INTERVIEW

いちやなぎとひらまつ-平成6年生まれ、ウマが合う歌い手の2人

京都在住のシンガー・ソングライターいちやなぎ。湯船に浸かるときに漏れ出る鼻歌のような日常感と、いつの間にか遠い世界に連れていかれるような夢想状態をあわせ持つ彼の歌は、得体の知れない響きを放っている。京都内外で弾き語りやバンド編成でのライブを中心とした活動で徐々にその魅力は波及しているが、加えて関西や東京で一昨年から定期的に開催されているイベント『NEVER SLEEP』の周辺には、彼を筆頭に若きミュージシャンたちが集い、一つのシーンとして顕在化しそうなほどの胎動が聴こえてくるのだ。そこで今回、同じく『NEVER SLEEP』の主要出演者である平松稜大を呼んで、いちやなぎとの対談を実施した。平松は東京を拠点に活動する、きむらさとしとの二人組ユニット・たけとんぼのギターボーカル。70年代のフォークやロックにリスペクトを送りつつ、力強く豊かな歌を現代に響かせる達者なソングライターでありギタリストだ。普段からも仲が良いという平成6年生まれ、同い年の二人に、周辺も含めたこれまでの交流と、互いの音楽の姿勢や魅力について語ってもらおう。

いちやなぎ

 

京都在住、弾き語りを中心にバンド形態でもライブ活動を展開する歌うたい。2018年に『naked.』2021年3月に初のバンドサウンドによる作品『album』をリリース。雑誌POPEYE、Oliveへの掲載など、いま数少ない歌に惚れられるアーティストとして注目を集めている。

 

Twitter:https://twitter.com/ichiyanagi_info

Instagram:https://www.instagram.com/ichiyanagi_info/

平松稜大

 

東京都内を中心に活動するフォークおよびロックグループ、たけとんぼの作詞作曲、ギターボーカル。いちやなぎ、クララズ、井乃頭蓄音団、世田谷ピンポンズ、keme、清水煩悩など多数のアーティストのサポートも含めたソロ活動も積極的に行なっている。

 

Twitter:https://twitter.com/heylor_matsu
たけとんぼTwitter:https://twitter.com/Band_TakeTombo

平成6年生まれたちの邂逅

──

二人はいつどこで初めて会ったんですか?

平松稜大(以下、平松)

2018年10月の(下北沢の晩酌屋)〈まぼねん〉です。峯さんもいましたよね?

──

『清水煩悩とかたしょの友達』ですね。まぼねんで飲みながら代わる代わる弾き語りしていくイベント。ネギさん(WANG GUNG BAND/ex.バレーボウイズ)とかキイチビールさん、幸木野花さんもいました。

平松

そうそう。飛び入りで世田谷ピンポンズさんとか小野雄大さんも来て。でもその時はいちやなぎとそんなに喋ってないんですよね。

いちやなぎ

あの時初対面だったけど平松がめっちゃ酔っぱらってたんですよ。だからいつもお酒を飲みながら歌う、大阪のてらさんみたいなタイプの人なのかなって印象だった(笑)

平松

酒に飲まれながら演奏したのはあの日くらいですよ。YouTubeにもネギちゃんと“ごめんね”をやってる映像が残っているんですけど、記憶が断片的で……。

──

全然喋れてないくらい酔ってるのに、ネギさんとか幸木さんの番にガンガンギターとコーラス入れてたのを覚えています(笑)。じゃあ仲良くなるのは?

平松

同じ2018年の12月にバレーボウイズ企画の『ブルーハワイ』で初めて自分が京都に行くんです。その前日にもいちやなぎバンドでマンドリンを弾いているジン(Jin Nakaoka)が企画した、『例のフェス』というイベントも〈刻シラズ〉*であって。その両方に僕もいちやなぎも出ていたから、よく一緒になる人だなと。そして2019年の年明けにむこちゃん(メメメノネ/ex.バレーボウイズ)が『平成6年生まれのフォーク新年会』をやろうと二人とも集められて。太秦の〈古心庵〉で毎年1月に開催されるようになるんです。

