このレビューは、計8枚のアルバムから、中心に配置した1枚のアルバムのバックグラウンドを紐解く、ki-ft・アンテナ共同企画【3×3 DISCS】のレビューの中心となる1枚です。
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ありのままの私たち
Homecomingsを見ると、私は1つのバンドを思い出す。大阪のEasycomeだ。2015年に結成した男女混成4人組の彼ら。インディー・ロック、歌謡曲、渋谷系といったジャンルをミックスさせた音楽とちーかま(Vo./Gt.)の艶やかな歌声が魅力的なバンドだ。もちろん両者は意識はしていないだろうが、私は常日頃「大阪のホムカミはEasycomeなんだ」と思っている。まず双方の共通点として、女性ボーカルでありながらメインの作詞、作曲がEasycomeなら落合(Gt.)、Homecomingsなら福富優樹という男性が担当している点である。このことで歌い手は自らの心情を介さないで、バンドのカラーに合わせる事が可能だ。さらにこの2バンドは時折、女性ボーカルのちーかま、そして畳野彩加(Vo./Gt.)も作詞、作曲を行っている。つまり曲によって“歌い手の自我”を出す事も、“バンドとしての私”といった二面性を双方ともに出すことが出来るのだ。また共に歌詞にセクシャルな香りがせず、プラトニックと少し子供じみた無邪気さを内包していることも双方を繋げる特徴であるが、しかしながら一番の共通点は、双方とも自然体であるという点が大きい。
双方のライヴに行くと衣装で着飾ったり、ギターソロをカッコよく見せたり、と肩ひじを張らずセルアウト的な思想が一切見うけられない。このように書けばHomecomingsは電飾や装飾を使うじゃないか、と言われるかもしれないが、彼らがやる演出は商業的ではないし、ハンドメイド感が漂っている。その感じがライヴハウスで飾りっ気はないが音楽をめいいっぱいに楽しむEasycomeにも通じる。自然体で、ありのままの姿を私たちに提示している、それこそが双方の最大の共通点であるし、もしかしたらそれこそが彼らが持つ“インディーらしさ”の根源なのかもしれない。
第三回【3×3 DISCS】:Homecomings『Songbirds』を中心とした9枚のアルバム
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関西インディーズの水先案内人。音楽ライターとして関西のインディーズバンドを中心にレビューやインタビュー、コラムを書いたりしてます。
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