【まとめ】編集部員が選ぶ2019年ベスト記事
今年も残すところあとわずか、と定型の挨拶ができるのもあとわずか。いつもアンテナをご愛読いただきありがとうございます。今年もまた新たな出会いと、さらなる交流が深まる良い1年間でした。
今年も最後の振り返りとして【まとめ企画】をご用意しました。アンテナ編集部員が互いにそれぞれの記事を振り返ります。
堤大樹の選ぶ今年の記事
【実は知らないお仕事図鑑 P4:小説家】 土門蘭
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自分が関わった記事をレコメンドするのも恐縮なんですけど、自分にとってのインタビューの楽しみのひとつは「自分がうまく言語化できなかったモノゴトや感情に適切な色をつけてもらうこと」があります。ハッとするとか、世界が180度変わるとかそういったものじゃなくてよくて、日常の隙間にある曖昧な部分。それをいろいろと言葉にしていただいたのは間違いなくこのインタビューです。
岡安いつ美の選ぶ今年の記事
時代の変革が生んだ「愛」と「憂い」の音楽、ナードマグネット須田亮太が語る『透明になったあなたへ』
峯大貴の選ぶ今年の記事
くるり『列島ウォ~リャ~Z』ツアーファイナル @磔磔 ライブレポート
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ライブの模様を描写するだけの凡庸かつ大半を占めるライブレポートとは一線を画した、長年のくるりフィールドワークから導かれるライブ分析。読み進めていくうちに一夜のライブの背景に蓄積されたくるりの思考すら伺えるものになっています。
肥川紫乃の選ぶ今年の記事
忖度されたハッピーエンドより変わらぬ絶望。葉山久瑠実が出す空白の結論
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まずタイトルが良いです。ドキッとして、この記事で何が読めるんだろうかと自然に親指が縦に動きました。そして、導入文で結論を先に語られることで、どういう流れでこの結論に至ったのかを知りたくなっていました。読み進めるのが楽しかったですし、アーティストを身近に感じて興味を持つきっかけになりましたし、大事にインタビューされたんだなと思える優しい記事でした。
川合裕之の選ぶ今年の記事
【実は知らないお仕事図鑑 P4:小説家】 土門蘭
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センシティブな部分にまで踏み込んだインタビューだったと思います。その人の奥底にまでお邪魔させてもらう、というのもまたインタビューの技量だなあと感心しました。デリカシーが無いので僕なんかは絶対ムリ!絶対失敗すると思う! 岡安さんの写真も◎
マーガレット安井の選ぶ今年の記事
キタが語る、オルタナティヴ・バンドthanの正史ー2ndアルバム『LINES』リリース・インタビュー
乾和代の選ぶ今年の記事
3人で歌の本質を確かめる場所―のろしレコード(松井文、夜久一、折坂悠太)『OOPTH』リリース・インタビュー
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各ライターのライフワークが結実して記事が生まれる。アンテナではそんなフローが多い気がします。ベストにあげたこの記事はまさしく、それを体現したようなインタビュー。リリースのタイミングで、他の媒体からも記事が出てましたが、峯くんらしい視点で彼らの活動を伝えることができたのではないでしょうか。
小倉陽子の選ぶ今年の記事
日常に散らばった、ささやかな幸せを愛でるー大石晴子 1st EP『賛美』インタビュー
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この記事は書き言葉のやり取りで作られたメールインタビュー。大石さんと副編集長峯のラブレターを盗み読んでいるような、詩的な表現の差し出し合いも含め、読み物として美しかったです。もちろん大石さんの創造性にも触れることができて、内容としても充実。
自分自身がちょうど福岡在住のNYAIに電話インタビューをした記事制作のタイミングでもあったので、取材方法の選択肢や記事の見せ方などを考えさせられました。大切なのは伝えたいことを取りこぼさないことだよなぁ。柔軟に面白いことを最適な方法でやっていきたい。
阿部仁知の選ぶ今年の記事
峯大貴が見た祝春一番2019
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乾さんの音博も捨てがたいですがこちらの記事で。「ライブレポートとは?」を問い続けた1年でしたが、愛とリスペクトをベースにその場に流れる精神性をつぶさに読み取る姿勢は素晴らしいです。「どれだけ没入できるか?×どれだけ俯瞰できるか?」。一見相反する二つの絶妙なバランス。来年は僕もこんくらい書くぞ。