*柳馬場六角にあるベルギービール&欧風料理のお店

──

二人も含めて平成6年(1994年)生まれは結構いるんですよね。

平松

バレーボウイズだとむこちゃん、オオムラツヅミ、武田啓希。ジンや松尾湧佑(SUKIDARAKE MAFIA)、藤澤信次郎(浪漫革命)もそう。東京だと内村イタル(ゆうらん船)、KD(キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)。

──

若月雄佑(ムノーノモーゼス)、平岡ひぃらもそうだ。

平松

同じ界隈ですごく多いんです。だからいちやなぎも徐々に喋るようになりましたけど、本格的に仲良くなったのはここ1年くらい。今は自分が京都に行ったら、ほぼ一緒にいるし、先月東京にいちやなぎが3日間来た時は、72時間中65時間は一緒だった。俺は家に帰れるのに二人でひぃらの家に泊まりに行ったり(笑)

いちやなぎ

自分も仲良くなったタイミングは覚えていなくて。この前も平松に「二人で最初に遊んだ日は覚えている?」って言われたんですけど、わかんなかった。

──

もう恋人同士の会話ですやん。

平松

いちやなぎは全然覚えてないんですよ。2019年の夏です。渋谷のTSUTAYA前で待ち合わせて、蕎麦食べて、一軒飲みに行って。そのままきむらくん(きむらさとし/たけとんぼDr / Vo)の家に行った。

いちやなぎ

あ、それが最初だっけ。もっと前から遊んでた気がするなぁ。

歌詞にメッセージは必要なのか?

──

でもそれだけ気が合うのは、好きなものや共通点があったのでしょうか?

平松

ビートルズ?

いちやなぎ

ビートルズは僕が好きだから、合わせてくれている程度じゃない?平松が好きな音楽は自分が知らないものが多いし、共通点とかあるのかな。

平松

音楽の趣味は全然違うもんね。

いちやなぎ

やっている音楽とか向き合う姿勢も全然違うと思っていて。一度平松が「もっとわけのわからない歌詞を書きたいけど書けない」みたいな話をしていたんです。どういうことか聞いたら、平松ははっきり伝えたいメッセージがあって、それを歌詞で表現してきた。実際たけとんぼの歌詞はそこまで抽象的なものは多くないんです。でもリスナーとしては余白のある表現も好きだから、そういう歌詞を書きたいけどできないと言っていて、自分とは真逆だと思った。

──

真逆とは? いちやなぎさんは歌詞やメッセージはどう捉えているのでしょうか?

いちやなぎ

僕には伝えたいメッセージがないことも多くて、ふんわりしたものをふんわり伝えるという表現が前提としてあるんです。だから全然違って面白いなぁと。性格の違いもあるんでしょうけど、平松は伝えたいメッセージが、ちゃんと齟齬がなく伝わるかという表現をしてきたタイプ。例えばコーラの歌を歌っていたら、聴いている人の頭の中にもコーラが思い浮かぶことを目指しているというか。僕はコーラについて歌ってるのに、爽やかだなとか、アメリカっぽいなとか、振れ幅のある受け取り方があっていいと思って書いている。

──

それはつまり自分の音楽にメッセージは必要がないと考えている?

いちやなぎ

曲にもよりますけど、あんまり明確なメッセージを持たないようにしようとしているかも。伝えることがあったら文章で事足りると思うし、風景を見せたいんだったら写真の方がいいと思う。メッセージを伝えたいなら歌にする必要があるのだろうかと考えちゃうんです。もちろん歌にしない方がいいというわけではない。けど、歌じゃなくてもいいし、逆にメッセージがない歌もあっていい。……だから平松の方がどう歌詞を書くかについてよっぽど真面目に考えていると思う。

平松

びっくりした(笑)。それを聞いて思ったのは、自分は今のいちやなぎみたいにまだ考えが固まってないというか。歌詞についてしっかり考えるようになったのが、ここ3年くらいで。

──

それまであまり歌詞を重視してこなかったのですか?

平松

元々自分が洋楽ファンで、高校生から70年代のウエストコースト・ロックにハマるんです。イーグルス、ポコ、CSN&Y(Crosby, Stills, Nash & Young)とか、50~60年代から一つ時代が進んだコーラスとかサウンドが多彩になっていく過渡期の感じ。だから自分のやる音楽もサウンド志向で歌詞にあまり意識がなかった。でもたけとんぼでライブ活動を始めて、いろんな人のいろんな音楽に出会っていくと、自分の歌詞に深みがない気がしてきちゃって。

──

その気づきから歌詞に意識が向くようになるのでしょうか?

