COLUMN

【2025年1月】今、西日本のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「各地域のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」
このコラムでは、西日本エリアの京都・大阪の今聴いておきたい注目のアーティストを紹介していただきます。

 

紹介者は以下の方々です。
【京都】

livehouse nano 店長:土龍

【大阪】

LIVE HOUSE Pangea ブッキングスタッフ:伊藤義矢
南堀江Knaveブッキング担当:倉坂直樹

livehouse nano 店長:土龍の注目アーティスト

Jin Nakaoka

エレキ・マンドリン奏者。「マンドリンでなくてはならないか?それ」と思わせるプレイをすることはしばしばだが、彼はそもそもマンドリンが使用されるようなトラッドなカントリーミュージックにもしっかりリスペクトがあるらしい。

 

様々なミュージシャンと共に演奏することがよくあり、ライブイベントのスケジュールによくクレジットされているwith Jin Nakaokaが、彼その人だ。基本即興の演奏になるが、その日のパートナーの演奏にノータイムでディスイズなフレーズを合わせてくるのはさすが。かつ、しっかりと粒の揃った音を聴かせてくれるのは、古くから鳴らしてきたその楽器そのものへのリスペクトありきからか。僕はカントリーという音楽に詳しくはないか、そこから彼がその音楽たちの美しさにちゃんと平伏していることが伺える。

 

彼のプレイの表情は、オーソドックスなトレモロを鳴らす「所謂マンドリン」な牧歌的な部分も確かに持つが、空間系は勿論、ディストーションしかも音が潰れたようなノイズになるまでかなりの歪みを始め、多岐に渡る。足元にはシューゲイザーバンドのギタリストかの如くコンパクトエフェクターを並べ、その時に思いついたアイデアを形するための布陣を整える。そう、横でパートナーが鳴らす歌からインスピレーションを受けることで浮かんだイメージをすぐに形に「できる」のにも唸らされるのだが、どちらかというと「したい」んだと思う。そこに自分の準備不足によって制限を設けたくない。自由でありたい、自由に演奏したい、それが彼のプレイの第一義なわけだ。

 

実験的な即興を様々な音作りによって羽を伸ばし演奏しながら、ピンポイントであたかもそこには譜面があるようなこれしかないフレーズを鳴らす姿は、マッドサイエンティストと、幼少期から叩き上げられたクラシックのピアニストが同居するような、そんな多面性を誇る。

 

それでいて、そら恐ろしくなるほどの飄々とした佇まい。音楽「狂」のうちの1人だ。間違いなく。そこに興味が絶えないんだ。

X(旧:Twitter)

@Jin_Bentley_

Jin Nakaoka 出演イベント:ナノ21周年プレシリーズ『Jin the Festival』 @京都livehouse nano

日時

2025年2月10日(月)
open 19:00 / start 19:30

会場

livehouse nano

出演

ショーウエムラ with Jin Nakaoka / いちやなぎ with Jin Nakaoka / 日高晴野 with Jin Nakaoka / 
扇芝智也 with Jin Nakaoka

料金

前売り¥2,500 / 当日¥3,000(+1ドリンク別途)

土龍

livehouse nanoではドネーショングッズをオンラインストアにて販売中。新グッズも日々入荷中!

https://livehouse.thebase.in/

Youtubeチャンネルでは無観客ライブも日々開催しています。ぜひチャンネル登録を!

https://www.youtube.com/channel/UCV904VJscUg3jr9guSXf_-w

LIVE HOUSE Pangea ブッキングスタッフ:伊藤義矢の注目アーティスト

The Syphons

今回紹介するのは京都のThe Syphonsです。少し前までサブスクでの配信がなく、SoundCloudで音源が聴けていたのですが、今年の1/1に遂に1st EPの”Heavens”がデジタルリリースされ、益々これからの活動に注目しているバンドです。

 

単純に表記される”オルタナバンド”とゆう括りでは、勿体ない。色んな物、音楽から影響を受けているのが伝わってくるバンドです。まぁそういうカッコ良さを表現しやすい言葉が”オルタナティブ”でまとめられるんでしょうか。日々勉強ですな。