丹七海の選ぶ今年の記事
意味が溶解する水槽 SPEKTRA主催 『INTER+』 レポート
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ただのライブレポートと呼ぶにはあまりに美しく、語彙力の色彩に目が眩む気分になりました。1つ1つの単語が胸の奥まで染み渡り、読み終わった後もじわじわとした余韻に浸れる文章。私もこれぐらいの語彙力を操れるように、頑張りたいです。
辛川 光の選ぶ今年の記事
【SXSW2019】「ボーダーを越えていく」いまの時代のインディーミュージックのあり方
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自身も音楽活動をしているので「人に届く、届ける」というトピックについてよく議論する。インディーシーンの在り方とは?なにを以てして知られている、知られていないを判別するのか。ただ現代において吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」のように僕たちはもう大都市に行かなくても自分の部屋の中で音楽を鳴らせる。共感者を呼ぶために片手一つで自分の音楽を全世界へ配信できる。
音楽だけでなく「すべての表現者 × 世界の人たち」の構図は出来上がっている。僕が選んだ記事の筆者長井氏曰く、インディーのあり方は「誰もが知っているわけではないが世界中に開かれている」だそうだ。そう、あとはもうやりたいことをやるだけ。
2020年はさらなる表現者達の発見と自身の音楽活動への専心、そしてあなたの新しい「表現」をお待ちしています。
吉田紗柚季の選ぶ今年の記事
休日に音楽を続ける人たちのドキュメント-松ノ葉楽団3rdアルバム『Holiday』リリースインタビュー
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今年アンテナに載った記事の中では、曲作りなどロジック面の話題が抜きん出て多いインタビューだと思います。でも、タイトルの時点ではっきりテーマが示されていて、そこからはずっとブレていない。だから必要以上に小難しく感じることがなく、読んでいてとても楽しいインタビューでした。難しいことでもするりと読み手の喉元に流し込めてしまうような記事はかっこいいなあとつくづく感じます。個人的に、一人ひとりが持っている「生活と音楽」の距離感について考えさせられることの多い1年だったので、テーマそのものも強く印象に残った記事でした。
岡本海平の選ぶ今年の記事
時代の変革が生んだ「愛」と「憂い」の音楽、ナードマグネット須田亮太が語る『透明になったあなたへ』
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まだ私がアンテナに加入する前の記事なんですが、公開当初、とにかくこの記事をツイッターのタイムラインで目にすることが多い記事でした。そして、技術的な云々とかそういうことよりも、記事を一通り読んだあとアルバムを聴きたくなる、そういうパワーがこの記事には特段感じました。記事を読むことで、更にその作品に深みを感じられる素敵な記事だと思います。印象と内容、共に心に残る記事でした。
児玉泰地の選ぶ今年の記事
台湾インディーシーンの最前線を走り続けるSKIP SKIP BEN BENこと林以樂、初の本名名義となった新譜『L.O.T』リリース・インタビュー
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「口調で選ぶとは単純な」と言われるかも知れませんが、実際に記事の口調によって強く印象に残ったのがこのインタビューでした。内容もさることながら、インタビュアーもインタビュー相手も敬語でなく、仲の良さがイメージできたり、インタビュー相手がフランクな人柄なのかな、と想像できたりして、面白いなと思いました。もちろん「すべての記事がそうであるべき」とは言いませんが、ものによっては、こういうのもアリだなあと。
そう考えると、文体というのは記事において、記事の内容自体より先に読者に印象を植え付けるものなのかも。記事によって使い分けられるようになりたいです。
2019年を乗り切った私たちを迎えるは西暦2020。なんだかキリの良い数字で、自然と気持ちが引き締まります。本年のアンテナ編集部はといいますと、二条城南東は式阿弥町の「共創自治区CONCON」にてオフィスを間借り。メンバーも12人から22人に倍増。
場所と人が増えました。それに伴いコンテンツも一層数を伸ばすことでしょう。ソフトのみならずハードも盤石となったアンテナ。カルチャーの都市を実現すべく邁進してまいります。それでは良いお年を。
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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