INTERVIEW

キタが語る、オルタナティヴ・バンドthanの正史ー2ndアルバム『LINES』リリース・インタビュー

MUSIC 2019.11.18 Written By 峯 大貴

大阪で怪物みたいなバンドがいると、筆者が噂に聞いたのは2018年5月ごろ。ライブ・コンテスト『エマージェンザ・ミュージック・フェスティバル』の日本予選が開催中であり、Twitterでは大阪のバンドマンたちを中心に、ライブ動画と共に彼らの予選会でのすごさを語る投稿を度々目にしていた。その内瞬く間に千日前・味園ユニバースでの大阪ファイナル優勝、そして渋谷TSUTAYA O-EASTでの日本ファイナルで全参加者174組中のグランプリをかっさらい、ドイツでの世界決勝まで進んだのである。

 

2011年結成、大阪のオルタナティヴ・ロック・バンド、than(ザン)。筆者が初めてライブを見たのは、その日本ファイナルが行われたO-EASTにて。中心人物キタ(Gt / Vo)が目を見開き、観客を喝破するかのように叫ぶ、迫力のオルタナティヴ・サウンド。しかし彼らのタダモノじゃなさは、キタとバンド・サウンドの骨格を担うドラムのTarooに加えて、キタの描く楽曲の妖気を増幅させるクラリネットのN(緒方直之)、そして狐の面をかぶって登場したと思えば、曲に合わせて舞うコンテンポラリーダンスの赤子を擁する点だ。今まで見たことのない歪に形成されるバンド・アンサンブル。いや、アンサンブルというよりも4人のバンドマンによる意地のぶつかり合いと言う方がしっくりくるだろう。力づくで化学反応を起こすようなステージに魅了されてしまった。

 

現在のラインナップはキタ、Taroo、赤子、N、ホンジョウ(Ba)。とはいえライブはその都度集まれるメンバーによる可変的な編成で出演し、ここ数年は年間180本を超える驚異的な数のライブを行っている。このたび11月22日(金)に心斎橋Music Club JANUSにてワンマンライブを開催。この日を持ってTarooが正メンバーを降り、SHOW(Dr /Rapid Trigger Happy、霜降り猫、Kangaroo note)とmako(Vo・Cho・Voice / Rapid Trigger Happy、Qu)が加入する。また同日には1年半ぶりの2ndアルバム『LINES』をリリース。CD音源と合わせて、makoがレコーディング当日に行ったライブペイントで作られたアートブックという形態で販売される。

 

アンテナでは再び変化の過渡期を迎えることとなるこのタイミングで、首謀者キタにインタビューを実施。thanに至るまでの前史から、現在の編成とパフォーマンスになった経緯と、その目論見について話してもらった。筆者の質問に対して雄弁に熱く喋りまくる、2時間超えのキタ語り。ぐっと凝縮した初のインタビューをご覧ください。大阪のモノノケ集団than、続々召喚中につき!

thanに至るまでの首謀者キタの歩み(~2011年)

──

thanの結成は2011年とありましたが、まずはキタさんのバンドマンとしての歩みからお伺いしたいと思います。ご自身の音楽のルーツで言えばやはりオルタナティヴ・ロックなのでしょうか?

キタ

もちろんオルタナティヴ・ロックとか、グランジ直撃世代やからダイナソーJrが大好き。あとは自分が生まれた70年代前半のいわゆる初期プログレやね。キング・クリムゾンの『太陽と戦慄』(1973年)までの作品は本当に痺れるくらいハマっていた。

──

自分の直接的な世代ではないプログレッシブ・ロックにはなぜはまったんですか?

キタ

大学生の頃に三宮のセンターレコードという小さいレコ屋さんでアルバイトしていて、そこの店長がアイン・ソフ(AIN SOPH)というプログレ・バンドのyozoxさん(山本要三)という人やった。アイン・ソフといえば日本のプログレの始祖みたいなすごい存在で。そのyozoxさんから教わっていろんなレコードを聴いていた、あの時期が一番プログレにハマっていたと思う。その店は後に阪神淡路大震災でなくなってしまうんやけど、3年間くらい働いていた。

キタ(Vo / Gt)
──

いきなりすごい話です……。95年くらいですよね。ご自身でバンド活動は?

