
浮、京都・しばしでのライブ盤『草蔭』をリリース
⽶⼭ミサによるソロ・プロジェクト 浮(ぶい)が、⾃⾝初となるライブ盤『草蔭』(くさかげ)を京都の⾳楽レーベル《disk sibasi》より11⽉26⽇(⽔)に発売した。2024年の年末、京都・岡崎の築100年の町屋を改装したカルチャースペースの<しばし>にて、レコーディングが⾏われた。⽵林が⾵で揺れる庭を背景に構えた陰翳の畳の部屋でのライブ。全10曲中4曲には京都のギタリストである⼭内弘太をゲストに迎えている。
選曲は前作アルバム『あかるいくらい』(2022年)の収録曲を始め、これまで発表してきた楽曲の中から、ライブを重ねていく中でさらに洗練と変化を遂げたものを米山自身がピックアップ。加えてこれまで未発表の新曲“石”、長らくライブで大事に歌ってきた沖縄民謡“てぃんさぐぬ花”や、高田渡の“おなじみの短い手紙”とカバー曲も収録。このラインナップにもこれまでのアルバムとは異なる趣だ。また『あかるいくらい』から、現在制作中という3rdアルバムへと橋を渡す、この3~4年の米山の活動を作品に残す意図も感じ取れる。
コントラバス奏者の服部将典、ドラマー藤巻鉄郎とのトリオ編成「浮と港」を中心に、今でこそユニットでのライブも増えているが、やはり活動初期からのガットギター弾き語りが浮の本寸法。その幽玄な美しい声と、どこかに痛みを抱えながらも優しく包み込んでくれる歌詞。筆者としては目をつむりながらその世界を陶酔的に味わうのが、彼女のライブのおすすめの楽しみ方だ。一方でどこか別世界に連れて行ってくれる心地が醍醐味なのに反して、会場に足を運ぶ時は「浮のライブを観に行く」というより「米ちゃんに会いに行く」という方が、感覚に合っているのが不思議。それはきっと年中、全国各地を回りながらその場にいる人との交流を大切にして、心を結んでまた次の場所へ……という活動を続けている彼女の持つ、卑近さ、うららかさに違いない。
今年ANTENNAでもインタビュー記事を掲載した〈しばし〉だって、米山にとって心を結んだ場所の一つなのだろう。そんな浮としての活動の波紋の広がりを感じさせるライブ盤でありながら、浮の音楽と〈しばし〉という空間の鳴りや空気感をコラボレーションさせた作品とも言える。
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草蔭

アーティスト:浮
仕様:CD
発売:2025年11月26日
購入・視聴リンク:https://lnk.to/buoy_sibasi
収録曲
1. つきひ
2. てぃんさぐぬ花
3. 愛が生まれる
4. 石の浜
5. 湯気
6. 風はながれて
7. 海へ
8. 石
9. あかるいくらい
10. おなじみの短い手紙(cover)
浮

米山ミサのソロプロジェクト。
2018年頃より、ガットギターの弾き語りで活動を開始。
2020年、1stアルバム『三度見る』をリリース。
2021年、コントラバス奏者の服部将典、ドラマー藤巻鉄郎とトリオ“浮と港“を結成。同メンバーにゲストを迎え、2022年に2ndアルバム『あかるいくらい』を発売。
2025年11月、ライブ・アルバム『草蔭』を発売。
Webサイト:https://sandmiru.my.canva.site
Instagram:@buoy_live / @yoneyama.m
しばし
しばしは、⾳楽レーベルTrafficが運営するレコード喫茶・カルチャースペースであり、disk sibasi は、しばしの⾳楽部⾨。京都の岡崎に店を構え、喫茶のみならず、ライブ、展覧会、作品の発売などを通して、さまざまなカルチャーがクロスオーバーし、発信する場となっている。
Webサイト:https://sibasi.jp/
Instagram:@sibasikyoto
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WRITER

- 峯 大貴副編集長
-
1991年生まれ。大阪北摂出身、東京高円寺→世田谷線に引っ越しました。
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ANTENNAに在籍しつつミュージックマガジン、Mikikiなどにも寄稿。
過去執筆履歴はnoteにまとめております。
min.kochi@gmail.com