平松

そうです。またいろいろ音楽の本を読んでいたら、「日本のCSN&Y」と言われるGARO(ガロ)ってグループがいるとか。また後期のビートルズ・サウンドを昇華したのはチューリップだとか知って70年代の邦楽をどんどん聴くようになる。そしたらより歌詞のことも身近に感じるようになったので、意識するようになっていきました。

──

深みがないから「わけのわからない歌詞を書きたい」と思ったのはどういうことですか?

平松

正しく伝わる方がいいと思っていたし、自分はどうしても理路を立てて書いてしまうんです。でも全然違うタイプの歌詞とたくさん出会っていく内に、突然文脈が飛んだり、どう解釈すればいいのかわからない歌詞も面白いなと。ボブ・ディランがメモ書きした言葉を組み合わせて“ブルーにこんがらがって”(Tangled Up In Blue)をつくったみたいな。いちやなぎも日常を描いているのにいつの間にか精神的な世界に入っていったり、解釈はばらけるけど何となく雰囲気が伝わるような歌詞なんですよ。そんな風に書いてみたくて、意図的にわかんなくしちゃえばよいのか?とか模索しているんですけど、まだうまくいってないですね。

──

でも伝えたいメッセージがあるならば、その表現方法は矛盾しちゃうから難しい……。

平松

そうなんです。自分は感じていることを伝えたいという気持ち、欲求があって。でもそれだけじゃ歌詞の幅が狭くなるから、違う世界観とかやり方を考えるんですけど、それもつまり自分の考えている世界をぶち込むことだから、メッセージ・シンガーにたどり着いてしまう……。そこを堂々巡りです。悩みながらいろいろ試すしかないのかなと。

いちやなぎ

がんじがらめになってる。

ギタリスト平松の達者な才能

──

悩みモードに入ってしまいそうなので、いちやなぎさんから見た平松さんの音楽の魅力を語ってもらいましょうか。

いちやなぎ

パって思い浮かぶのは、平松の弾くリズムギターがすごくいいんですよ。バンドのたけとんぼを見ても、平松のリズムギターが他のメンバーを引っ張っている。僕もバンド編成ではギターボーカルですけど、演奏は他のメンバーにおんぶにだっこになっちゃうからすごいなと思います。

平松

アコギの音がデカいねと、いつも言われる(笑)

いちやなぎ

いや、デカいだけじゃないんです。普通フレーズやソロを弾いているリードギターの方が目立つのに、リズムギターとして存在感があるプレイができる名手ってなかなかいないよ。だからたけとんぼだけじゃなくって、いろんなところからサポートとして呼ばれるんだと思う。僕のバックで弾いてもらう時もすごいと感じますね。

──

そういえばたけとんぼの最初、平松さんはボーカルじゃなくリードギターだったと伺いました。

平松

そうなんですよ。2015年の結成当初は5人組でしたし、ピンボーカルがいました。だから本当はエレキのギタリストになりたかった。エリック・クラプトンが好きだから、メンバーが変わって僕が歌うようになっても、合間に自分で合いの手みたいなギターフレーズを入れたくなってしまうんですよね。

いちやなぎ

よくお酒飲む場所とかでも彼はアコギ出してきて歌ってるんですけど、何も決めずにその場でやってるギターもすごくよくって、ミュージシャンとしての地肩の強さを感じる。

平松

アコギは空間を共有する能力があるんで、ライブじゃないこういう場でも、自分が弾き始めたら半強制的に巻き込めるじゃないですか。

──

会話の中で何かの曲が出てきたら、隣で歌い始めてますもんね。

平松

そうそう。そこで「じゃああの曲も知ってる?」って言ってもらって「これですよねー!」って歌うのが超楽しくて。だから今日は歌うタイミングがありそうという日はライブとかスタジオがなくてもギターは持ち歩いています。

──

そんなことしてる人いない(笑)

