REVIEW
FALL ASLEEP #2
Various Artists

関西発のイベント・レーベル〈NEVER SLEEP〉から、2021年12月26日にコンピレーション・カセット作品『FALL ASLEEP#2』が発売された。昨年5月に続き、シリーズ2作目となるが、前作とは顔ぶれが全て異なる全12組のバンド、シンガー・ソングライターの楽曲が揃っている。

 

ANTENNAでは前作に引き続き、全曲レビューを掲載。関西、関東で活動するミュージシャンたちが己の歌とフォーク・スタイルをぶつけた本作の魅力に迫った。

MUSIC 2021.12.26 Written By 峯 大貴

SIDE A

A1.ヨットヘヴン “手のなか”

THE FOWLSやソロでも活動するさっちゃん(Vo / Gt)、路地ののすけ(Gt)と高橋鐘(Ba)、ミックスも手掛けるLo-Fi Clubこと藤木コージ(Key)。それぞれのグッタイムミュージックを追求してきたミュージシャンが集まったバンドがヨットヘヴンだ。昨年より断続的に発表されていく楽曲ごとに、ヨットヘヴンのサウンドが確立に向かうどころか、いかに異なるテイストを同居させるかのトライアルをどんどん推し進めているのがおもしろい。

 

本曲なんて、多重コーラスから幕を開け、荘厳なパイプオルガンの音色が散りばめられているなど讃美歌のテイストが通底している。しかし音質は極めてローファイ志向で、のすけのギターは全編ファズファクトリーで遊んでいるかのよう。その上でさっちゃんの歌うメロディは極めて歌謡曲チック。揺らぎをたっぷり湛えたボーカリゼーションが包み込むように、多方面に散らばった各人の個性に一本筋を通している。またのすけによる歌詞の随所にも「ぎこちなくていい」「翳りもいいんだよ」「でも痛むのは大切だから」と包容力に溢れており、なにより優しさと心づかいがこの4人の音楽を足らしめていることに気づく。(峯 大貴)

 

 

2020年4月 “途方もなくて最高” な音楽を作るため集まった仲間で活動開始。
ボーカルにはシンガーソングライターであり、THE FOWLSのさっちゃん。ベース、ギターには『りんご音楽祭2017』、『Tiny Garden Festival』へも出演した路地のメンバーの高橋鐘、のすけ。キーボードには Lo-Fi Clubの藤木コージが参加し、古今東西のグッドミュージックから影響を受けた、ずば抜けてハートフルなサウンドを鳴らしている。これまでにセルフレコーディングで制作・配信した4曲のシングルは有名プレイリストやラジオに多数取り上げられた。

 

Twitter:https://twitter.com/YachtHeaven

A2.オオムラツヅミ(ex.バレーボウイズ) “ヒットナンバー”

元バレーボウイズのボーカルであったオオムラツヅミの1曲。バレーボウイズといえば、特に初期の頃はモラトリアムと昭和のエッセンスを色濃く感じさせるバンドであった。だが解散以降、モラトリアムはシュウタネギのバンドWANG GUNG BANDにも引き継がれているものの、昭和のテイストはなくなっていた。では誰が昭和感を引き継いだのか。本曲を聴いてその回答が明確に出た気がする。

 

今回収録された“ヒットナンバー”は“アイドル”や“アサヤケ”などのバレーボウイズ初期にあった昭和歌謡路線を踏襲した一作だ。しかもバレーボウイズ時代の楽曲と比べても、音質の作りこみ方や、冒頭のテープを巻き戻しするメタ的な作りなど、レトロな感を色濃く演出している。また今回の楽曲には東京を拠点とするフォークロック・ユニットたけとんぼの2人が演奏に加わり、オオムラが目指している昭和歌謡テイストが作品として体現されている。昭和96年のグッドミュージック、ここに誕生。(マーガレット安井)

 

 

京都南部育ちの
盆地アーティスト
そんなことあんなことが続けばいいな

 

