【2024年12月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」
「かっこいいバンドはいるの?」
「今」の京都の音楽シーンを追う、この連載!今月も今聴いておきたい注目のアーティストを紹介していただきます。
紹介者は以下の方々です。(五十音順)
- 京都GROWLY 店長:安齋智輝
- livehouse nano 店長:土龍
京都GROWLY 店長:安齋智輝の注目のGROWLYスタッフ(後編)
もうすぐ閉店を迎えるGROWLY、まだまだ愛のあるイベントが目白押しです。オススメを紹介するコーナーではありますが、とても選びきれないので前回に引き続き、最後のGROWLYスタッフを紹介したいと思います。
■水野
水平線として出演した際に制作に興味あるとのことで吸引。もともと岐阜で社会人やりつつ関西に通うという強靭なメンタルを持つ。ひねりの効いたブッキングやまだ出会えてないバンドを呼び込んでGROWLYにまた違うカラーを加味してくれました。温厚でゆるやかな所作はまわりに安心感を与え、焦燥感あふれる現場をいつも穏やかにリセットしてくれたので、毎回楽しく仕事ができたな。
彼の音楽への探求心と情報量はずっと話してても時間が足りないくらいで、毎日料理をする仲間としても切磋琢磨できた。水平線もこれから日本のシーンにも様々な恩恵をもたらしてくれると信じてます。
■エヌ
主に打ち上げの料理とスタジオスタッフを長期間やってくれました。自分ではそう思ってないかもしれないけど絵にかいたような「天然」で、現場に数々の笑いと柔和をもたらしてくれました。その裏でギターは超絶的にうまく、作曲、編曲、唄もこなせる抜群のミュージシャンシップの持ち主。
多少抜けてるところを凌駕するその才能、もししっかりものやったらどうなってたんだ、と恐ろしく思ったことを覚えてます。そんなどことなく愛せるやつでした。最近はあまりシフトインできてませんでしたが、間違いなく共にチャレンジしてきた仲間でした。
■さあや
バーカンにて音響やってみないか?と尋ねたところ、やれますよ、と答え、なんて肝の座った応対だ!と思ったのが初見。GROWLYの最後の音響スタッフとしてたくさんの現場をこなしてくれました。もともと腕や知識も経験もあったのですが、初見のは自信の表れというわけではなく、言ったことは必ずやってやるという強い責任感と努力の持ち主だと気づきました。翌日の出演バンドを研究したり、音響でない日は照明の研究をしたりと、こんなスタッフに対応されたらアーティストも嬉しいはず、と思えるほど深い愛情と強い意思を持ってる素敵な人です。
最年少スタッフながら、裏方の対応の大切さを僕自身たくさん学ばせてもらえた。持前の負けず嫌いを発揮し、たくさん求められる音響屋になってくれると信じてます。
■まっち
DISTRESSというバンドで出会い、制作と照明スタッフとしてGROWLYに来てくれました。
僕には無いものをたくさん持ってて、手の届かないシーンにも精通する彼は言わばこれからのGROWLYの救世主だったであろう。明るくフレンドリーなキャラクターで、物おじせずに突っ込んでいくいわば特攻隊長のようなふるまいはとても心強かった。照明しながら感動して泣く姿から、音楽をエンターテイメントに仕上げていく中で絶対に大事な人材だと思いました。
いっしょに働けた時間が短すぎたのが心残りですが、間違いなくGROWLYのカンフル剤となったナイスなやつです。明るい光にはたくさん人が集まる、彼はバンドとしてもそうあってくれるでしょう。
■ゆうだい
GROWLYが誇る最後のスタッフ。The Syphonsというバンドでドラムを叩いています。
とってもニヒルで口が悪く、でもまったく憎めないみんなの弟分。スタッフとして入ってくれて半年ほどしか経ってませんが、すぐにしっかり輪の一員になっていて頼もしかった。実はこんなに根底に愛情と意欲を持ち合わせていて、表面がドライなやつは見たことない。
