INTERVIEW

生活は変われど、再び日々を鳴らし始めた路地の『KOURO』

MUSIC 2022.10.25 Written By 峯 大貴

多摩田園都市を拠点に活動する音楽グループ・路地。音楽の支柱にあるのは飯島梢(Vo / Fl)の楚々で透き通った歌声だ。大貫妙子や山崎ゆかり(空気公団)、寺尾紗穂にも通じるエヴァーグリーンな飯島の魅力をいかに全員で華やがせるかが、2014年に結成して以来、不変のテーマと言えるだろう。

 

路地としての活動は2019年にリリースしたシングル『日々を鳴らせば / 休日』以降はしばし沈静化。飯島とバンドリーダーである鈴木雄三(Gt)の産休・育休期間を経て、4年ぶり3作目となるアルバム『KOURO』を完成させた。再始動にあたってグソクムズやソロとしても活動する中島雄士(Dr)が新加入。4年前とは一変した生活環境や社会の中で、それでも日々の営みとして音楽をする大変さと尊さを噛みしめながら、制作に向き合った全9曲が収録されている。

 

1stアルバム『窓におきてがみ』(2016年)発表時から路地の音楽に親しんできた筆者だが、本作では目指す音楽に対する精度が各段に上がったように思う。ギターはアグレッシブに躍動しながらも、熱量では片付けず、アンサンブルは緻密に整頓されている。また飯島の歌声に対して、ほどよく意外性のあるサウンドとの調和がピリッと効いているし、どの曲も思わず目を閉じて聴き入ってしまうほどに美しい。

 

気ままな活動ペースだし、不器用ではあるものの、着実にみんなで前に進んでいる。そんな路地のここ4年間の人生行路をメンバー5人に語ってもらった。

 

写真:服部健太郎

ライフイベントを迎え、離散しそれぞれの道へ

──

今回再始動となり4年ぶりのアルバムとなりますが、前作『これからもここから』以降のバンドの状況はどうだったのでしょうか?

鈴木雄三(以下 雄三 / Gt)

『これからもここから』を出した後のプランはあまりなくて。2019年に『日々を鳴らせば / 休日』を出したんですけど、それは、のすけさんが“日々を鳴らせば”を書いてきてくれたからに尽きます。とにかくいい曲だから早くレコーディングしたいってみんなのモチベーションが一時的に上がった。でもその時期くらいに自分と梢さんに子どもができて。もちろん望んでいたことなんですけど、路地としての活動が止まることが申し訳なくて。


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久保田敦(以下 のすけ / Gt)

ライフイベントの過渡期を迎えて、雄三さんが路地に弱気になってしまった。でも当然のことですし、自分と高橋と想くん※は落ち着くまで待っていますよというスタンスだったんですけどね。

※大橋想:前ドラマー。現在はNelkoのラッパーとして活動中。

雄三

本当は出産と子育ての期間を見越して、バンドの舵取り役としてしっかり計画を立てるべきだった。でもアイデアがなくて、同時に仕事も忙しくなって、かまけていたんです。バンド、仕事、家族、真剣に向き合うべきものの多さや深さが変わって、その一つ一つへの向き合い方が分からなくなってしまったのかもしれない。だからメンバーのみんなには悪いと思いながら、バンドは一旦お休みすることを伝えました。

のすけ

でもただ休んでいたんじゃなくって、僕は音楽の専門学校に行って理論を学ぶ期間にしていました。〈メーザー・ハウス※〉が閉校前の最後の入学者を募集したタイミングだったので、普段の仕事が終わったら、夜にめっちゃ課題をやるという生活を1年間。音楽業界で活躍している講師の方も多いので、どういうお仕事をしているのかも見せてもらって、自分の身の程を知りましたね。今回の曲作りやレコーディングにも学んだことが活かせたし、いい経験になったと思います。

※音楽学校メーザー・ハウス:2020年3月31日まで開講されていた音楽専門校。常田真太郎(スキマスイッチ)、SUGIZO、阿部義晴(ユニコーン)、菊地成孔などを輩出。

──

なぜ改めて学び直そうと?

