映画『旧グッゲンハイム邸裏長屋』
『旧グッゲンハイム邸裏長屋』が5月13日より大阪・テアトル梅田ほか関西の映画館で順次公開される。
本作は、神戸市塩屋にある〈旧グッゲンハイム邸〉の裏にある、長屋を舞台としたヒューマンドラマだ。現在も共同住宅として使われている同地にて、友達とも家族とも違う程よい距離感で過ごす住民たちの生活を描く。この作品は自身もそこで暮らした経験のある前田実香が監督と脚本を担当。
本作では撮影当時に長屋で暮らしていた住人たちがそのままキャストとして出演。ストーリーには大きなアクションや派手な演出があるわけではなく、ひとつのテーブルをみんなで囲む朝ごはんのシーンから、その住人たちによるおしゃべりや、コンサートを楽しんだりするなどの長屋での日常が描かれる。
舞台となった旧グッゲンハイム邸は、長い年月もの間、所有者を変えながら、市民の力で守り受け継がれてきた場所である。都会的なイメージの神戸とはまた違った、のどかな海辺の街に、今も静かに建っている。本作では、そんな旧グッゲンハイム邸の姿を、映画で残すことも目的の一つとして制作された。
同映画はテアトル梅田を皮切りに、OSシネマズミント神戸、出町座(京都)でも公開される。この機会にぜひ、裏長屋の住人たちに会いに行ってみてはどうだろうか。
コメント
小川 真司 (映画プロデューサー)
こんなに愛おしい時間を持てるなんて、羨ましい。
旧グッゲンハイム邸裏長屋の住人になりたいと、見ているあいだずっと思ってました。
何気ない人と人との会話やいっしょにいることのかけがえのなさに気づかされて、見たあとは心がほっこり。ちょっと疲れた
ら、この映画を一服するとよいですね。
岨手 由貴子 (映画監督)
この映画の主役はあの建物だ。仲間が集うユートピアみたいな顔をしたかと思えば、スンと突き放すように夜の静寂をまとう。まるで建物が呼吸をするかのように。
はじめは「ロケーションが良すぎてズルい」なんて思ったが、そこに甘えたり溺れたりはしていない。砂のようにこぼれ落ちていくモラトリアムな時間を捉えた、大人の映画だ。
佐藤 寛 (koncos/ミュージシャン)
不思議な魅力。特にあの食卓。朝食を囲む。餃子をつつく。転がる缶ビール。ギターが鳴る。コーヒーを淹れる。誰かが眠る。
作品から感じるのは、心地良い、適度な距離感。土地や人へのきちんとした愛おしさ。
自然と続編が見たくなりました。旅先でお世話になった呑み屋に、もう一度寄りたくなる感じ。
INFORMATION
ストーリー | 海辺の洋館の裏にある古びた長屋で、共同生活を送る人たちの物語。日々の生活をノートに記すことが習慣のせぞちゃん、裏山に登ることが好きなとしちゃん、仕事に恋に忙しいづっきー、そして料理上手なあきちゃん。今日も退居者をみんなで見送り、また新しい入居者がやってくる。どこからともなく集まって、家族のように過ごしている住人たち。しかし、ときにこの家には招かれざる客も訪れるのだった…。 |
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出演 | 淸造 理英子、門田 敏子、川瀬 葉月、藤原 亜紀、谷 謙作、平野 拓也、今村 優花、ガブリエル・スティーブンス、エミ、渡邉 彬之、有井 大智、津田 翔志朗、山本 信記(popo)、森本 アリ、ほか |
監督・脚本 | 前田 実香 |
撮影 | 岡山 佳弘 |
録音 | 趙 拿榮 |
編集 | 武田 峻彦 |
音楽 | popo |
HP | |
上映館・日時 | 大阪 2022年5月13日(金)~
兵庫 2022年5月20日(金)~
京都 2022年5月27日(金)~ |
WRITER
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関西インディーズの水先案内人。音楽ライターとして関西のインディーズバンドを中心にレビューやインタビュー、コラムを書いたりしてます。
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