彼は心から音楽が好きなんです。嘘がない、だからこそ信頼できる。
ゆうだいはこれからたくさんの知識と仲間を得て素晴らしいドラマー、人間になっていくだろうなぁ、生意気やけど、と思ってます。ほんとに短い期間しかいっしょに働けなかったことが申し訳なく残念ではありますが、できた輪は彼のおかげで続いていくだろうと感じています。
■くるとん
運営体制が変わったタイミングで来てくれた、主にスタジオを番をこなしてくれたくるとん。実直に仕事をこなしてくれたのはもちろん、スタッフの行き届かないところへのケアや、掃除を率先してやり快適に仕事ができる空間を作ってくれました。とても気の付く優しい男です。
本来は制作やバースタッフといった現場もそつなくこなせるオールマイティーな彼なので、今後はもっとGROWLYの彩りを共に作っていけたかな、と志半ばな面があるのは事実。
まだまだ関わっていきたいぜ、と個人的には思っています。
■なみへい&桃歌
二人とも高校生の時から出入りしてくれた生粋の実家GROWLY。桃歌は体操服でライブしてたな。すでに退職してますが今でも助けてくれる娘のような存在です。GROWLYといえば看板。といわしめた看板娘で、見たことない手法や表現でその日のイベントを彩り、ビルに訪れる人たちの最初の窓口を素敵に作り上げてくれました。イベントはその日だけですが、その記憶はネットやみんなの写真に永遠に残りいつでも思い出すことができる、いわば歴史と想い出のトリガーを刻み残してくれたと言えます。実家はなくなりますが、できた大きい円の中に二人ともずっといてくれると思っています。
と伊藤代表の下、私とこんなスタッフで作ってきました。他にもたくさんのスタッフがいてくれましたが、全員に感謝と家族意識を持っています。
ありがとう。
そして長年お世話になったこのANTENNAのコラムも今回で卒業となります。たくさん読んでいいただき、スタッフのみなさんも本当にありがとうございました。
最後になんばHatchでイベントを開催し散ります。ぜひ足を運んで皆で乾杯してやってください!
安齋智輝
京都GROWLYの店長です。
元和菓子職人です。
お菓子も音楽も手間暇と愛が必要、がモットーです。
【予約革命!】
⚡️LINE予約が可能になりました⚡️業界初!?
GROWLYでのイベント(一部を除く)を手軽にLINEで自動予約できるシステムができました!
以下のQRコード、もしくはURLで今すぐ登録!
予約したイベントもすぐに確認・変更ができます!
ぜひお試しください!
👉https://t.co/6u2KPPp1Ti pic.twitter.com/V9s83ZrtQ0— 京都GROWLY (@Kyoto_GROWLY) March 31, 2021
【ガイドライン更新】
本日9/4より一部更新致します。ご来場/ご出演予定の方はご一読お願いします。
・電話番号の聞き取りを廃止、京都市新型コロナあんしん追跡システムの導入(QRコード読み取り→メールアドレス登録)
・1〜2マン時のキャパ変更
出演希望お待ちしております!#ライブハウス再開 pic.twitter.com/aiwBs6TOEE
— 京都GROWLY (@Kyoto_GROWLY) September 4, 2020
livehouse nano 店長:土龍の注目アーティスト
京都GROWLY店長 安齋智輝
今月閉店してしまうライブハウス、GROWLY。livehouse nanoとは二条城を挟んで東西に位置するどちらも頭に「二条」とつけて呼ばれていたライブハウス。開店した当初、ビルの3階に公〇食堂という飲食店があり、そこを切り盛りしていたのが馴染深い友人バンドマンであり、仕事帰りの道の途中に位置することもあり、嘘でも何でもなく週6で通っていた。
