新しい兆しを感じる、スローバラード
深い海の底に潜ったマッコウクジラの吐息みたい。静かに吐き出されるStrawberry N(Vo / Gt)の歌声からはじまるSummer Whalesの6枚目のシングル‟Burden”は、これまでとぐっと雰囲気が異なるスローバラードだ。アップテンポで、キッチュな印象の前作“Pizza or Mac”と比べるとその振れ幅の広さがわかる。
立命館大学の軽音楽部で出会ったというStrawberry NとDaiki(Ba)の二人によって結成され、2022年7月から活動をスタート。90年代グランジのような雰囲気を纏いつつも、ポップに昇華させる楽曲の魅力が1stシングル“Swallow”をリリースした頃から早くも東京のラジオ局をはじめ音楽好きのリスナーに伝播していった。そして結成1年で「出れんの!? サマソニ!? 2023」のファイナリストに選出。見事に『SUMMER SONIC』に出演を果たした、今年注目のニューカマーバンドだ。
Summer Whalesの魅力の一つは、歌詞が英詞から日本詞に変わっても気づかないくらい、シームレスに繋がったような発音の心地よさだ。3rdシングル‟Sox2”から度々その手法が取られていたが、本作はこれまでと違いAパートとBパートのように二つに書き分けられた英語と日本語の対比が美しく、仄暗く悲しくもその先に希望を感じるこの歌の物語をぐっと深めているような気がした。
サウンドは最小限に押さえているように見えるが、控え目ながらもキラリとしたフレーズが光るベースラインやギターの音色が随所にちりばめられている。後奏部分で高らかに流れるエフェクトが掛かった硬質なギターソロは祈りのようで美しく、バラードの中にもロックサウンドが脈々と受け継がれていることを感じさせられた。年の瀬にリリースされたこの新曲は、来年に向けた変化の兆しを感じる1曲だ。
Burden
アーティスト:Summer Whales
仕様:デジタル
発売:2023年12月17日
収録曲
1.Burden
Summer Whales
2022年7月結成。Strawberry N(Vo / Gt)のDaiki(Ba)からなる京都の2人組インディーロックバンド。結成後すぐに4カ月連続でシングルをリリースし、2023年1月からは4人編成でのライブも開始するなど精力的に活動中。
X(旧Twitter):@summerwhales_
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奈良県出身。京都在住。この街で流れる音楽のことなどを書き留めたい。
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