Twitter:https://twitter.com/1129tsuzumi

Istagram:https://www.instagram.com/tsuzumiohmura/

A3.田渕冬也(ex.やおや) “不安定”

今年9月にフロントマンを務めていたバンド・やおやを解散し、現在はソロで弾き語りのライブ活動を行なっている、1998年福岡生まれの彼。この曲で歌われているのは、まだ何者にもなることができていない自身に対する鬱屈と、歌が届く場所に「歩いて会いに行く」とまだ何も諦めていない意欲が滲む、歌うたいのつぶやきだ。簡素だがやけにブルージーなギターフレーズ、妖艶なオーラを放ちながら吐き捨てるような歌声、合間に入る退屈そうな手拍子、そうしてまるで吹っ切れたかのように繰り返される言葉「不安定」……。

 

この言葉に当てるメロディこそ、N’夙川BOYS “物語はちと?不安定”と同じ狙いを感じるが、ポップに突き抜けたハツラツさとはまるで対極。しかしシンガーとしての輝きと色気はたっぷり潜んでいることがわかる、3分足らずのフォーク・ソングだ。(峯 大貴)

 

 

1998年福岡生まれの23歳
20歳の頃に上京し、
その後2019年よりやおやのフロントマンとして音楽活動を開始する。
バンド解散後、弾き語りのライブを中心に活動中。新バンド爆発準備中。

 

Twitter:https://twitter.com/__bonnou__

Webサイト:https://instabio.cc/linkmatome108

A4.小野雄大 “無敵”

プロデューサーに山田丈造を迎え、初のバンドセットに取り組んだ傑作アルバム『素粒子たち』(2020年)を経て、今年はまた弾き語りで数曲発表していた小野雄大。本曲では宅録に取り組み、多重コーラスや打ち込みのシンセとドラムも用いられている。極めてパーソナルな質感だがほんの少しソウルにスウィングしており、オーガニックな表現のまま、歌をいかに跳躍させるか模索する彼の頭の中を覗き込むような仕上がりだ。

 

彼の詞のテーマはいつだって、ささやかな感情の機微である。この曲だって自信のなさや弱っちい心をどうにか奮い立たせて、たった一歩足を踏み出すための根拠も名前もないおまじないみたいなものだ。しかし彼が一たび声を発して歌にすれば、そんな日常はドラマチックに彩られ、力強く背中を押してくる。確信をもって「無敵だもん」と胸を張れる、魔力みたいなものを伴った歌声なのだ。そんな歌の突破力と名もなき優しき心の奮闘を描いた楽曲としては玉置浩二“MR.LONELY”の隣にも並べられる、今後の小野雄大を代表する曲ではないだろうか。ぜひバンドセットで聴きたい!(峯 大貴)

 

 

1990年7月9日生まれ、新潟県新潟市出身。
2020年6月に初めての全国流通盤『素粒子たち』を発売。
2020年スガシカオツアーオープニングアクト選出。映画館でのイベント開催やCM・楽曲提供など活動の幅を広げている。

 

Twitter:https://twitter.com/ydon79

Webサイト:https://ydon79.amebaownd.com/

A5.ぎがもえか “謳歌”

1997年生まれのシンガーソングライター、ぎがもえか。ANTENNAでも彼女のインタビューが掲載されているが、その中で高校を卒業するまでピアノを習い、なかでもショパンの曲を好んでいたというエピソードがあった。私はこの“謳歌”のなかにショパンのマズルカの精神を感じる。

 

3拍子の弾き語りで紡がれる“謳歌”のなかで、ぎがもえかはある人物に思いをはせながらも、「好きなのに会えないわ」「助けてあげられなかった」とその人と一緒にいれない後悔の言葉を連ねていく。マズルカはショパンの祖国ポーランドの農民の間に伝わる民族舞曲で、 主として3拍子の楽曲だ。ショパンは20歳でフランスへ行くが、その後ロシアに支配により2度と祖国へ戻れなかった。だが片時も祖国を忘れることがなく、郷愁を込めてこの作品群を生み出したという。人と国、対象は違えど寂しさから生み出される3拍子の歌たち。マズルカと“謳歌”には魂の共鳴を感じた。(マーガレット安井)