キタ

自分でも当時フォークロアというバンドをやっていた。ベースとドラムに、俺ともう一人がダブルでギター・ボーカルという編成。でも歌はギターソロ的に少し入るくらいで、構成がどんどん変わっていくようなプログレ風バンドやった。でも、俺ともう一人のギター・ボーカルが仲悪くなっていって、自分は1年くらいで抜けてしまったけど、ものすごい才能あるやつやったのよ。あいつのギターを研究して今の俺のプレイ・スタイルになっているし、作る曲も展開が潔くって映画を見ている感じで風景が切り替わっていってちゃんときれいに着地する。その時やっていたことをthanでも取り入れているところはあるなぁ。

──

フォークロアがキタさんの原点となるようなバンドだったんですね。

キタ

一回、GYUUNE CASSETTE(注)で音源もリリースしているのよ。当時、姫路MUSHROOM(2011年閉店)によく出ていたけど、ある事情で出にくくなってしまった。でもそこで出会った怖(コア)というハードコアの女の子二人組がいて、今は活動していないけど、関西のアンダーグラウンド界隈では伝説的な存在。彼女らが難波ベアーズにフォークロアを紹介してくれて、何回かライブをしている内に須原敬三さん(GYUUNE CASSETTE主宰)が見てくれた時があって、終演後楽屋に来て「その手があったかー!」と声かけてきた。それでトントン拍子でカセットを出してくれた。

 

(注)GYUUNE CASSETTE(ギューンカセット):羅針盤、埋火、サイケ奉行、他力本願寺のメンバーでもある須原敬三が1994年に大阪で設立したレーベル。羅針盤、ヰタ・セクスアリス、あふりらんぽ、溺れたエビの検死報告書、黒岩あすかなどの作品をリリース。

──

大阪のバンドとして順調じゃないですか。

キタ

でもその時点でバンドは仲悪かったから、すぐに俺は抜けてしまうけど。面白いのはフォークロアをやめてしばらくして、実家にベアーズ店長の山本精一さんから電話がかかってきたのよ。おかんが「ベアーズ?の山本さんから電話かかってきてるけど」と言ってきたから、受話器ぶんどってバンドを抜けたことを説明したら「音楽は続けるの?続けた方がいいよ」と言ってもらった。山本さん、絶対覚えてないやろうけど(笑)。

──

その後キタさんはどうされるんですか?

キタ

もうバンドに疲れてしまって、一切音楽をやめた。ちょうど大学を卒業するタイミングだったから、就職して10年くらいはサラリーマン。でもある日、職場の人に「ギター弾けるなら、バンド入ってほしい」と誘われて、なんとなくバンドマンに戻った。月1くらいでライブをするくらいの活動が5年くらい続くことになる。

──

どんなバンドだったんですか?

キタ

女の子がボーカルのギターポップ。今考えたら、あれはパワーポップやったね。そこでも俺はジャキジャキに歪んだギターを弾いているから、いつも「ギターうるさい!」と言われていた(笑)。でも、やっぱりバンドやっていると自分の音楽をしたいという欲が出始めるのよね。それで始めたのがthanやった。

than発足~Taroo、赤子、Nの加入(2011~2017年)

──

おお、ここでついにthanが始まるのですね。

キタ

ちょうど2011年10月に仕事も独立したので、同時に自分が好きなオルタナティヴな音楽を踏襲できるバンドとして作ったのがthan。そして2012年3月に塚本エレバティで初ライブを踏む。そこから扇町パラダイス、梅田ハードレイン、アメ村の火影とちょっとずつ大阪で出られる場所を広げていった。

──

最初はギター・ボーカル、ベース、ドラムの3ピース・バンドでしたよね?

キタ

当初やりたい方向性としてはJawbox(ジョーボックス)がベンチマークとしてあった。もう一人ギターを入れたいとは思ったけど、フォークロアの時と同じくギター二本のアンサンブルを考えないといけない。そこで自分と合わなかったり、同じテンションで出来ない人だったら、またしんどくなってしまうと思っていたから、3ピースで考えてたな。

──

当時やっていた音楽性や曲は現在のthanとはかなり違うものでしたか?

キタ

いや、その当時からやっていた曲も多いよ。前作『蚕-KAIKO-』に入っている“デイリー”“十戒”、“菜を摘むような事”、“40W”、今回の新作の中でも“多すぎた”、“(in)flyblown hand”、“理想と陰の街”とかは、かなり初期からある。

──

ではそこから今のメンバーが増えていく流れになっていく?

