内容をリリース)
You May Also Like
WRITER
-
26歳で自我が芽生え、とうとう10歳に。「関西にこんなメディアがあればいいのに」でANTENNAをスタート。2021年からはPORTLA/OUT OF SIGHT!!!の編集長を務める。最近ようやく自分が持てる荷物の量を自覚した。自身のバンドAmia CalvaではGt/Voを担当。
OTHER POSTS