 

 

3歳からピアノに触れ、音楽と過ごす。
19歳よりガットギターに持ち替え、都内を中心に活動を開始する。
洗い立てのシーツのように透明感のある歌声と、一滴ずつハンドドリップするような温かいサウンドで、ライブ感の溢れる音楽を生む。
本を読まない日はないという自身のライフスタイルならではの歌詞世界も、魅力の一つ。

手紙社が主催するテキスタイルと手芸の祭典「布博」など、様々なイベントへの出演と同時に自身がリスペクトするアーティストを招いてのコラボ演奏を定期収録している。

 

Twitter:https://twitter.com/moekagigastaff

Webサイト:https://moekagiga.com/

A6.めぐみあゆ(BROTHER SUN SISITER MOON) “Skin”

BROTHER SUN SISTER MOONのベース、ボーカル、シンセサイザーを担当するめぐみあゆ。タイトルからして、なぜ「肌」なのかと疑問に感じた。「Sometimes I feel stuck / In this skin I got(時々、私は動けなくなる/私が得たこの肌の中で)」が最後には「From this skin / So tell me I can go anywhere(この肌から/だからどこにでも行けると言ってくれ)」と歌われる。ここで歌われる「肌」というのは「それがあるから、不安を感じたり、勇気を得られたりするもの」として描かれる。ただその場合、「肌」ではなく「mind」など他の言葉でも置き換えられそうだし、より具体的に言葉を尽くして表現することも可能であったはずだ。

 

ひょっとしたらめぐみはこの歌を、海外の人も聴くことを前提として書いたのではないか。今やサブスクリプションの影響もあり、多くの国で日本の音楽が聴取されている。また日本にも多くの海外の方が住んでいる。それを加味したうえで、さまざまな国の人に対して楽曲を自分ごととして聴いてくれるよう、その国のアイデンティティとなる「肌」を採用したのではないだろうか。自分の歌が少しでも多くに人に届くようにと願いを込めて、垣根なくフラットな視点で届ける。それが“Skin”という曲ではないか。(マーガレット安井)

 

 

1996年生まれ、水瓶座。

BROTHER SUN SISTER MOONのベースとボーカル、シンセサイザーを担当。そのほか文筆・翻訳業も。訳書に『99%のためのフェミニズム宣言』(人文書院)

 

Twitter:https://twitter.com/iamaymg

Webサイト:https://linktr.ee/ayumegumi

SIDE B

B1.工藤将也 “夜はこうだった”

新世代のベッドルーム・フォークと呼ばれる99年生まれの若きシンガー・ソングライター工藤将也による哀愁漂うロックチューン。2020年にリリースされたフルアルバム『思い出の国』を聴いてもわかるが、彼の作り出すサウンドスケープは生々しい。ギターのフレットノイズや、いなたさと色気を同時に感じさせる歌声。ベットルームというよりかは、畳敷きの万年床でタバコをくゆらせながらギターを弾く、そんな姿が容易に想像できてしまうようのが持ち味である。

 

本曲でもザラっとした音質のなかで響く、エレキギターのメロウなサウンド。そこから紡がれる「手を伸ばせば逃げてゆき / 背を向けると近づいてくる / 夜はこうだった」「なんとしても欲しかった / ガラクタに今囲まれている / なんでそうなった」と余白の多い歌詞がリスナーの想像力をくすぐり、工藤が体験したであろう夜のコラージュをヴィヴィッドに映し出していく。(マーガレット安井)

 

 