のすけ

自分の知識欲ですかね……。過去の2作をあとから聴くと、音が当たっていたり、アレンジを詰め切れてないところがあって。独学でやってきたけど、せっかく時間もあるし、ちゃんと理論を学んだ方がいいなと思ったんです。

雄三

これまでのアルバムの悔いは自分も感じていて、レコーディングやミックス過程はエンジニアさん任せで気を配れてなかった。見過ごしていたところがずっと気になっちゃうんです。もっと向き合わないとダメだと思ったから『日々を鳴らせば / 休日』は初めてミックスまで自分たちだけでやりました。それもあって、休んでいる期間にのすけさんが勉強してくれたのは、すごくありがたかった。

鈴木雄三(Gt)、飯島梢(Vo / Fl)
──

のすけさん、高橋さん、前ドラマーの大橋想さんは、その期間にヨットヘヴンとしても活動開始しますよね。

高橋鐘(以下 高橋 / Ba) 今は全然別のプロジェクトという感覚ですけど、きっかけは路地がお休みの間にできることとして、THE FOWLSのさっちゃん(安延沙希子)と藤木コージさん(Lo-Fi Club Orchestra)に入ってもらって始まったバンドです。

──

今は両方のバンドで活動しているお二人ですが、二つのバンドの違いはどういうところにありますか?

高橋 一番はボーカルが違うことかと思います。梢さんの歌はなるべくバンドの音数を最小限にする方がいい。さっちゃんは逆で常にもっと来てほしいというスタンス。ベースの自分はどちらのバンドでもブレーキ役だと思っているんですが、バランスの取り方が違いますね。

のすけ

路地だとエレキギターが2本なので、雄三さんがコードバッキングで、自分は主にフレーズの部分。でもヨットヘヴンは自分だけなので、担う部分が違います。ただ自分の作る曲はどちら用とか考えていなくて。曲が必要になるタイミングに合わせて持っていくだけ。

高橋鐘(Ba)、久保田敦(Gt)、中島雄士(Dr)
雄三

自分はヨットヘヴンを外から見ていて、二人ともいきいきとしているなって思いますよ。特にのすけさんはギターヒーロー気質なのに、路地だとまずは梢さんの歌を引き立てることが第一優先じゃないですか。だから音量やプレイスタイルの面で、本来の熱い部分が出ている。路地ではできないことがやれていると思ったし、ジェラシーとかは全くない。

──

そんな雄三さんも2020年にはコンピカセット『FALL ASLEEP』に梢さんとのユニットNuomo名義で“かしこ”を発表しています。

雄三

この曲も路地名義で発表する選択肢はありました。でも当時はみんなに対する申し訳なさもあったし、バンド活動沈静化かつコロナ禍だったので、全然連絡をとってなくて。だから自分なりに路地とは違うことを模索しようと思って、自分でギターやベースを全部弾いたんです。ただ僕は歌えないので、家にいる梢さんに歌ってもらって。ドラムも叩けないから、その時初めて中島くんにお願いしました。グソクムズの前にやっていたYAOYOROSの時から知り合いで好きなドラムだったし、そのころ中島くんが『あさチャン!』(TBSテレビ)のオープニングテーマ(“Mornin’”)で、梢さんを誘って二人で歌ったというつながりもあったので。

──

この“かしこ”には雄三さんのどういう心境が反映されていますか?

雄三

もやっとした気持ちを、もやっとしたまま演奏した、曇り空みたいな歌ですね。路地に引け目があって逃げたかったから、ピリオドを打ちたくて「かしこ」ってつけたのかもしれません。


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──

この歌い入れの時は、すでにお子さんは生まれていたんですか?

飯島梢(以下 梢 / Vo /Fl)

まだお腹の中にいる時でした。ちょうどつわりが一段落して、静かにしてくれていたんですよ。そんなに声を張るような歌ではなかったので自然と歌えました。

脇道を抜けて合流した新たな路地

──

そんな沈んだ時期も経て、再始動したのはどういう経緯でしたか?

雄三

それも僕きっかけです。無事に子どもが生まれて、育児休暇をもらっていたので子育てに向き合ううちに、少し時間と心の余裕が出てきたんです。また曲を作ろうかなってモードになったら、路地のメンバーに会いたくなりました。1年ぶりくらいにみんなに連絡取って、ヨットヘヴンのライブを観に行っていたら、やっぱり生活に路地がないとダメだと思えた。わがままなんですよね(笑)

──

それが2021年前半ごろですね。このタイミングで新ドラマーに中島さんが加入となりました。

雄三

最初は「路地に入ってくれる、いいドラマーいませんか?」っていう相談をしたんです。もちろんNuomoでの好印象もあったし、中島くんが入ってくれるならベストなんですけど、グソクムズもいい調子になってきていたし、忙しいだろうから高嶺の花だなと。

中島雄士(以下 中島 / Dr)

前から路地のファンだったし、雄三さんから連絡をもらった時はうれしかったんですよ。自分が叩きたいって言いたかったけど、自分のせいで自由に動けなかったら迷惑かけるし、「探してみますね」って返事をしてしまいました。でも考えるほど「絶対、俺の方がいいよな……」って(笑)

──

中島さんは路地のどういうところに魅力を感じていましたか?