平松

これは坂崎幸之助さん(THE ALFEE)の影響ですよ。坂崎さんはいつも番組でギターを持ちながらトークして、何か曲が出てきたらすぐ弾いて歌えるじゃないですか。「なんでそれも出来るの!」って言われながら。だから自分はギターヒーローみたいに弾きまくって魅せるんじゃなくって、ちょっと笑ってもらったり、その場が盛り上がる感じでギターを弾くのが好きなんです。そもそも音楽を自分で始めたのも、一人で弾いているのは寂しくて、友達が欲しいからだし。たけとんぼもウエストコーストとか日本のフォーク、歌謡曲、GSが好きなバンドですってよく言ってるんですけど、それは好きな人がいたら喋りましょう、お近づきになりましょうというモチベーションが大きい。そういう気持ちがギターにも出てればいいな。あ、あとアコギの話でついでに言うと、アコースティックをちゃんと鳴らせるバンドだということをちゃんと伝えたい。これはさっきの話じゃないけど自分のメッセージ性かも!

──

どういうことでしょうか?

平松

アコギという楽器の音の魅力を出し切りたい。出せる最大の音量、どこからどこまでの音域が出るのか、ポジションによってどんな音が出るのか、ポテンシャルをちゃんと把握していたらすごくいろんな音が出せる魅力のある楽器ですけど、意外と活かしきれている人は少ない。アコースティック・サウンドはたけとんぼの中心ですけど、エレキ主体のバンドがたまに代替としてやるものとは違いますよと言いたい気持ちがある。

──

確かにきむらさんとの二人でやる編成と、サポートを加えたバンドセットでは、同じ曲をやっても全く表情が異なりますもんね。一方でそういう音楽へのリスペクトの強さやアコースティックへのこだわりから「フォークのグループ」みたいに呼ばれがちなことについてはどう考えていますか?

平松

確かにフォークとか昭和レトロみたいに言われることも多いんですけど、一つのカテゴリに入れられることは望んでいないですね。自分たちの音楽はコピーではないし、新しいものを作っている今のミュージシャンだから。

──

でもウエストコーストやフォークを入り口に「今こんなグループがいるんだ!」ってたけとんぼを見つけてもらうのは最高!と。

平松

そうです。一緒にお喋りしましょ! と。身から出たサビな部分はあるから、いい落としどころ?自分たちの居場所?は見つけたいですね。

ベースキャンプ京都の魅力にご注意

──

それで言えば平松さんがよく京都に行って、いちやなぎさんとかネギさん、ジンさんたちと一緒に鴨川にいる感じは、すごく居場所っぽく見えます。

平松

あぁ、京都に行くと安心感はありますね。東京ほど広くないから、友達とか場所にも物理的な距離の近さを感じます。この間、ネギちゃんに「京都にいると知り合いと遭遇することも多いんじゃないですか?」って出町柳を歩きながら聞いて「そうでもないで~」って彼が言った瞬間、〈VOX hall〉でPAをやっていた方に声かけられたんですよ。すぐ知り合いに会えるいい街だなと思った。

いちやなぎ

小さい街なのにライブハウスだけではなくてカフェや喫茶店とか、音楽を表現できる場がいたるところにある。しかもその場所同士がつながっていて別のイベントに誘ってくれたりもするから、表現者にとっては居心地がいい。その反面そこで満足しちゃえるんですよ。だから一定の規模感まで活動が広がると東京に出ていこうかという命題がついて回りがちというか。

──

小さい街、小さい規模なのに京都の中だけで成り立っちゃう、「満足しちゃえる」という言い方に全て表れている気がしますね。

いちやなぎ

しかも楽しいんですよね。だから一長一短なんですけど。

平松

ジンが「ずっと学生でいられる街」って言ってた。どんな年齢になってもモラトリアムというか、大学生活を追体験できるというか。自分もついつい京都に行っちゃうけど、居場所に甘えてはいけない。

いちやなぎ

ベースキャンプにいるくらいに思っておいた方がいいと考えてる。

平松

でもいちやなぎは京都の歌い手としても異質だと思う。金沢生まれだし、弾き語りだけど、京都に根付くブルースやブルーグラスのようなはっきりした言葉を持った、ドロっとした表現もない。だから京都の人に会っている感覚もないんですよね。

いちやなぎ

この前、交換留学しようかって話もしたよね?