 

そんな彼らですが、Pangeaに2月に出演が決まっております!
ぜひお越し下さい。

Apple Musicはこちら

X(旧:Twitter)

@TheSyphons_band

配信リンク

https://big-up.style/2LhKhgde2T

The Syphons 出演イベント:『STORYWRITER vol.5 』@Live House Pangea

日時

2025年2月17日(月)
open 18:30 / start 19:00

場所

心斎橋Pangea

料金

前売り¥2,500 / 当日¥3,000(+1ドリンク別途)

出演

拝啓 / yoei / wool coat / The Syphons

伊藤義矢

2022年1月よりブッキングスタッフとしてPangeaに入り、a bombay roll PUBのドラムとしても活動中。今までお世話になった方々への感謝と、バンドマンとしての経験を糧に日々奮闘中です。

LIVE HOUSE Pangeaでは売り上げがライブハウスの運営費になるオフィシャルグッズをオンラインストアにて販売中。

https://livehousepangea.stores.jp/

南堀江Knaveブッキング担当:倉坂直樹の注目アーティスト

ruggirl

本日ご紹介するバンドは自称”鬱屈キュートグラムロックバンド” ruggirl。

 

ドラマーだった清士朗が突如ボーカリストにパートをスイッチ。ソロバンドとして動き出し、若干の活動休止期間を経てめでたく4人編成のロックバンドとして帰還。若手バンド特有の粗削り感はまだまだありますが、その「粗削り感」が今はバンドのマジックにきちんとなっているのでかっこいい。

 

コンポーザーでボーカリスト清士朗のステージングは、最近少なくなってきたセクシーなボーカリストたち…志摩さんだったり、ミックジャガーやデビッドボウイの面影がわかりやすくある。

 

楽曲にも遊び心がいっぱいで、ビートルズをはじめとするオールドロックのパロディや引用フレーズもたくさん。いやはや、漢字は違えどボーカルの名前が 清士朗って時点ですでにロックンロールの神様がruggirlに微笑んでるじゃないですか。ただ、そういう部分も大きな魅力なんですが、実はruggirlの一番の魅力はそれ以外のとこだと思っています。

 

本人たちは無意識だと思うのですが、今の時代性がきちんとあるような気がするんです。いわゆる「陰キャのこじらせ感」だったり、「若者のネット文化/SNS的な空気感」だったり、そこに見え隠れする「文学性」だったり、そういう今の時代性とリンクしてる部分が本質的な魅力になっているのかな?と思う。

そんな魅力がもっと開花して、ルーツロックのトレースだけで終わらない、今の時代に「ロックンロール」とステージから叫ぶ意味を体現するバンドになっていってほしいと強く思う。今のうちにチェックしとけ。

ruggirl “恋して愛してノイローゼ ”Music Video

X(旧:Twitter)

@ruggirl_info

ruggirl 出演イベント:大阪堀江4会場サーキットイベント『裏堀江系』

日時

2025年3月1日(土) 
open 11:30 / start 12:00

会場

南堀江knave/北堀江club vijon/南堀江SOCORE DACTORY/北堀江Goldee

出演

ArtTheaterGuild / 赤いアフロ / 秋本ユク(muk) / asano raincoat / GET BILL MONKEYS / Giallo / soratobiwo / The denkibran / ヤジマX KYOTO (モーモールルギャバン) / YOWLL / ruggirl/アシガルユース / エリネア / QLIP / 東京パピーズ / Transit My Youth / ベリーバッドアラモード / ザ・みゅ~ / メルシー / rale one stance/青い紫陽花 / あすなろ白昼夢 / Obake-Numa2 ~after the night race~ / 蟹光船 / Comical Fighters / 楽しんでいこうや西岡と狂ったチワワズ / Large Ark/and more !

料金

前売り ¥4,000 / 当日 ¥4,500(+1ドリンク別途)

チケット

e+ : https://eplus.jp/sf/detail/4252980001-P0030001
ぴあ P:290-027
ローソン L:51785

倉坂直樹

大阪のライブハウス南堀江knaveでバンドイベントの制作を担当しています。よろしくお願いいたします。

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