1999年、東京都町田市生まれ。

10代の頃よりバンド活動、そして自宅録音によるベッドルームポップを人知れず制作しはじめる。

ユーモアとシニカルさを交えた表情豊かな詞とメロディアスな楽曲を、柔らかくも切実に歌い上げるシンガーソングライター。

 

Twitter:https://twitter.com/coroshiya

B2.幽体コミュニケーションズ “幽体よ(幽体の歩き方)”

2019年にpaya(Vo / Gt)といしし(Vo)で始動した京都の2人組。現在はサポートに吉居大輝(Gt)を迎えて活動しており、『カクバリズムの文化祭』や『ナノボロフェスタ』に出演するなど、早くから頭角を示している。

 

タイトルにも表れている通り、幽体コミュニケーションズの音楽そのものを言い表すような楽曲だ。「幽体されど夢を見る」と自らの肉体を滅しつつ、ゼロの状態に新たな価値を付加する視点。希望もないが絶望もない。「これ以上悪くなりはしないぜ」とこの世界にじっくり居座り、空気みたいに漂っている。

 

それでいてディストピアな感覚も、エスケーピズムに陶酔することもない。つま弾かれるガットギターと二人の声がすっと胸に飛び込んでくるストレートな歌だ。でもオーガニックなフォークに収束するのも居心地が悪いとばかりに、吉居のギターが豊かに煙に巻いてくる。そんななにものでもなさに自身の在り方を確かに見出そうとする、がらんどうの美しさに見惚れてしまう。(峯 大貴)

 

 

フォークやヒップホップ等様々な音楽を圧縮コピーして混濁させたチープでストレンジなサウンドの上に、男女混成によるあどけない歌声と四季に呼応する詩世界を同居させている。

2019年に大学内サークルのイベントをきっかけに、payaといししの2人により発足。その後サポートギターに吉居大輝を迎え、2020年『カクバリズムの文化祭』に出演。2021年には『ナノボロフェスタ2021』に出演し、1stデモCD『(汽水のコピー)』をリリースした。

 

Twitter:https://twitter.com/yu_komisan

Webサイト:https://linktr.ee/zerobyte

B3.幸木野花 “The flame”

その歌はまるで老女のようにも、幼女のようにも響く。声色に耳をすませば、黄昏ているようでもあり、張り詰めているようにも受け取れる。マーブル模様の心象風景を描き出す23歳のシンガー・ソングライター幸木野花(こうきのはな)。田中ヤコブの楽曲“へい!”に歌唱で参加したり、初音源となる『ひとりとひとりと』では平松稜大(たけとんぼ)の手助けも大きかったが、本曲は彼女ひとりだけ。純然たるガットギター弾き語りで録音されている。

 

英詞と日本語詞を交互に歌いつないでいく、トラッドな香りが立ち込めたフォーク・ソング。無垢で少しくぐもった声が、消え入りそうになったり、ささくれ立ったり。Vashti Bunyan(ヴァシュティ・バニヤン)やSandy Denny(サンディ・デニー)、Laura Marling(ローラ・マーリング)といった、英国のシンガーたちの姿も背後に伺える。また曲の区切りの最後に「Wolf(オオカミ)」が象徴的に出てくるが、すぐ後に続くファルセットのなんと美しいことか。オオカミの雄叫びにも聞こえるその発声によって、一義に収束できない感情が見事に表現されている。(峯 大貴)

 

 

下北沢、渋谷を中心に活動する23歳シンガーソングライター。心温まる歌とガットギターの音色はどこか懐かしさ感じさせる。好きなものは、海と冬と下駄。

 

Twitter:https://twitter.com/lego_wildflower

Instagram:https://www.instagram.com/nohanakoki/

B4.kiss the gambler “ペペロンチーノ”

