編集部員が選ぶ2023年ベスト記事
2023年もANTENNAをご愛読いただきありがとうございました。滑り込みのお歳暮として、また少し早めのお年賀として、恒例となったANTENNA編集部員が選んだ今年のベスト記事をご紹介します。
2023年、ANTENNAをご愛読いただきありがとうございました。今年ANTENNAでは300本以上の記事が公開されました。その中には地域に根差したフェスへの取り組みを追ったもの、ミニシアターの現状を捉えたもの、日本を飛び越えてアジアのインディシーンへ目を向けたものなど、さまざまな記事がリリースされております。紙媒体では『OUT OF SIGHT!!! Vol.3 地域と芸術祭、あの前後(別冊 台湾編)』も発行。今後もますますインディペンデントな活動や、ローカリティカルチャーに目を向けながら、地道に活動を続けてまいります。
さて私事で恐縮なのですが、年々「あ、そんなことあったな……」と言うことが多くなってきました。SNSメディアや動画配信サービスの普及で、私たちが受ける情報の量は年々増加しています。しかしながら私たちはそんな爆発的な情報を全て記憶できるほどうまくはできていません。だからこそ「物事を振り返る」ことは重要なのだと思います。あぶれた情報を忘却させずに、記憶として残しておく振り返りの機会を経て、様々な情報をインプットした目線で改めて物事を見直してみると、新しい発見や価値が出てきます。
今回このベスト記事企画では編集部のメンバーが今一度ANTENNAの活動指針とビジョン・ミッション・バリューを照らし合わせながら今年を彩った記事をそれぞれ1本を選んでコメントしています。
ANTENNAの活動指針/ 編集方針/ ビジョン・ミッション・バリュー
https://antenna-mag.com/about/
まだ読んだことない方から、既に記事を読まれた方まで、もう一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
2024年もANTENNAは新しい取り組みを行っていく予定です。今後ともみなさまの新しい出会いと気付きの源になれるよう尽力いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
堤 大樹が選ぶ今年の記事
OUT OF SIGHT!!!編集長 / ANTENNA・PORTLA編集部 代表
【Playgrounds Vol.1】3代続く老舗スポーツ用品店〈FUJIKURA SPORTS〉が、ひらかれた街のホットスポットになるまで
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ANTENNAを始めた当初から「音楽メディアにはしたくない」という想いがあった。音楽そのものを語りたい一方で、もっとその音楽が鳴らされる街や、そうしたものを生み出す人と、その環境にこそ興味があったからだ。そうした意味で、ivyの「Playgrounds」の連載はANTENNAのらしさを体現しているものだし、特にこの最初の一本は筆に熱がこもっていて読み応えがある。柴田の少年キッズボウイの記事へのこれが好きやねん!で「こすり倒すパワー」も好きだったが、今回はこちらをチョイス。
峯 大貴が選ぶ今年の記事
ANTENNA副編集長 / ライター
くるりの原点に戻れる場所〈拾得〉でみせたバンドとしての最新型
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数々のくるり記事を手掛けてきたANTENNAライター・編集者の乾さんですが、このくるりオリジナルメンバーによる〈拾得〉公演レポートは、特別なマジックがかかった記事になったと思います。くるりを〈拾得〉というローカルな磁場の特色でもって語り尽くす、ある二つのものを引き合わせたことでの妙が文章の随所に表れている。そこに加えて約半年後のアルバム『感覚は道標』リリースという伏線回収。ずっとアーカイブしておきたい記事になりました。
岡安いつ美が選ぶ今年の記事
フォトグラファー
あそびは学び! 14回目の開催・みんなであそぶフェス 『ONE MUSIC CAMP』2日目レポート
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個人的に長く記録写真を撮影している『ONE MUSIC CAMP』のレポートを、今年ついにANTENNAで実施できました。東京からやってきたライター・柴田が会場で楽しんでいた姿がテキストを読んでいると蘇ります。「みんなであそぶフェス」というテーマを掲げるONEの本質を、見事に紐解いてくれたと感じるこの記事を今年のベスト記事にしたいと思います。
乾 和代が選ぶ今年の記事
編集者 / ライター
壁を壊して、枠組みを広げる映画館 – あなたの身近なテーマパーク〈塚口サンサン劇場〉とは?
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場所に生まれる文化の渦の中には、いつも想いをもった人がいる。「映画のあるまちで、暮らす」特集の中でも、それをひと際感じたのが〈塚口サンサン劇場〉の戸村文彦さんの「敷居を壊さないといけない」という言葉だ。固定観念をはみ出したときに、そこに驚きが生まれる。それがこの場所を常に面白くさせているのだろう。映画館を捉える視点が変わる、そんなきっかけを与えてくれたこの記事を今年はベストにあげたい。
柴田 真希が選ぶ今年の記事
ライター
“捨てる”は、あの場所にかえる動機になる? 集う人と『森、道、市場』をつなぐゴミの行方
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「フェスのゴミ問題」という切り口で、過去に『京都音楽博覧会2022』での「資源が“くるり”プロジェクト」を取り上げていた乾さんが手掛けた『森、道、市場』のゴミのエンタメ化。フェスの中で、よく注目される出演者や出店、主催者とは別の部分で、でも無関係の人はいないということに気づかせてくれる記事でした。岡安さんの写真や図表もたっぷりで、説明が難しいであろう内容がとても分かりやすく書かれていました。冊子にしてほしいです。
マーガレット 安井が選ぶ今年の記事
ライター
「日本とアジアを混ぜっ返すんだ!」アジアン・ショーケース『BiKN shibuya』に至る衝動
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このイベントをやる意義がANTENNAのVisionと呼応していること。そしてその胎動をキャッチして取材を行い、主催者である《THISTIME RECORDS》藤澤慎介氏の思いを汲み取ってテキストにした。それだけでANTENNAで取り上げることに意義がある記事になったのではないかと考える。いつもライブハウスでしか藤澤さんにはお会いしたことはないが、素晴らしい人だなと改めて感じた。
ivyが選ぶ今年の記事
ライター
街なか音楽祭『結いのおと』の継続で生まれた、地域と人の結節点 – 「結いプロジェクト」野口純一さんインタビュー
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インディペンデントな動きは、誰かの思いや動き出しが起点にある。それが実を結び、規模が大きくなるうち“初めの一歩”が見えなくなってしまう。『結いのおと』主催、野口純一さんへのインタビューは、“初めの一歩”を見失わないために何度でも読み返したい。フェスによって動きだす人や街の様子が柔らかな色彩で浮かび上がる。音楽がそこで鳴る意味を噛み締めて会場へ足を運ぶとき、フェスへ“参加”する感覚を味わえるはずだ。
竹内 咲良が選ぶ今年の記事
ボランティアスタッフ / ライター
2日目の『京都音博』に感じた“らしさ”の理由 -『京都音楽博覧会2023』ライブレポートDay2
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自分も当日の会場で見た2年目の「資源が‟くるり”プロジェクト」。環境の取り組みへ注目を集めるためにいかに他人事ではないかを説いている場面をよく見かけるが、このプロジェクトはまるで日々繰り返す生活の一部のように人々が寄っていく空気が出来上がっていたように思う。京都でこのような場づくりをしている人々の声をANTENNAで発信することはとても意義があると感じた。
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関西インディーズの水先案内人。音楽ライターとして関西のインディーズバンドを中心にレビューやインタビュー、コラムを書いたりしてます。
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