キタ

いや、むしろ一回減る(笑)。ホンジョウ(Ba)が家庭の事情でしばらく休むことになった。その数か月後に当時のドラムのぱつんも辞めることになる。だから2015年の夏から1年くらいthanは俺一人。だから弾き語りを始めるわけやけど、この時期がすごく大事で。一人でルーパーを使ったり試しながら、今の弾き語りの時のガットギターで歌うスタイルに行きついたり、Taroo(Dr)にも出会って彼が代表を務める尼崎toraでもよくライブをするようになる。

Taroo(Dr)
──

現在のドラマーのTarooさんですね。

キタ

そして赤子(ダンス / コーラス / メロディオン)がライブを見に来てくれるようになったのもこの時期で、当時彼女は普通のコンテンポラリーダンスのダンサー。ちょうどtoraでソロのワンマンをやる日に、Tarooと2人のバンド編成でやろうとしていて。そのライブで赤子が見に来ていたから、その場で「入れや」と言って、ステージに上がって踊ってもらったのよ。その時のライブが面白くて。

──

赤子さんがバンドの中で踊っているスタイルは、その場で出来上がったものなんですね!

キタ

Tarooとはその後も一緒に出来るかなと準備は進めていたけど、何か足りないと思っていた。でも赤子のような存在も含めてバンドにしてしまっても面白いんじゃないかと。それで赤子に「than入らへん?」と誘ったら、即答で「やる!」って。今のthanの原型が出来た。

赤子(ダンス / コーラス / メロディオン)
──

赤子さんとTarooさんが加入して大きく変わったことはありましたか?

キタ

スタジオで練習して詰めていくやり方をあまりしなくなった。だからライブばっかりで本数もどんどん増やして。特にその3人編成でやっていた最初の半年間は、毎回セットリストを全く変えずにやっていた。

──

固定したセットリストでのthanの表現を突き詰めようということ?

キタ

そうそう。でも赤子のコンテンポラリーダンスがあるから、ライブをやるごとに絶対違うものになるのよ。それぞれがどう演奏していくかの課題に対して、各々考えながら次のライブに取り組む。それの繰り返しやったね。

──

それは赤子さんのthanの中での役割を模索している感じ?

キタ

いや、赤子は自由でいい、どうやったって変わらない。赤子をどう見せるのかというよりも、赤子ありきのバンドとして出来る表現を考えた。バンド+ダンスじゃない。赤子をバンドマンにするねん。でもそのために必死になったのは、むしろ自分のサウンドメイクかな。ベースがいないから、どうにかして低音の音を作っていくことに対してかなり試行錯誤していた。そうやっていくうちに、次はN(緒方直之 / Cl)と出会うのよ。

N(緒方直之 / Cl)
──

クラリネットのメンバーを入れるというのもすごいですよね。

キタ

でも、もうこの頃には3ピースのこだわりはなくて、ホーンセクションが欲しかった。ホーンが入ると普通はパーティーぽくなってしまうけど、まったくそうならないオルタナティヴなサウンドがやりたかった。Nは最初ゲスト・ミュージシャンとして軽いノリで入ってもらったら、その内メンバー化して正式に加入。これで4人。この編成でエマージェンザ(注)に挑戦することを決めて、初めてデモ音源ではないアルバム『蚕-KAIKO-』のレコーディングも始めていく。

 

(注)エマージェンザ・ミュージック・フェスティバル:世界36か国で行われている世界最大級のインディーズ・アーティストのライブ・コンテスト。thanは2018年に日本大会グランプリ。ドイツ・タウバタール・フェスティバルで行われた国際決勝大会では7位の戦績を残す。

Taroo休止、SHOW・mako加入となる分岐点『LINES』(2018~2019年)

──

ようやく現在に繋がるthanの形が見えてきました。

キタ

そうやね。でもやっぱり結成当初からずっと同じメンバーで一緒にやっていて、誰一人欠けても成立しなくなるようなバンドを見ていると羨ましいなと思うよ。

──

どういう意味でしょうか?

キタ

結成からの歴史を全員で刻んでいると、メンバーそれぞれの個性がしっかり際立ってくる。あと俺、子供の頃は転勤族で実家がないのよ。だから地元があって、昔を共有できる友達がいるような人が羨ましいという感覚と似ている。メンバーもこれだけ変わるとthanの最初を知っているのは俺しかいないわけで。

──

でも、その可変的なところこそ、今のthanの強さになっているじゃないですか。フルメンバーだけではなくて、数名欠けた状態でもライブをしているところとか。

キタ

うちのメンバーは賢いからね。誰かが欠けてもthanとして成立させられる技術があるから、色んな編成の中で、今日の参加メンバーのパターンならこういう持っていき方だと身に付けていくのが面白い。一方で、その時参加できないメンバーが、申し訳ないとか、自分がいなくても成立しまうことに対して嫉妬や危機がないのもすごいところ。

──

ここ数年180本を超える驚異的な数のライブを行っていますが、そもそもメンバーが欠けた状態でも、なんでそんなにライブするんですか?

