このレビューは、計8枚のアルバムから、中心に配置した1枚のアルバムのバックグラウンドを紐解く、ki-ft・アンテナ共同企画【3×3 DISCS】のレビューのひとつです。
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同時代における共振
いまの時代においてナードマグネットと共振するバンドを考えた場合、その1つはチャーリー・ブリスだと断言できる。ニューヨークを拠点にする4ピース・バンドであり、昨年、デス・キャブ・フォー・キューティー を介するBarsuk Recordsから『グッピー』が発売。本作は、哀愁を感じさせる美しいメロディにジャリっとしたギターと力強いボトムといった90年代におけるUSのオルタナやパワー・ポップの良心を詰め込んだような作品で、ウィーザー、レンタルズ、ヴェルーカ・ソルトといったバンド群と引き合いに出して語りたい作品だ。と、ここまで書けばナードマグネットとの接点も見えてくる。
彼らもオルタナ、パワー・ポップへのリスペクトから生まれたバンドで、そのサウンドもまたウィーザー、レンタルズ、などを感じさせるものだ。つまりこれだけ多様な音楽がある2010年代において、両バンドは90年代のロックを敬愛し、その手触りや良心みたいなものダイレクトに私たちへ伝えているのだ。ナードマグネットの須田亮太(Vo, G)は「もっとも心をぐちゃぐちゃにかき乱してくれた」ということで『グッピー』を2017年のベストの一つに入れていたが[1]、それは理想とするべき音楽像と本作が近いことを示唆しているようにも思える。いつかこの2バンドが同じステージで立つ姿を観たい。そんなことを考えているのは私だけではないはずだ。
[1]http://recordshopzoo.com/news/blog/20171214/
第二回【3×3 DISCS】:ナードマグネット『MISS YOU』を中心とした9枚のアルバム
選定:ki-ft・アンテナ
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関西インディーズの水先案内人。音楽ライターとして関西のインディーズバンドを中心にレビューやインタビュー、コラムを書いたりしてます。
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