人懐っこいキャラクターとコーラスワークが魅力の二人による、新たな扉が開いたカセット第2弾
2015年の結成、平松稜大(Gt / Vo)ときむらさとし(Dr / Vo)による東京を拠点とするフォークロック・ユニット、たけとんぼ。メンバーチェンジを経て2017年末頃に現在の二人となってからは、アコギとパーカッションのデュオスタイルや、サポートを迎えてのバンド編成でライブ活動を行っている。凸凹な二人の人懐っこいキャラクターと、コーラスワークに重きを置いた楽曲にはフォークやニューミュージックの影響を強く感じる点が何と言っても特色。中でも平松のアコースティックギターのテクニックと70年代のフォークやロックの造詣の深さには、風貌も含めて現行ライブハウス・シーンの坂崎幸之助とでも言いたくなる存在だ。またサポートやバックバンドを務めることも多く、クララズ、清水煩悩、keme、ぎがもえか、棚木竜介など東京のシンガーソングライターたちだけでなく、シュウタネギら元バレーボウイズのメンバーや、いちやなぎ、世田谷ピンポンズなど京都勢とも数多くステージやレコーディングを共にしており、東西交流のハブ的な役割も担っている。
本作は2曲入りのカセット・シングル第2弾。ベースにハヤシケイタを迎えた“春はまだか”は最初期からレパートリーとしている代表曲。ケレン味のないきむらの「ウーララ」コーラスや、中盤から入るバンジョーやグロッケンの音色も楽しい。“旅の前”は平松とのユニット「ネギ松」としても度々共演しているシュウタネギ(WANG GUNG BAND / exバレーボウイズ)からの提供曲。セカンド・ラインのビートを基調とし、ベースに菊地芳将(いーはとーゔ)を迎えたことも伴ってアメリカーナ的な匂いを放つ仕上がりとなった。ネギの曲らしいコブシを効かせた節回しが、ソフトな歌声である平松の奥に眠るエモーションを引き出すような仕上がり。フォーク、ニューミュージックに付随しがちな素朴で軟弱な「四畳半」のイメージを振り払うような、彼らにとって新たな扉が開いた瞬間にも思える。
これまでの作品はアコースティック・サウンドが主体であったが、近年のライブではCreamやCSN&Yをも思わせるマッドなロック・アンサンブルにも取り組みだしている。現代のルーツ・ミュージックを描き出そうとしているグループであり、将来はThe Lovin’ Spoonfulみたいなバンドになるのではないかと勝手に期待している。
たけとんぼシングルコレクションvol.2『春はまだか / 旅の前』
アーティスト:たけとんぼ
仕様:カセット
発売:2021年3月26日
価格:¥800(税抜)
収録曲
side A “春はまだか”
作詞作曲:平松稜大
サポートベース:ハヤシケイタ
side B “旅の前”
作詞作曲:シュウタネギ
サポートベース:菊地芳将(いーはとーゔ)
Mix、Master:アダチヨウスケ
DLコード特典 “心の風”
作詞:風谷風太郎(木村実弟)
補作詞・作曲:木村理志
たけとんぼ
平松稜大(1994年生まれ。東京工芸大学卒。身長178cm)と、きむらさとし(1996年生まれ。洗足音楽大学卒。身長157cm)のフォークロックユニット。2015年結成。メンバーチェンジを経て現在に至る。
1970年代の洋邦楽から影響を受けた素朴かつ洗練されたアコースティックサウンドとコーラスワークを持ち味とする。過去作に自主制作EP『今夜町をでよう』、『丘をこえて』など。様々なミュージシャンのサポート、バックバンドとしても活動しており、主なミュージシャンにクララズ、世田谷ピンポンズ、杉本周太(元バレーボウイズ)、清水煩悩、kemeなど。
Twitter:https://twitter.com/Band_TakeTombo
SouncCloud:https://soundcloud.com/take-tombo
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WRITER
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1991年生まれ。大阪北摂出身、東京高円寺→世田谷線に引っ越しました。
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ANTENNAに在籍しつつミュージックマガジン、Mikikiなどにも寄稿。
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