今年リリースされた1stアルバム『黙想』を聴いても感じたのだが、彼女の歌詞に時折登場する食べ物のなんとおいしそうなことか。“シベリアサンド”に登場する、家族とおやつで分け合っていた頃から、いつの間にか一人で夜食に食べるようになっていたカステラ。“ジンジャー”に出てくるプール帰りのセブンティーンアイスと、気分を盛り上げるために買って帰るハーゲンダッツの鮮やかな対比。またその表現のいずれもが思い出の記憶装置として情景の解像度を引き上げる効果を発揮しているのだ。

 

一方で本曲“ペペロンチーノ”。パートは2つのみで歌詞も繰り返しのシンプルな構成。「まさか腐らせてしまったなんて 言わせないぞ、ベイベ!」というキュートで屈託のないフレーズを筆頭に、芋づる式に出てきた響きのよい言葉の連なりのようにも思える。チープなキーボードとリズムトラックの打ち込みや、あどけない彼女の歌もテンションが高く、全編的にウィットに富んだ響きだ。しかし「冬眠」というワードを使いながら、いなくなってしまった「君のお気に入りの料理」として描かれている点で、『黙想』と地続きで確かな思い出の記憶装置としての“ペペロンチーノ”が味わえる。言葉数は少なくともそのストーリーテリングはとってもキレがよくて、スパイシー。(峯 大貴)

 

 

幼い日々の淡い記憶とセンシティヴな世界観を脳裏に秘めたオルタナフォーク系シンガーソングライター。声変わり前の少年のようなイノセントで中性的な歌声に、幅広い解釈が可能な斬新でキャッチーなリリックと、軽快でメランコリックなメロディ、オルタナティヴなポップセンスが加わる。矢野顕子や松任谷由実のような、人生に焼きつくような言葉との定評がある。2018年より、作曲・作詞、ライブ活動を始め、現在は下北沢・440、LIVEHAUS、three、大久保・ひかりのうまを中心に、本日休演やBoyishらと共演する自主企画イベントを開催するなど、積極的にライブ活動を行っている。2021年8月に、1stアルバム『黙想』を自主レーベル〈City Bike Records〉からリリースした

 

Twitter:https://twitter.com/kissthegambler

Webサイト:https://kissthegambler.net/

B5.内村イタル(ゆうらん船) “星の砂漠”

ゆうらん船でも活動するシンガー・ソングライター内村イタル。ゆうらん船としてリリースした2020年のフルアルバム『MY GENERATION』から、内村は歌詞のスタイルを変化したように思う。それ以前の歌詞、例えば“サブマリン”“Hello,goodbye”などは、現実に即した形で書かれていた。しかし“鉛の飛行船”“未来の国”、または最新曲である“Bridge”ではSFやファンタジーといった非現実を器にして、現実を描く手法をとっている。

 

そして本作に収録された“星の砂漠”にもそのモードは表れている。「星の砂漠のアラビアの笛」「月の裏には泳ぐ魚と君が住んでいる」とファンタジーな歌詞ではあるが、根本には「孤独で不安な自分自身を助けてほしい」というメッセージが込められている。現実を現実で描くのではなく、ファンタジーとして社会を切り抜く。ソングライターとしてだけでなく、ストーリーテラーとしても卓越した技術をみせる一作だ。(マーガレット安井)

 

 

1994年生まれ、神奈川県在住。
2016年に5人組バンド「ゆうらん船」を結成し、現在活動中。

 

Twitter:https://twitter.com/itaruuchimura

Webサイト:https://www.yuransen-band.com/

B6.明智マヤ(THEティバ) “まじない”

Theティバのボーカル明智マヤの1曲。Theティバといえばマヤ(Vo/ Gt)とサチ(Dr)からなる2ピースガレージバンドであり、過去には『出れんの!?サマソニ2019』で選出され『SUMMER SONIC2019』にも出演。全編英語詞でオルタナ、グランジといったUSロックを軸にし、パワフルでザラっとしたエモーショナルなサウンドと自然体で伸びやかなボーカルが特徴的なバンドだ。

 