平松

東京の俺の家にいちやなぎがしばらく住んで、俺が京都のいちやなぎの家に行く。でもそしたら二人で会えないから、この話なしにしようって。

いちやなぎの歌はたまに怖くなってくる

──

だから恋人同士の会話やん(笑)では今後は逆で平松さんから見た、いちやなぎさんの音楽について話してもらえますか。

平松

いちやなぎの歌は放物線を描いてボールを投げるように、きれいなアーチになって聴く側に届いてくる感じがする。あと浮世のことを歌ってるんだけど、だんだん浮世から離れていく心地になるんですよ。生活を歌っているのにいつの間にかファンタジー。“カレーライスは風に運ばれて”は帰宅ラッシュくらいの時間の街が出てくるけど、その内これは本当にある街なのかな?と思えてくる。だからたまに怖くなってくるし、幻惑されるんですよね。ただ聴いていて癒されるとかじゃなくて、どこか翳りがある。

 

いちやなぎ

平松が言ってくれたことは、自分の表現したいことそのものだと思います。表現である以上、世俗的なところからちょっと距離を置きたいとは思っていて。例えば日常のことを描いていて、急に「火星」みたいな言葉を放り込むと表情が変わるじゃないですか。

──

なぜ、世俗から離れたいと思います?

いちやなぎ

生活ってみんながしていることだからリアルで十分で、自分が改めて描く必要あるのかなって。社会で過ごしていると全てが合理的で意味を求められがちじゃないですか。無駄を省いたり、失敗を避けたり。だから音楽や表現に触れるときくらい、そこから離れたいんですよ。なんでもいいでしょと。生活に火星が出てくるのはありえないけどいいじゃんって思います。

──

メッセージを伝えるなら歌じゃなくていい。生活に寄り添うならリアルで十分。すごく一貫していますね。

いちやなぎ

音楽ではその何かと何かの狭間にあるような表現がしたいんですよね。

──

じゃあ言い方を変えて、いちやなぎさんが音楽で表現しようとしていることは何でしょう?

いちやなぎ

その僕の考えでいくとそこが何かを考えないからいいというか……。そこが何かを求めだすと結局合理的な行為に近づいてきて、「なんでもいい」という考えから離れてしまう。だから平松は迷っているけど歌詞をどう書いてもいいし、自分はこう言っても明日めちゃめちゃメッセージ性の強いラブソングを書いてもいい。その状態を保っておくことが自分にとってはベストなんだと思います。

──

なるほど。いろいろ喋ってきましたが最後にお互いの今後に期待することはありますか?

平松

どんどん他の人に曲を書いてほしいですね。他の人がいちやなぎの曲をやったらどう響くのかが気になる。なんだったらたけとんぼに書いてほしい(笑)そしたら俺にないものを入れられる気がする。

──

この前いちやなぎさんの“憧れの地へ”にアレンジ・演奏でたけとんぼが参加しているし、その逆は見てみたいです。

いちやなぎ

いいですね。自分が平松に思うのは、フォークや昭和レトロにくくられたくないという話がありましたけど、この前西院〈陰陽〉でバンドのたけとんぼを久々に見たら、誰にもそう思わせないくらいの力をもう発揮してるんですよ。だから他の人を入れたり、サウンドを変えながら、いろんなたけとんぼが見たい。最近の音源ではキーボードも入っているよね?

平松

“ラララ”で入れてみた。次つくるアルバムにも入ってもらう予定。

 

いちやなぎ

たけとんぼがやっていることはすごくシンプルで、平松のギターと、きむらくんのドラム・パーカッションと、二人の歌。それだけであんなにいい曲がつくれるんですよ。今さらに変化を持たせようとしているから、既存のカテゴリから外れることなんて簡単なことだと思う。

平松

そうか。フォーク、カントリー、ロックはずっと大事にしていきたいけど、その上で幅広さをどう出していくかはずっと考えていきたいですね。

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東京であぐねる一人の社会人による暮向の記録-砂の壁『都市漂流のために』

何かを期待して上京したある若者。数年過ぎて、東京での生活は慣れたもんだし、仕事に追われる毎日にすら何…

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『まちの映画館 踊るマサラシネマ』 – 人生が上手く行かないあなたに贈る、映画館の奮闘記

〈塚口サンサン劇場〉はテーマパークのような映画館だ。スタッフや観客がステージで踊る。ゾンビメイクをし…

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