中島

梢さんがバンドの中心にいて、華やかなオーラがありますよね。そして他のメンバーはひたすら引き立て役に徹している職人っぷり(笑)。バンドってグソクムズみたいにそれぞれの個性が際立っていたり、誰か一人が引っ張っていたりいろんな形がありますけど、全員が「梢さんの魅力を伝えるんだ!」という方向に走っているチームプレイがいいんですよ。

──

この再始動について、梢さんの心境としては、すんなり受け入れることはできた?

妊娠中も子育て中もヨットヘヴンは聴いていたし、のすけさんと高橋くんがいきいきしているのは羨ましいなぁ、路地やりたいなぁという気持ちは常にありました。雄三くんは「ヨットヘヴンのライブ観に行ってくるー!」って感じで出かけていくけど、たぶん私は観ちゃったらやきもち妬いちゃう。だから路地を再開できたのはうれしかったし、本気でやりますよというだけです。お休み期間は全然歌ってなかったから、ちょっとずつ家で歌うところから始めて、子守り歌は全部路地の曲(笑)。練習しながら寝かしつけていました。

梢の歌とサウンドが織りなす心地よい違和感

──

全員同じ気持ちで再始動できたんですね。生活の変化と共にコロナ禍でもありましたが、制作はどのように進めましたか?

雄三

みんな仕事やそれぞれの生活がある中で、限られた時間を最大限に活かすためにやることの優先順位をつけようと思ったんです。そのうえで、まずは自分たちの最高を更新するアルバムを作るために振り切ろうと思いました。だからライブを見据えたかたちで5人で一斉に音を出すという工程はほぼなくて。

のすけ

持ち寄った曲のリズムや、それぞれの楽器の音色、コーラスのピッチを検証していく作業にすごく時間をかけたり、音楽の基本に立ち返った制作でしたね。

──

『KOURO』にはどんなコンセプトがありましたか?

雄三

『これからもここから』はフォーク、ブルース、R&B、ソウルとかメンバーの好きなものを詰め込んだ、メロウな作品でした。でも今回はもっと激しい、自分たちなりのオルタナティブ・ロックをやりたかった。曲作りに入る前からのすけさんと話していましたね。「恐れずに音を歪ませよう」って。

──

なぜそういう考えに?

雄三

路地の音楽のよさを改めて考えると、梢さんの澄んだ歌声と共存するギターサウンドの「違和感」の部分だと思うんです。でもただ違和感があるだけじゃだめで、ちゃんと心地よく聴こえるように向き合おうと。

のすけ

フォーキーなサウンドに梢さんの歌を乗せるというのはわかりやすいし、ある程度『これからもここから』でやった気がしていて。演奏はハードなのに、梢さんの歌が真ん中にしっかりある方が難しい。改めて路地をやるなら、そこをちゃんとやってみたかった。

──

梢さんの歌に、違う文脈のサウンドを同居させるのは1stアルバム『窓におきてがみ』の頃からの路地の命題でしたよね。でもその頃はローファイなサウンドにあわせて歌もどこか靄がかっていた。『これからもここから』はその分、メロウで聴きやすいサウンドと歌との調和を図った作品でした。その後の3作目として違和感に緻密に向き合うというのは、バンドのステップアップとしてすごく腑に落ちます。

雄三

そうなんです。ずっと課題だったけど、うやむやにしていた部分にやっと本気で取り組めた。

“渚にて”ー1stアルバム『窓におきてがみ』収録

“えんとつ屋さん”ー2ndアルバム『これからもここから』収録

──

のすけさんが6曲、雄三さんが3曲持ち寄っています。本作の方向性を決定づけた曲はありますか?