キタ

できちゃうから(笑)。どんな編成であれライブをすると俺は成長する。演奏の中で気付きや反省点が生まれたり、人と出会ったり、何かしら次につながる材料が出来る。あとはメンバーがどう解釈するか。一番まずいのは仕事のシフトみたいになって、パフォーマンスが自分の役割を果たすだけで終わってしまうこと。モチベーションの置き方は難しいけど、そんな姿勢ではダメだということは、みんなもわかってくれている。でも自分が参加できない時にプレッシャーがかからないというのは自信があるのか、メンタルが強いのか、自我が抜けているのか(笑)。

──

このメンバーだから、というこだわりがないからこそ、どのメンバーがいたとしてもthanというバンド・プロジェクトはパフォーマンスを損なわずに動いていくのがすごいと思います。

キタ

こだわりは一切ない。メンバーそれぞれ別の活動もあるけど、別のバンドのライブで行けませんと言われても何とも思わない。でも今考えればベースレスでやっていた頃にしっかり音作りを確立できたことが大きいね。少なくともthanとしては俺とドラムがいれば何とかなる。だからベースのホンジョウが休んでいた、あの時期はすごく必要だった。逆に去年ホンジョウが復帰してきた時はどうしようと思ったもん(笑)。

ホンジョウ(Ba)
──

アルバム『蚕-KAIKO-』リリース、エマージェンザ日本大会優勝、そしてホンジョウさんの復帰と2018年のthanは怒涛でした。今回2ndアルバム『LINES』がリリースとなりますが、リリースもすごくハイペースですね。

キタ

去年はエマージェンザに勝つというわかりやすい目標もあって、みんなのテンションもグワっと上がったけど、1年経った2019年の今の段階で11月22日(金)に心斎橋JANUSでワンマンライブをやって、そこで新しいアルバムを出す。それくらいのことをやらないと、バンドがゆるんでしまうと思った。でも計画している内にTarooが坐骨神経痛になって、ワンマンを持ってthanをやめることになってしまったけど、こればかりは仕方ない。サポートメンバーとしては残ってもらうから、逆に最高のサポートが出来たと考えている。後にはSHOWちゃん(Dr)に入ってもらうことになった。でもそれだけではダメだと思った。だって、面白くない。

──

メンバーチェンジが面白くない?

キタ

この先のthanはもっとすごいバンドになっていくんだなと感じてやめてもらうのが、Tarooへの敬意と思っている。何とか元通りにするのではなく、その人がいた時以上に面白くならないといけないというのは、自分に課していて。もしかしたらTarooは悔しいと思うかもしれないけど、thanが弱くなったらお互いに何も残らないし、悲しくなるだけ。だから単にドラマーが替わるだけではなくてmako(Vo / Cho / Voice)を誘った。SHOWと同じRapid Trigger Happyのボーカリストやし、than feat mako名義で何回かライブもやっているから、一番早くthanが強くなるためにはmakoが必要だと思った。

──

他のバンドではボーカリストとして中心を担っているmakoさんが入って、さらにバンドを変化させる方を選んだんですね。

キタ

ライブの立ち位置もこれまでは俺は下手にいたけど、makoが入ることで俺がセンターで、その両側に赤子とmakoを置くしかない。自分にとってもセンターボーカルになることはすごくプレッシャーで、挑戦なんよね。

──

かなり大きな変動になりますが、これまでのバンドのバランスが崩れてしまうことの不安や懸念はなかったんですか?

キタ

ダンサーの赤子とバンドとのバランスを考えるようなスタイルだったら大変だったと思う。でも赤子がこのバンドの一部として成り立っているから、もう一人いろんなことが出来るmakoが入ることに関しては、赤子に「お前どうするねん、もっと頑張れよ」と言うだけでOK。俺の隣にダンサーがいて、反対側にはしっかり歌える存在感のあるメンバーが立つ。むしろよりパワーバランスがしっかりすると思う。だから心配してないね。それで今回のワンマンライブではTarooとの最後のステージとSHOW・makoとの新編成のステージを両方見せて、その日にアルバム出す。全部絡めてしまうことにした。

──

メンバーチェンジを物語としてワンマンライブでも見せてしまうということですね。ではアルバム『LINES』はどういう作品にしようと思いましたか?