そんな明智の“まじない”は人間関係に悩み、おまじないを布団の中で唱えるという内容。Theティバのパワフルさや、エモーショナルな印象とは違い、繊細で内省的な内容を日本語詞で丁寧に歌われている。また楽曲の中で歌われるおまじないが長崎県のわらべ歌である“でんでらりゅう”であり、この“でんでらりゅう”が「無理に出ていかなくてもいい」と布団のなかにいる現状を肯定する歌として機能しているのがおもしろい。(マーガレット安井)

 

 

ツーピースガレージバンド、The ティバのGt.Vo.
弾き語りでは日本語の歌をメインで活動中

 

Twitter:https://twitter.com/PECO_kerokero

Instagram:https://www.instagram.com/peco_bocchan/

Various Artists『FALL ASLEEP #2』

 

発売:2021年12月26日(日)
フォーマット:カセットテープ
価格:¥1,500(税込)

販売:https://neversleep.theshop.jp/items/56064779

収録曲

SIDE A

1.手のなか / ヨットヘヴン
2.ヒットナンバー /オオムラツヅミ(ex.バレーボウイズ)
3.不安定 / 田渕冬也(ex.やおや)
4.無敵 / 小野雄大
5.謳歌 / ぎがもえか
6.Skin / めぐみあゆ(BROTHER SUN SISITER MOON)

 

SIDE B

1.夜はこうだった / 工藤将也
2.幽体よ(幽体の歩き方) / 幽体コミュニケーションズ
3.The flame / 幸木野花
4.ペペロンチーノ / kiss the gambler
5.星の砂漠 / 内村イタル(ゆうらん船)
6.まじない / 明智マヤ(THEティバ)

WRITER

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峯大貴が見たボロフェスタ2019 2日目
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峯大貴が見たボロフェスタ2019 1日目
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はちゃめちゃなエンタテインメントがやりたいーチャンポンタウン“Giant step”リリース・インタ…
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3人で歌の本質を確かめる場所―のろしレコード(松井文、夜久一、折坂悠太)『OOPTH』リリース・イン…
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清水煩悩との雑談(前編)-新MV“まほう”・“リリィ”を公開&クラウドファンディング始動
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アフターアワーズ – ヘラヘラep / ガタガタep
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河内宙夢&イマジナリーフレンズ – 河内宙夢&イマジナリーフレンズ
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休日に音楽を続ける人たちのドキュメント-松ノ葉楽団3rdアルバム『Holiday』リリースインタビュ…
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日常に散らばった、ささやかな幸せを愛でるー大石晴子 1st EP『賛美』インタビュー
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THE HillAndon – 意図はない
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リクオ『Gradation World』スペシャル・ライヴat 代々木・Zher the ZOO レ…
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Ribet towns – メリーゴーランド / CRUSH / みまちがい
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峯大貴が見た祝春一番2019
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今また初期衝動に戻ってきた – リクオ『Gradation World』リリースインタビュー–
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HoSoVoSo – 春を待つ2人
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峯大貴が見た第2回うたのゆくえ
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ここから踏み出す、ギリシャラブの“イントロダクション” – 2nd Album『悪夢へようこそ!』リ…
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その時見たもの、感じたことを記録していく – ダイバーキリン『忘れてしまうようなこと』リリースインタ…
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チャンポンタウン – ごきげんよう
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宵待 – NAGAME
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てら – 歌葬
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【峯大貴の見たボロフェスタ2018 / Day3】ULTRA CUB / Gateballers /…
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【峯大貴の見たボロフェスタ2018 / Day2】Homecomings / Moccobond /…
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【峯大貴の見たボロフェスタ2018 / Day1】ベランダ / Crispy Camera Club…
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KONCOS:古川太一 × ボロフェスタ主催 / Livehouse nano店長:土龍対談 - 音…
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影野若葉 – 涙の謝肉祭
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Pale Fruit – 世田谷エトセトラ
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原田知世 – music & me
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