雄三

のすけさんが書いてきた“蟻とリンゴスター”ですね。今回のアルバムでやろうとしたことを一番わかりやすく表している。

のすけ

曲のイメージにあったのはリンゴスターではなく(笑)。90年代のオルタナティブ・ロックです。自分がギター始めた時にハマっていたのが80年代に全盛だったハードロックやヘヴィメタルで。それらのバンドも90年代に入るとオルタナっぽい方向になっていくんです。Extreme(エクストリーム)のNuno Bettencourt(ヌーノ・ベッテンコート)が一時期Radiohead(レディオヘッド)から影響受けたようなソロ作品(『Schizophonic』(1997年))を作るんですけど、それがすごく好きで。ハードロックを取り去りきれてないオルタナみたいな感じが頭の中にありました。

“蟻とリンゴスター”はのすけさんの色が強く出ているし、私が今までのようにサラっと歌うだけじゃ全然物足りないんですよ。歌詞も「清く正しく狂おしく」なんてすごく強い言葉だし、そこに負けないように「今の私これです!」みたいな主張がいるので大変だった。

のすけ

あと歌の部分でいえば、“君はボタニカル”しかり、コーラスにちゃんと取り組むというのもアルバムの大きなテーマとしてありましたね。ギター、ベース、ドラムだけではない広がりのつけ方として、コーラスワークに取り組めたのは中島くんの功績が大きいです。

雄三

ピッチも正確だし鼻に抜けるような声色なので、主張が強すぎなくて、梢さんとの声の相性がいいんですよね。

──

コーラスで言えば“月は今でも明るいが”のゴスペルパートもすごく印象的でした。

のすけ

あそこはヨットヘヴンでも“手のなか”の冒頭に取り入れたコーラスがうまくいったので、路地でも取り入れたかった。理論を学んだおかげで声の重ね方はうまくできたかなと。中島くんみたいにうまく歌えないんですけどね(笑)

緻密に仕込まれたアイデアが細部に光る『KOURO』

──

中島さんが入ったことで、アプローチが広がったと。他にも影響がありましたか?

のすけ

ドラマーとして素晴らしいのはもちろん、マルチプレイヤーだからコーラスとかコード進行でもアイデアを出してくれました。おかげでバンドの風通しが良くなったと思います。前は全員で考え込む時間が長くて。

雄三

僕たちよりもたくさんレコーディング経験があるので、いろんな選択肢を出してくれる。中島くんがいると、考え込む場面で落としどころが見つかるんですよ。これまでは高橋くんが何か気づいて口を挟んでくれていたんですが、彼はなかなか意見を言わないので。

高橋 自分はなんだっていいんです。でもずーっと悩んでいるバンドなので、楽にはなりました(笑)

中島

新しく加入したからこそ、客観的な視点でいることが今回の役目なのかなぁとは思っていましたね。新参者なのでいい意味でずけずけ言い出したり、みんなが悩み出したら一回離れて「実は答えは見えているよ!顔近づけすぎ!」みたいな(笑)

雄三

これまで自分たちの知識の範囲内でしかやれなくて、デモから想像を超えないことも悩みだったんです。今回期待を超えられたのは中島くんとbisshiさん(ex. PAELLAS)のおかげ。

──

bisshiさんはサウンドプロデューサーとしてクレジットされていますが、どのようにコミットされたんですか?

雄三

スタジオにいろんな機材を持ち込んでくれて、楽器の音色を選ばせてくれたのは大きいですね。“蟻とリンゴスター”のギターソロは最後にエフェクターを切る音が入っているんですが、これも足元にマイクを立てて存在感のある音にしてくれたり、要所でアンプのフィードバックやノイズ音が入っていたり。そういう遊びのある音作りとミックスの部分で助けていただきました。

のすけ

アナログな部分とデジタル機材をうまく混ぜた録音の仕方を提案してもらったので、すごく勉強になった。

雄三

確かに。“はてない”と“旅に出る”は全部のミックスが終わった後にアナログテープに通した音を収録しているんです。テープの独特の温かさが加わって、他の曲とは違う質感に仕上がりました。こんなアイデアは僕たちにはない。

──

“はてない”の冒頭にはお子さんの声も入ってますね?

雄三

のすけさんがうちに来た時に隠し録りしていたようで(笑)

中島

最後のシュルシュルとした音もアナログテープだからできたことで。のすけさんがリールを指で押さえて回転数を変えた時の音が面白かったんですよね。


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──

今回のレコーディングについて、梢さんはいかがでしたか?

うーん、難しかったです(笑)。みんなが路地でやりたいことを実現しようとしている姿をずっと見ていたので、私も向き合い方が変わりました。これまでは「私が今できることの100%を出す!」という感覚だったのが、それじゃダメと思って、発声や声のトーンを曲ごとに細かく考えましたね。

──

それは今回の楽曲が、今までの自分の歌にないものがあったから?

