
2026年の視点から日本のフォークを捉え直す ANTENNA副編集長・峯大貴 監修『日本のフォーク・ディスク・ガイド 1966-1982』が刊行
1966年から1982年までの日本のフォーク・ミュージックを紹介する書籍『日本のフォーク・ディスク・ガイド 1966-1982』が、2026年8月10日(月)にシンコーミュージック・エンタテイメントより刊行される。
監修・執筆を務めるのは、我らがANTENNA副編集長で音楽ライターの峯大貴。フォークやロックを主な執筆領域とし、『ミュージック・マガジン』『CDジャーナル』『ユリイカ』『Mikiki』などに寄稿。日本のフォークを継続的に取り上げているライターの一人だ。
本書では、定番の名盤から後年再評価された作品、近年発掘された自主制作盤まで、全471作品を解説。1966年から1982年までを6つの時代に区切り、当時の評価と2026年現在の視点を交えながら、それぞれの作品の魅力を掘り下げている。
また、1970年代の『ヤング・ギター』に掲載された小坂忠、小室等、GARO、高田渡、友部正人、井上陽水、岡林信康、加川良のインタビューを復刻収録。さらに『全日本フォークジャンボリー』『唄の市』 『HOBO’S CONCERTS』 『春一番』といった、日本のフォーク史を語るうえで欠かせないライヴ盤も取り上げる。
また執筆者には、フォークロック・プロジェクト「たけとんぼ」を中心に活動するシンガーソングライター・平松稜大をはじめ、マオ(砂の壁)、妹尾みえ、真鍋新一、安田謙一(ロック漫筆)、村尾尚哉などが参加。それぞれの視点から、日本のフォークを現代につながる音楽として読み解いていく。
フォーク全盛期をリアルタイムで体験した世代はもちろん、その時代を知らないリスナーにとっても、日本のフォークの魅力を改めて知るきっかけとなるディスク・ガイド。ぜひ書店でお買い求めを。
はじめに
本書は1966年〜1982年に発表された日本のフォーク・ミュージックの名作を選出し、時代の潮流やフォーク・シーンの変わり目ごとに全6パートで構成したアルバム・ガイドである。各パートはアーティスト名の五十音順で作品を並べているが、特に重要とした4〜6作品は先頭に置いている。
補足として、ライヴ作品の解説、参加ライターによる日本のフォークにまつわるコラム、そして創刊時はフォーク雑誌だった70年代の〈ヤング・ギター〉誌に掲載された、代表的なミュージシャンのインタビュー再録も加えた(当時の雰囲気を伝えるため、記事内の表記などはほぼ掲載時のままとした)。
日本のフォークの歴史書やディスク・ガイドは、すでにたくさんの名著がある。しかしロックやほかのジャンルも含めた総論的なものだったり、URCやエレックといったレーベルごとや、個別のアーティストに特化したものなど、カテゴリーごとに紹介している文献が多数を占めている。それは日本のフォークが、反戦運動や学生運動といった政治的文脈と結びついていたり、ロックやブルース、歌謡曲などと不可分な部分もあり、明確な定義に収めがたい多面的なアート・フォームであることが要因だろう。
本書ではそうしたカテゴリや文脈からフォークを一旦開放したうえで、アルバムという形式を通して、最も濃密だった時期の日本の〝フォーク・ミュージック〞の全体像を改めて捉え直し、現代に伝えることを主眼としている。
そのため対象は、あえてロックとも切り離してフォークに特化し(ゆえにはっぴいえんどなどもロックとして割愛したが、本文の随所には登場する)、年代はマイク真木「バラが咲いた」が発表された、今からちょうど60年前の1966年から、フォークの流れを汲んだニュー・ミュージックへの変遷が完了し切った1982年までに発表されたアルバムとした(制作時は該当範囲だが、発表年は1983年以降の作品も数枚含む)。
定番の作品から、後年再評価された隠れた名盤、近年発掘された自主制作モノまで。当時の評価と2026年現在の視点も織り交ぜ、なるべくフラットに。多作なアーティストはキャリアハイの作品を厳選することで、できる限り枝葉まで見渡せることを重視した。掲載枠の限界まで押し込み、計471作品という半端な数となったが、これでも深い深いフォークの沼の入口に過ぎないことは強く言っておきたい。
さて、今回選盤も含め監修を務めた私だが、本書が取り上げる年代以降に生まれた者である。私よりも長く深くこの音楽を愛し続けてきた先輩方が大勢いることを素直に白状しておきたい。当時を体験していない世代ではあるが、後追いで作品を聴いたり、今なお現役で活動しているアーティストのライヴを観たり、取材を重ねながら学んできたからこその、多角的かつ俯瞰した目線が、リアルタイム世代はもちろん、現代の音楽ファンにとっても新鮮な発見をもたらすのではないかと信じて重責に向き合った。
私が最も影響を受けた書籍の一冊に、本書にも登場するフォーク・シンガーの中川五郎が、永井宏と共著した〈友人のような音楽〉という対談集がある。そこで中川は〝友人のような音楽〞とは〝対等に付き合える音楽〞であり、それが自分にとってフォークだったと記した。本書にあるアルバムたちは、すべて私が生まれる前に発表された作品なのに、同じ目線で語りかけ、自らの思考や生活をさらけ出し、些細な感情の機微をすくい上げてくれる。私にとってもまさに〝友人のような音楽〞なのだ。それはもはやフォーク・ミュージックにおける、唯一の定義という言い方もできるだろう。
この本があなたにとって、日本のフォーク・ミュージック第一フェーズと言うべき作品たち(=友人の生きた証)の、輝かしく(時に淡く)美しい魅力に気づくきっかけとなることを、私は強く望んでいる。
峯大貴
日本のフォーク・ディスク・ガイド 1966-1982

発売日:2026年8月10日(月)
監修・執筆:峯大貴
執筆:妹尾みえ / 平松稜大 / マオ(砂の壁) / 真鍋新一 / 村尾尚哉 / 安田謙一(ロック漫筆)
表紙イラスト:サヌキナオヤ
デザイン& DTP:仲島綾乃
校閲:花倉有紀子
出版:シンコーミュージック・エンタテイメント
判型:A5判
ページ数:240ページ
価格:2,800円(税込)
詳細:https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0657586/
予約・購入サイト
Amazon:https://amzn.asia/d/0gaoDCvc
ディスクユニオン:https://diskunion.net/portal/ct/detail/1009275156
タワーレコード:https://tower.jp/item/8127572
You May Also Like
WRITER

- ライター
-
関西インディーズの水先案内人。音楽ライターとして関西のインディーズバンドを中心にレビューやインタビュー、コラムを書いたりしてます。
OTHER POSTS
toyoki123@gmail.com