キタ

音源作品というのはその時に録音した輪切り状態のものと考えていて、作ってしまったらその音源自体がそこから育つことはない。だからどの瞬間で切るかが大事。今回はメンバーチェンジに至る中で今が分岐点でターニングポイントだと思って、この作品を一つの線引きにしようとした。つまり『LINES』。だから構成も明確で最初の6曲は全部Tarooとの録音。その後に“a line”というここが線引きだと示すインストの曲を入れて、最後の2曲は新しい編成でニューバージョンとなった“40W”と“lotus flower”を収録した。thanの終わりと始まりを表現する構成で、Tarooにとってもいい遺作になったと思う。

──

冒頭6曲の最後が“see line”できれいに終わった流れの後で、エピローグ的に新しい物語が始まっていくような聴きごたえが美しいです。新編成では新曲ではなくこれまでの曲でやろうとしたのは何故でしょうか?

キタ

基本のスタンスとして、thanは新曲をバンバン作って出していくというより、毎回色んな編成をとって、その中で曲の聴こえ方やパフォーマンスもどんどん変わる方を見せたい。だから今までの曲も違うものになるんですよ、ということを音源でもはっきり示したかった。

──

キタさんとしては具体的にこれまでと新体制でどう変わっていると感じますか?

キタ

去年シングルで出した“see line”と“多すぎた”を筆頭にそのままTarooがおったらどんどんプログレッシブな展開を持った音楽に向かっていったと思う。でも新しいメンバーになったことで、今いる場所とは違う音楽性に進んでいくよりも、オーソドックスで分厚いバンドになっていく感触があるね。よりクラシカルな強さを持ったもの。

than(2019.11.22~)(Photo:SAKURA)

真のオルタナティヴ・バンドとしての目論み(2019年11月22日~)

──

6人となった今まで類を見ない編成でクラシカルなものを目指すのが、また面白いですね。thanはその先に何を目指しているんでしょうか?

キタ

長期の目標は持たないようにしていて、1~2年くらいの短中期くらいでいい。そりゃthanだけでメンバー全員が生活に困らないくらいに稼ぎたいとか、大きいホール借りて満帆にしたいみたいなのは他のバンドと変わらないけど、そのためにどんなライブをするのかの方がよく考える。演劇チックになっているかもしれないし、ライブを演目として2時間のステージ作品をシビアに仕上げるとかね。バンド演奏と並行してストーリーをきっちり作っていって、最後にはスタンディング・オベーション!!パンフレットも作って帰りに物販で買ってもらう。そんなきっちり作り上げるパフォーマンスをもっと作っていきたいね。

──

キタさんの中では新曲を作っていって、曲が溜まったら次のアルバム制作を目指すみたいないわゆるバンド活動よりも、thanで表現できるバンド・パフォーマンスを突き詰めていくことの方に興味があるんですね。

キタ

もちろん新曲はいると思うけど、作ったものをつなぎ合わせたり、育てていく方がやりたいことかも。自分は曲を作ってみんなに渡した後は、思ってもない方向にいかないようにコントロールするだけやからね。それで言うと“see line”を作った時はメンバーに聴かせたらみんな「歌がいい!」と言いだして、ある意味危なかった。「いやいや歌は曲の一要素や。エモくするな!」、「ホンジョウそんなヌルっとしたベース弾くな!」とドヤして調整していった。俺の歌を聴かせたいのであればthanである必要がない。悪く言えばなりゆきでメンバーが集まって、なりゆきで今のパフォーマンスにたどり着いた。でもそれが面白くなっているのだからそこに当てはめていかないと。

──

逆にthanでやるべきことってなんですかね?

キタ

後付けになるけど結局オルタナティヴなことかな。概念的にも縛られない、誰もやっていない、ということだから。俺たちが今一番オルタナティヴなことをやっていると言いたいんよね。

日時

2019年11月22日(金)

open 18:30 / start 19:00

会場

〒542-0083
大阪市中央区東心斎橋2-4-30-5F
心斎橋Music Club JANUS

出演者

opening guest : 淀川パリジェンヌ

 

than
編成(キタ、赤子、Taroo、N、ホンジョウ、SHOW、mako)

料金

前売 2,500円/当日 3,000円 +1drink/p>

予約

2019.11.22fri 心斎橋JANUS | than liveinfo

than 2ndアルバム『LINES』

 

 

CD:1,200円(ライブ会場販売:1,000円)

アートブック(B5 20ページ):1,000円

 

収録曲

 

1. セカイゴカイ

2. Discuss

3. 多すぎた

4. 理想と陰の街

5. (in)flyblown hand

6. see line

7. a line

8. 40W -new edition-

9. lotus flower -new edition-

 

取り扱い

 

than official shop

ライブ会場

WRITER

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