それもありますがどちらかと言えばみんなの音楽に向き合う姿勢がこれまでと違うことに感化されたのかな?私ができることは歌の部分だけなので、もっと突き詰めて考えないとって。

のすけ

それはすごく感じました。今回は歌に明確な指示は出していないんですけど、ちゃんと解釈してくれてすごい歌を入れてくれた。

てへ。

三権分立バンド、路地はこれからもここから

──

ではこの『KOURO』でこれまで感じていた課題はクリアできました?

雄三

初めて自分で何度も聴き返せるアルバムができた気がします。今までは完成した後も「これがベストだったのかなぁ」とか家でもずっと言ってたから、梢さんをモヤモヤさせてしまっていたと思うんですよ。今回はずっと家でこのアルバムをかけて満足しているので、安心してくれているんじゃないでしょうか。

どうなんでしょう。私は今回も大満足しているし、これまでもみんなで精一杯やってきた。次はもっといいものができると思っていますよ。

──

前作『これからもここから』の後はプランがなかったと仰っていましたが、『KOURO』ができて、今後はどのように考えていますか?

雄三

もう次のアルバムに向けて動きたいです。今回はなかったんですが、中島くんが路地に曲を書いてくれるのもすごく楽しみで。

中島

僕はボーカルの人をイメージして曲を作ることが多いので、梢さんに歌ってほしい曲という視点で書きたいですね。

──

それはまた新しい風が吹きそう。路地が前向きに続いていきそうで安心しました。

みんな路地が好きなんだよ。なんか音楽だけで集まっているだけじゃない気がします。

雄三

親戚感、家族感というかね。目標はなるべくこの活動を長く……清く正しく狂おしく。

──

(笑)。でも珍しいバンドの在り方だと思うんですよ。路地の中心にいるのは梢さんで、メインのソングライターはのすけさん。でもバンドのモチベーションを左右している舵取り役は雄三さん。それぞれに代えがたい役割があって、不思議なバランスで成立している。

中島

確かに。三権分立ですね。

雄三

僕が路地を続けている理由は「のすけさんの作る曲が好き」と「梢さんの声が好き」。ここが絶対的なんです。そのために自分ができることをするというか。二人はあんまりマネジメントとかはしなさそうなので、ほっとくと音楽を諦めちゃいそう。それが嫌なんですよね。

のすけ

自分は歌ができないし、人を巻き込むことは苦手……。雄三さんがいるから路地は続いていて、自分も音楽をやれているので、ついていきますよ。

KOURO

 

アーティスト:路地
仕様:デジタル
リリース:2022年10月19日
レーベル:FRIENDSHIP.

 

収録曲

1.君はボタニカル
2.月は今でも明るいが
3.蟻とリンゴスター
4.名残
5.はてない
6.日々を鳴らせば(remix)
7.不要担心
8.進水式前夜
9.旅に出る

 

配信リンク:https://friendship.lnk.to/KOURO

 

Sound Produce & Mixing:Bisshi

Cover Design:yasuo-range

路地

 

多摩田園都市を拠点に活動する音楽グループ。
メインストリートから一つ角を曲がったその先で、自由気ままなポップスを紡ぐ。

 

Webサイト:https://lit.link/rojiband

Twitter:https://twitter.com/rojiband

Instagram:https://www.instagram.com/roji_band/

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COLUMN
【2024年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シー…

REVIEW
「キテレツで王様になる」SuperBack『Pwave』のキュートなダンディズムに震撼せよ

2017年に結成、京都に現れた異形の二人組ニューウェーブ・ダンスバンドSuperBack。1st ア…

REPORT
台湾インディーバンド3組に聞く、オリジナリティの育み方『浮現祭 Emerge Fest 2024』レポート(後編)

2019年から台湾・台中市で開催され、今年5回目を迎えた『浮現祭 Emerge Fest』。本稿では…

REPORT
観音廟の真向かいで最先端のジャズを。音楽と台中の生活が肩を寄せ合う『浮現祭 Emerge Fest 2024』レポート(前編)

2019年から台湾・台中市で開催され、今年5回目を迎えた『浮現祭 Emerge Fest』。イベント…

INTERVIEW
2024年台湾音楽シーンを揺らす、ローカルフェスとその原動力―『浮現祭 Emerge Fest』主催者・老諾さんインタビュー

2024年2月24,25日の土日に、台中〈清水鰲峰山運動公園〉で音楽フェス『浮現祭 Emerge F…