GROWLYのブッキングを主に担当してきた店長安齋とは、その前からライブハウス店長とミュージシャンとしての関係性はあったが、同業者としてよく話すようになった。安齋は、お世辞でもなく京都の音楽関係者のなかで「最も音楽が好き」な人間といえる。誰よりも新旧問わず幅広く音楽を聴いている。好きな音楽のカテゴリーが被る部分も多いからこそ、そんなブッカーが近所に現れたこと、かつミュージシャンである経験値が彼の店長としての評判が地元組・ツアー組関わらずミュージシャン連中の中で上がっていくことに嫉妬していた。それなのに安齋は「ブッキングのコツ教えてくださいよ」とか平気な顔して言ってくるものだから心の中で「なんだこいつ」って舌打ちしていた。僕はファンとして出演者と平行線にある立ち位置で制作をするが、安齋はミュージシャンとして同じ目線で制作するスタンスを持てる。主にそこに嫉妬していた。その差に気付くのはもう少し後になるのだが、今思うとこの差が出演者にとって、同じ地域にあるライブハウスでありながらどちらのことも大切な場所として扱ってくれることに繋がっていたのかもしれない。
GROWLYにもnanoにも出演してきたミュージシャンがたくさんいる。彼ら彼女らはメモリアルなタイミングを両方で迎えてくれていたパターンがたくさんある。例えばツアー初日とファイナルをそれぞれの場所で行うとか。ツアーの京都編の会場はどちらかでいいのに。そんなことを受けて勝手ながら僕と安齋のどちらにとっても、お互いが地元のバンドたちにとって大切な場所であるように、同じ感覚を持つようになった。「nanoとGROWLY、なんかいいよね」「そうすよね!」みたいな会話を二人で交わすこともしばしばあった。最初は嫉妬の対象だったけど、いつしかこの関係性はお互いの仕事にとって無くてはならない場所になっていたと僕は思う。
この話、実はGROWLYありきの話だ。
僕らは二人とも音楽が好きだ。僕はリスナーとして、安齋はそれに加えてミュージシャンとして。この二つの「音楽が好き」な人間の目線が、どちらにも出演してきた人間たちにとって、成長の糧になっていたのは事実だろう。しかしながら、いつか安齋が言っていたという「GROWLYは『0を1にする』ハコ、nanoは『1を10にする』ハコ」という言葉がある。「1を10にする」なんてそんな大それたことができているとは僕自身は到底思えないけど、安齋はまちがいなく「0を1に」してきた。それはきっと彼もまたミュージシャンとしての「0」を経験しているからだ。やはりこの差は大きい。「1」になれたバンドがnanoにもやってくる。「いいバンドばかり集まってくるな」とか喜んでいたけど、それは安齋とGROWLYのおかげだ。
この12年間は、GROWLYのおかげで成りたつことができたlivehouse nanoであった部分がかなり大きい。感謝しかない。GROWLYが閉店する。無くなってしまうものは仕方がない。ただ、僕はこの先、この仕事をGROWLYと安齋のいない状態で全うしなくてはならない。実はかなり不安だ。
おい、安齋、さっさと次の場所作ってくれよな。
安齋がそこにいるライブハウスは、ミュージシャンにとってだけじゃなくって俺とnanoにとってもマジまだ必要なんだわ。俺、0を1にするの、何においても超苦手なんだわ。
頼むわ。
土龍
1976年京都府生まれ。
二条城の東側にある全国でも稀に見る小ささのライブハウス、livehouse nanoの店長兼音響兼照明兼制作兼雑用。毎年秋には仲間と共にロックフェスティバル「ボロフェスタ」を主催。派手好きの単純思考のパリピの一種。
livehouse nanoではドネーショングッズをオンラインストアにて販売中。新グッズも日々入荷中!
Youtubeチャンネルでは無観客ライブも日々開催しています。ぜひチャンネル登録を!
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WRITER
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奈良県出身。京都在住。この街で流れる音楽のことなどを書き留めたい。
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